俺は平凡だ。
俺は平凡だ。
だからといって「俺はごく普通の高校生なんだが、或る日突然女の子が降ってきて……」という話をしたいわけじゃない。
平凡すぎるあまり、何も起こらないのだ。
つまり
真の平凡者には「俺はごく普通の〜(ry」が起こるはずがないのだ。
しかし、俺はそれを信じている。
信じた結果、どうなったか教えてやろう。
※
「おっはよー!」
教壇に立つ新人教師、立花 奏。
今日もツヤのある黒髪を揺らして黒板にカツカツと書き込んでいく。
ふむ。
「今日は転校生を紹介するよー! それじゃ、入ってきてー!」
立花教諭が扉に向けて大きな声を出すと、その扉が小さく開かれる。
そして顔を出したのは美少女じゃない……熟女だ。
こいつ、保健室の先生じゃなかったっけ?
「ザマス。私の名前は田中ザマス。年齢は15歳ザマス。よろしくザマス」
「それじゃー皆、田中さんと仲良くしてあげてね!」
「「「はーい!」」」
はい?
おかしいだろ。
こいつババアだぞ?
何が15歳だよ。ほうれい線やゔぁすぎ。
「えーっと、席は……佐藤くんの横で良いかしら」
佐藤くんとは俺のことだ。
「……」
「いいザマスよ!」
てめえが答えんな!
「良かったー、じゃあ佐藤くん、田中さんに色々教えてあげてね!」
「……」
スタスタと歩いて俺の席の横にやってきた田中。
小皺のある顔を少し歪ませて、口を開く。
「よろしくね、佐藤くん。イロイロ教えてね?」
「……」
なんなんだこいつは。
これから俺に何が始まっちゃうんだ。
※
「それじゃー、教科書10ページ開けー」
数学の教師、秋村はいつも通りの気だるげな声を響かせて、授業を始める。
「さ、さとうくん……」
「……?」
横から話しかけてくる熟女、田中。
「教科書見せてくれないかな……?」
上目遣いでおねだりされとる。
「……」
「ねっ、お願い。転校してきたばかりだから」
「……」
仕方ない。
静かに机をくっつけると、嬉しそうに田中ははにかむ。(※熟女です)
「放課後って空いてる?」
それは授業終了前15分のこと。
田中は唐突に尋ねてきた。
「……」
特段用もない、俺は静かに首を縦にふる。
「じゃあ、私に付き合ってくれない?」
「……?」
困るなぁ。
こんな熟女のお守りをしなくちゃいけないのか?
そして放課後、俺たちは自室のベットでねんごろになっていた。
-fin-