竜人VSチェスター
「赤色は何を反射するんだ⁉︎」
ウルフがセミラミスに問いかける。
「赤は魔法攻撃を反射するの!
厄介ね、あたしができることがほとんどなくなるわ…」
雷雲はゴロゴロと音を立て、次第にコロッセオに雨が降り始めた。
コロッセオが急に暗くなる。
風も強く、視界がおぼつかない。
「ウルフ聞いて!
今あの召喚術師が出している召喚獣は2体。竜巻のやつとカーバンクルよ。
召喚獣は出しているだけで維持の魔力を使い続けるし、それが2体ともなれば長時間の使用は不可能のはず。」
「じゃあ長期戦に持ち込めばいいんだな!セミラミス、お前は補助魔法でサポートしつつ隠れていてくれ。俺は竜人の加勢に向かう!」
「そうね、あの竜巻は恐らく防御専用だし、攻撃は無意味。竜人に加勢するのが最善ね。それにあの竜巻で内部の聖騎士と召喚術師を守り、攻撃はこの雷で行うと思う。
少し待ってて…」
セミラミスの体が淡く光り始める。
すると次第にセミラミスの姿が半透明になり始めた。さらにセミラミスは魔法を使った。
ウルフの体を蒼いオーラが包む。
「よし!力が湧いてくる‼︎」
身体能力を向上させる魔法だ。ただでさえ身体能力の高い亜人種に使うことで、その動きは並の者では捉えきれなくなる。
「私は透明化して待機してる。彼をお願い。」
セミラミスは次第に姿が見えなくなって行った。
ウルフも高速で移動し、姿が視認できなくなった。
「この雨でお得意の炎は使えん。それにこのオリハルコンの鎧は生半可な攻撃で傷は付かん。」
イングリスは槍で竜人の攻撃をいなしながら、ガラ空きになった胴体に蹴りを入れた。
だが竜人はそれを見切り、空へ飛んだ。
次の瞬間雷が竜人に落ち、激しい音と共に竜人は地へ落下した。
待ってましたと言わんばかりにイングリスが槍で竜人の体を貫こうとする。
だが竜人はイングリスに向かって炎を吐き出した。
「ぐっ…」
雨のせいでたいした威力にはならないが、牽制するのには十分だった。
竜人は空中で態勢を立て直し、その場で一回転し、回し蹴りをイングリスに浴びせる。
イングリスは両手でそれをガードするが、思った以上の威力で吹き飛んだ。
それだけではなかった。
吹き飛んだイングリスをまるで飛んできたボールを打ち返すように、ウルフが超スピードでコロッセオの壁へ叩きつけた。
壁が崩壊する音と共に彼は瓦礫の下に埋れた。




