光の使者たち5
「まさか人間に助けられるとはな…」
コロッセオからチェスター達が退却した後、竜人はある女性に助け出されていた。
傷が深く虫の息だった彼は見たこともないアイテムで一命をとどめたのだ。
「お礼なんかいいよ‼︎それにしてもあなたただの人間じゃないでしょ⁉︎一目でわかったよー」
その女性は天真爛漫なヒトだった。
だが少しだけ違和感を感じる。その違和感が何なのか、疲れで頭が回らないので竜人は深く考えることができなかった。
彼女は持っている札から使い魔を呼び出し、竜人を運び出しているのだ。
「あんたは…?」
「んー?私のことはどうでもいいよ。名乗るほどの者でもないぜ!」
彼女は天真爛漫なのか、それとも天真爛漫を演じているのか竜人にはわからなかった。
ただ彼女の表情はどこか作り物のように見えたのは確かだ。
「これから俺をどこに連れて行くんだ?」
竜人が尋ねる。
「私の仲間のところだよ!」
彼女はにこりと笑いながら言った。
だがその表情にはやはり隠しきれない狂気めいたものがあった。
一方、その頃ー
「このような事態になったか。アンセム君、私は一旦自分のパーティと合流する。おそらく彼等は私を探しているだろう。」
「そうですか…。」
アンセムは小さく呟いた。
「だが忘れないでくれたまえ、君と私は協力関係だ。私の術と君のネクロマンサーの力があれば、これからの戦いを有利に運べる。」
「ええ、わかってます。」
「お仲間、大事にしたまえよ。」
そう言うとハルトマンはアンセムの前から姿を消した。
彼が錬金術師であるということ以外何もわからなかったが、アンセムにとって生きている人間の協力者ができたのは強みと言ってもいい。
アンセムはアイリとグレンを起こし、しばらく首都内で大人しくすることにした。
そうだ、この戦いで俺は勝つんだ。
ネクロマンサーの力とハルトマンの術でー
アンセムは空を見上げた。
空は晴天だった。
開戦からおよそ2時間余りー
コロッセオでの暴動は一応の解決を迎え、周辺での戦いも沈静化した。戦いは一時休戦となり教会の戦士討伐という緊急の任務が課されることとなった。
それぞれがそれぞれの思惑を胸にこれより7日間を過ごすことになる。
首都の損害 中規模 コロッセオ壊滅
生存した勇者の数 233人