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Amber World Striker アンバーワールドストライカー  作者: TTA
第壱章 その黒き龍は先導者となるか
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第三話 別れの戦火

「展開用意!」

大声での号令で全機が一斉に動きだす、団体行動とも言えるほどの見事な展開。

まさしく芸術ともとれるほどに滑らかな動きだ。

五百にも達する人型兵器が一斉に動く様子は鯨が何十とも同じ方向へ進んでいるかのように壮観な眺め。

そして全ての機体の動きが止まった瞬間、広域通信で通達が始まる。

「全機展開完了、敵の情報を開示願います。」

「了解、コロニーから九時の方向に展開中の敵数の階級は『艦隊級』です。」

「防衛線を突破された場合、第一居住ブロックに衝突する計算となっています。」

「了解、全機、戦闘準備。」

一斉にライフルが構えられる。

「有効射程範囲内まで、5、4、3、2、1

全機交戦!」

その時、あるはずの無い空気が流れ、音無き空間で衝撃が伝わった。

一瞬の合間で五百何十数発という数の弾丸が発射された。

戦闘が始まった、まだ機体のカメラには捉えられていない敵が火花を散らして爆発をおこす。

ミートバグの個体にはジェネレーターとエンジンがある、それに弾丸が入れば侵食する間もなく爆発、侵食にもエネルギーを使う必要のあるバグは侵食という最強の能力を失う。

それがこの実弾銃が使われている証拠だった、敵の数が大きく減衰したと思われた途端、そのカメラが敵の姿を撮しだした。

グロテスクで醜悪な肉塊、それが大量に押し寄せて来ていた。

「侵食特化型接近!」

侵食特化型、その名の通り侵食に特化したタイプだ、それが猛スピードで近付いてくる。

「第二大隊、全部隊散開!」

散開、各部隊で撃破、多くの機体が行動を開始。

「三上、田神、伊勢川、総員俺についてこい。」

「三上機、了解。」

「田神機了解。」

「伊勢川機、了解しました。」

四機が戦闘宙域に接近し、戦闘を行う。

「幹原隊は撃ち逃した敵を殲滅してください。」

「了解、全員いいな。」

「「「了解!」」」

ヒートブレードを手にし、撃ち逃したのであろう敵を格闘攻撃で撃破することにした。

「幹原隊、交戦する!」

一気に全機が散開した、まず最も近くにいる敵から撃破を行うことにする。

見えた。

熱を持った刃が敵の肉を切り裂く、ジェネレーターが見える、思いっきりその刃をそれに突き刺した。

即時退避、爆発に巻き込まれては意味がない。

「伊勢川機、一体撃破、次に移ります。」

一応撃破数は伝えることになっていて、理由は連携の強化のためらしい。

すぐさま次を撃破することにする、筈だった。

一体がコロニーに取り付いているのが見えた。

「ッ!」

バックパックの出力を最大にし、敵の破壊に向かう、ヒートブレードを前につきだし、思いっきり突き刺す。

そして、できるだけ遠くへ降り投げる。

爆発、撃破確認、戦闘が終わっていないというのに少し安心した。

しかし、目を疑うような光景を見た。

バグがレーザーを撃っている。

コロニーの外壁が見事に破壊され、中の空気が一斉に流れ出す。

第一居住区、俺達がさっきまで下らない話をしていた所、

その外壁が破壊されていく。

このままではやられる、というところで聞きたくなかった言葉が聞こえた。

「第一居住区のパージシークエンスを開始します。」

パージシークエンス、つまり切り離しだ。

「嘘だろ…!?」

あまりの驚きと焦りに声が漏れ出る。

外壁の破損箇所から居住区へ進入、即座に避難場所を探した。

しばらくたった後に突然、第一部隊の縦列隊形崩壊が伝えられた。

どっと凄まじい数のバグが穴から侵入、戦闘宙域はいつの間にか第一居住区に移っていた。

「畜生!」

俺達の通っていた校舎の残骸が見えた、もうすぐ近くに避難所があるはずだと思い、近くを飛行した、が。

願いは届くことはなかった。

そこには建物の破片で下半身を潰され、血溜まりに倒れている弓佳の姿があった。

「嘘だ、嘘だろ?なんだよ…これ…なんなんだよ!?」

「速人!?」

朝まで話していた弓佳は遺骸となってそこにあった。

「なんだよ…なんなんだよ…こんなのってありかよ…俺が何したって言うんだよ…?」

血溜まりが拡大して行く、ついさっきまでは生きていたのか?

「うわぁぁあぁぁああぁぁああぁぁぁぁああぁ!!!」

それから先のことはもう解らない。


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