聖剣の真価
チェスターはゆっくり歩いていたかと思うと突然姿が見えなくなった。
だがその直後、竜人の目の前には現れ、クラウ•ソラスで竜人の首をはねた。
「竜人!」
だがチェスターが切ったのは彼の残像だった。
竜人はすかさずチェスターの背後に回り込み、脳天に打撃をお見舞いしようとする。
だがその攻撃は見切られた。
チェスターは一撃をかわし、竜人に聖剣を振り下ろした。すかさず竜人は態勢を立て直し真剣白羽取りで剣を掴むと、対峙した相手に炎を吐いた。
チェスターの姿が炎で見えなくなる。
竜人は炎を吐いた後、一旦相手から距離を置き様子を伺おうとしたが、今度は頭上から氷柱が次々と落下し始めた。
ハンナが魔法による攻撃を行っていたのだ。
だがウルフの素早い打撃によってその氷柱は全て叩き壊された。
ウルフはハンナに狙いを定め、カウンターとばかりに彼女に接近した。
だが今度は正面から氷柱がウルフめがけて発射された。
ウルフは高速の攻撃で氷柱を全て壊すも、更に氷柱が連続して発射されていた。
だがその氷柱は別の方向から飛んできた氷柱によって叩き落とされた。
「セミラミス助かったぜ‼︎」
ウルフは姿の見えないセミラミスに礼を言うと再びハンナに接近した。
ハンナはウルフの速度と攻撃パターンを分析し、結界の呪文を詠唱し始めた。
だが彼女の予想よりわずかに早くウルフが自分の目の前に現れた。
「⁉︎」
ハンナは結界が間に合わずウルフの攻撃を受け倒れた。
「セミラミスの魔法はやっぱり違うな!」
ウルフの身体をあのセミラミスの魔法が覆っていた。
一方竜人は炎に巻かれたチェスターが一切動きを見せないことに警戒していた。
竜人は更に火球を複数チェスターに浴びせ、辺りは一面火の海と化した。
「………あいつはどうなったんだ⁉︎」
炎が轟々と音を立てて揺らめく。
竜人は熱さに非常に強いため熱気は感じてはいなかったが、業火に焼かれた人間のことを思うと少しだけ気の毒な気持ちになった。
「貴様の炎はその程度か?」
驚いて声の方を向くと炎を纏った刀身が竜人の身体を掠めた。
咄嗟に回避を行っていなければ致命傷になっていたはずだ。
「ほう、さすがは亜人種。普通の人間なば今ので終わりだったのだがな」
「てめえあの炎を受けて何ともないのか⁉︎それとも避けたのか⁉︎」
チェスターは表情を一切崩さず、そして竜人の問いかけにも答えることなく竜人に聖剣の攻撃を浴びせる。
竜人は剣撃をかわし、いなしながらわずかな隙を狙う。