プロローグ
戦闘が始まって五時間、いまだに敵の殲滅には至っていない、それどころかこちらが圧倒的劣勢に瀕していた。
こちらの残存戦力は自分のみ、奴らに消耗戦は効かない、むしろ機体のエネルギーが底をついて喰われる。
アサルトライフルの残弾は238発、残弾もほとんど無い、まだ、囲まれていないだけましだろう。
だが、帰還するに進行方向を塞がれている、回り道をする推進剤も無い、突入する他道は無い、無い無いだらけだ、
そして、覚悟を決めた。
「うわあああああぁぁぁあぁあぁあああああぁあぁぁ!!」
もはや、後には戻れない、アサルトライフルを向け、敵に突っ込んだ。
急に背中に強烈な痛みが襲う、攻撃を受けた、恐らく突進を受けたのだろう、
近くの小惑星に激突し、機体が大きく揺れる、バックパックがひしゃげてもう動かないようだ。
痛覚は無慈悲に現実を自分に教えた、手足を伸ばし、後ろを見る、すると肉塊が変形し、もうスピードで触手のように伸ばしてくる。
次の瞬間には身体を貫かれ、機体に備わっている人工神経ではなく、自分の神経で死ぬ痛みを感じていた。
コックピットには赤い血が無重力の空間を漂っている、それが最期に見た景色だった。