表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第2章コロッセオ編
81/209

光の使者たち4

「そうか、それは済まなかった。助けていただいたこと、深く感謝する。何より自分の無力さに腹が立つ。」


ジェームズは親指のない右手を見ながら呟いた。その声はイングリスに喉が潰されたせいか若干掠れたような声だった。


「お仲間も今や消息不明だ。今は一時休戦状態だし、俺たちはこれからもう1人の仲間と合流する。お前はどうするんだ?」


「俺は…」


「一緒に来ない?」


唐突にセミラミスが言う。ウルフもジェームズも彼女の発言に驚いて声の方を向いた。

ジェームズに至っては驚いて空いた口が塞がらない状態だった。


「セミラミス本気か⁉︎俺は構わないが…」


「お誘いは嬉しいが俺はこの有様だ。戦力にはならないし、まずなれない。

それに仲間も探さないといけない。」


「今のあなた1人でそれができるの?」


「……それは…」


単刀直入すぎる発言に今度はウルフがフォローに入る。


「おいおいセミラミス!」


「私たちが亜人種だから?」


彼女の発言に一同が沈黙する。

そう、ジェームズは真っ当な人間、ヒトだ。

未だ亜人種に対する根強い差別は人間の間では残っている。


「違うそうではない。私では役不足だと言っているのだ。」


「じゃあ言い方を変えるわ。私たちと一緒に来て、これは命令よ。助けてあげたんだから協力してくれてもいいわよね?」


「か、構わないが…」


「あなたの仲間も探してあげるから。

ただし、人間と亜人種が手を組んでいたら怪しまれるし、悪い意味で目立つわ。」


自虐しながらセミラミスが言う。


「あなたはこれから私たちの協力者よ。メインで戦いに参加はしなくていいから、敵の情報とか、役に立ちそうなことを伝えて欲しいの。」


彼女の強かさが垣間見える。


「了解した。これからは協力関係だ。」


「テレパシーは使える?」


「もちろん。それで情報のやりとりをしよう。」


トントン拍子に話が進んで行き、ウルフは流れについていけなくなった。同時にセミラミスの強かな一面を見ることができて嬉しくもあった。


「しかしあれだな。」


ジェームズが呟く。


「私は亜人種に対して今まで間違った見方をしていたようだ。あなた方を見てそれを感じたよ。」


「………フン、竜人を探しに行くぞ。」


「うん。」


「私はその竜人に挨拶だけでもさせていただきたい。」


「構わねえがあいつはおっかねえぞ。」


「私は仮にも勇者だ。」


人間と亜人種、今までいがみ合っていた胃種族が手を組んだ。この出会いがどのような化学反応を起こすかはわからない。だが不思議とこの3人に不和はないようだ。

3人は青空の下歩き始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ