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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第2章コロッセオ編
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生と死3

「き、貴様…勇者機関の者に手を出すとは…」


コロッセオ中央部。暴動はある程度おさまってはきたが、いまだ勇者機関と暴徒、教会のパーティが争い続けていた。


イングリスはジェームズをほとんど半殺しにした後、今度は勇者機関の者をいたぶり始めた。


今も彼は機関の兵士の首根っこを片手で掴み、持ち上げている。

イングリスは手を捻り、首を折った。

機関の者はびくびくと体を痙攣させながら口から泡を吹いている。

その様があまりに滑稽だったのか、イングリスは笑いを堪えきれず吹き出した。


「ぶはっ、捨て台詞だけ吐いて、無様な終わり方だなあ‼︎貴様の家族にこの勇姿を見せてやりたかったが残念だ。」


イングリスはまるでゴミでも捨てるかのように兵士を放り投げた。


「貴様よくもおおおお‼︎」


背後から別の兵士が襲いかかる。だが兵士の体を覆うかのように突然水が現れた。水に閉じ込められた兵士は呼吸ができず苦しんでいる。


「イングリス、やりすぎよ。主は呆れ果てているわ。機関に手を出したら面倒なことになるじゃない。」


召喚術師ハンナ。教会お抱えの一流の術師。20体ほどの召喚獣と契約している。

今機関の兵士を苦しめている水は、彼女が召喚した精霊ウンディーネのものだ。

兵士は苦しみでもがき続けているが、やがて動かなくなった。


「あんたの酷い趣味に付き合ってられないわ。早く撤退しましょう。どのみち、追われることになるわ。」


「いや、その心配はねえぞ。」


上空から3体のワイバーンがコロッセオに降り立った。

ワイバーンには明らかに人間ではない者が乗っていた。

人間とドラゴンのハーフである竜人のパーティだ。


「お前らは俺たちがここで倒すからな‼︎」


水が突然蒸発し、中に閉じ込められていた兵士が地面に倒れる。

狼男ウルフが兵士をキャッチし、竜人の元へと運んだ。

水を蒸発させたのはエルフのセミラミスだ。


竜人は自分の手を噛むと、傷口から血を倒れた兵士に滴らせた。


「お前ら…亜人種デミヒューマン共か。」


イングリスが竜人達を睨みつける。

兵士は再生作用のある竜人の血を飲み、げほげほと咳き込みながらも息を吹き返した。


「すごいじゃない、再生作用の血なんてそうそうお目にかかれないわ。」


ハンナが感嘆の声を漏らす。

一方、竜人のパーティはイングリス達に対して警戒を怠ることなく気を張り巡らせていた。


「あ、あれは亜人種のパーティ…」


「なんてオーラだ。俺たちじゃ太刀打ちできねえ。」


周囲の暴徒達が大人しくなる。


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