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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第3章魔王討伐編(過去)
84/209

魔王討伐2

首都フィンガルト 勇者機関本部ー


「状況は今述べた通りだ。事態は極めて深刻。既に各国の勇者達に号令は発しているが作戦遂行まで今しばらく時間がかかると思われる。」


魔王出現に伴い、機関内では緊急の召集令が出された。この召集で機関の神官達はぼぼ全員が参加、今首都にいないものは代理人を立てて参加しているか、あるいは自分のホログラムを転送して参加している。


今しがた機関の大司教から今回の魔王出現地域と魔物の大まかな勢力図、分布図、侵攻予定区域、魔物の詳細などが伝えられた。

それによると、今回の魔王出現区域は遥か北の吹雪が吹き荒れる地、通称コキュートスだと言う。侵攻が困難な地域なだけでなく、魔物の勢力も以前とは違い、最初から広範囲に及んでいた。


「北が敵の本拠地だなんて一番厄介だね。前回は確か東だったのに。ついてない。」


幼さが残る顔立ち、機械のように変わらない表情で神官マキシが言う。

体が小さいのか、支給された神官の服装は一番小さいサイズなのにも関わらず、若干大きいようだ。


「号令が発せられたのが昨日未明、各国の勇者達はそれぞれ本国の防衛の準備で手が回らないだろう。

何せ今回は今までとは訳が違うようだしな。」


ストレートの黒髪、整った顔立ちでスマートな印象を与えるのは神官ジェラルド。

眼鏡を直しながら配られた資料に目を通す。


「ジェラルド、これを見てよ。」


マキシがジェラルドの肩をちょんちょんとつつきながら言う。


「敵は北から首都を覆うようにぐるりと展開している。ちょうど異世界の言語アルファベットのUを逆さまにしたみたいにね。当然本拠地である北が一番敵の数が多い。だけどそれだけじゃなく、東西も敵の数が多い。そもそも今回は数自体が今までとは桁違いだ。これ負けちゃうんじゃないかな。」


面白半分でマキシが喋る。


「笑えない冗談だな。確かにマキシの言うとおり、今回は最初から敵が有利だ。ただ今回幸いなのは出現地域に国がないことだ。前回はログレスの周辺諸国がわずか2日で制圧されたそうだ。兵力を削がれないのは大きい。

まず東西からの挟撃を防がなくてはいけない。北は我々機関で対処するとして、東西は各国勇者達に対処してもらおう、と言いたいが…」


「そ、間に合わないよねこれ。」


機関からの号令が発せられてから1日ほどしか経っていない状況で各国が自国だけでなく、防衛線のことを考慮して行動できるだろうか。勇者機関の中でもこの点に不満が集まっていた。

だがそれからすぐ、この問題はひとまず解決することとなる。


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