光の使者たち2
「アドルフ様‼︎ご無事でございますか⁉︎」
突然現れたゴーレムによって結界に閉じ込められたアドルフとギーゼラは様子を伺っていた。
だがテレパシーで教会の戦士討伐の話を聞くとアドルフは武者震いした。あのアーサーに続き、今度はゴドフロアの当主と戦うことができることに。
「ガハハハハハハ‼︎心配はいらんぞギーゼラ‼︎それよりも聞いたか今の話を‼︎
此度の戦いは素晴らしい‼︎我輩のために用意された戦場と言っても過言ではない。」
「アドルフ様…」
ギーゼラはアドルフの無事が確認できて安堵した。目の前のゴーレムは無機質に結界の中の自分を見張っている。
「アドルフ様、教会の戦士たちを私たちの手で葬りましょう。アドルフ様のお側で戦えるのなら、私はこの命惜しくなどございません。」
ギーゼラの目には強い決意、そしてアドルフへの信頼が見て取れた。
アドルフもまたギーゼラのことを信用していた。
「ああ‼︎ギーゼラの命、我輩が預かった‼︎
聞けえい‼︎ゴーレムどもよ!」
ゴーレムは相変わらず無機質なままだ。構わずアドルフは続ける。
「我輩たちは教会の戦士討伐に参加を表明する‼︎」
そう言うと結界は次第に弱くなりやがて完全に消滅した。ゴーレムも結界を解くと身体全体の光が弱くなり、やがて地面へと還っていった。
「このゴーレム達は……やはり首都そのものから作られていたのですわね。」
ギーゼラが地面に消えたゴーレム達を見ながら言う。
「さすが魔王討伐の中心地となった都市よ。機関の者が魔法を発動すれば、街自体がゴーレムを作り出し敵を迎撃するようになっているのだな。」
アドルフも感心しながら呟く。
それからギーゼラの方を向き、彼女が疲弊することを察知すると、彼女を片手で抱きかかえた。
「アドルフ様⁉︎」
突然のことにギーゼラは赤面する。まるで子供のように抱きかかえられたからだ。
「ガハハハハハハ‼︎遠慮せずともよいぞ‼︎疲れているだろう⁉︎しばらく寝ても良い。」
「ですが、これは……」
「あまり気に入らなかったか…無理強いはせんぞ‼︎」
「いえ、もうしばらくこのままで構いませんわ。」
「うむ‼︎さあて、当初の目的通りハルトマンを探して作戦を練るとしよう‼︎」
ギーゼラは彼の腕の中でしばらく安らぎを得た。だが彼女はアドルフを見てその異変に気付いてしまった。
「アドルフ様、その左手……」
アドルフの左手には先の戦いでヨハンから受けたあの黒いオーラがまとわりついていた。