悪魔との攻防
「ほう、光で動きを鈍らせてその後に本体を叩くか…
まあ先ほどまで我輩もその戦法をとっていたがな。盾がいるだけで負担も減るというものよ!
しかしギーゼラも来ておるとは!
状況はこちらに傾いているということだな、ガハハハハハ‼︎」
ペンドルトンは内心動揺していた。
先ほどギーゼラに掛けられた魔法、あれは術者の命令に背くと心臓を焼き切る呪い。
あれがある限り迂闊な行動はできない。
仮にヨハンを倒したとしてもアドルフに正体がばれたなら確実に消される。
ヨハンも救出したいが、暴走していて手が付けられない。
グリージャとも連絡が途絶え、合流は困難。
ただヨハンをここで倒してしまうと、もう戦いは終わったも同然。
どうするー
「魔術師よ!ボーッとするでない!
見ろ、また突撃してくるぞ!」
ペンドルトンが我に返ると目の前には魔剣を手に猛進するヨハンがいた。
ペンドルトンはアドルフの前に立ち、魔道書を開き、呪文を詠唱し始めた。
ヨハンの攻撃が先程同様、結界に弾かれる。
ヨハンは何度も何度も結界を攻撃するが破ることはできなかった。
「これはただの結界ではないのか。
これほど強力なものを出せるとは貴様ただものではないな。」
うるさいだけだと思っていたが、この男の観察眼は鋭い。
自分の素性や能力をなるべく見せずにこの場を切り抜けなければならない。
そして必ずヨハンを助ける、ペンドルトンの目は決意に満ちていた。
ペンドルトンは魔道書をめくり、更にもう一つ魔法を使った。
するとヨハンは突然動きを止めた。
そして今まで以上に闇雲に魔剣を振り回し始めた。
「何が起こっているのだ⁉︎」
ペンドルトンの魔法でヨハンの視界を一時的に暗黒にしたのだ。
だがこの魔法のタネを明かすのはまずい。ヨハンを止めなければならないとはいえ、魔法を使いすぎるのも問題だ。
「アドルフ殿、あの敵は徐々に闇に呑まれ、自身でも制御が効かなくなっています。
いいですかアドルフ殿。私が合図をしたらー」
そのとき、3人の周囲が強烈な光に包まれた。
「ぐっ」
アドルフはあまりの眩しさに目を瞑った。
ペンドルトンも目を瞑っていたが、光が弱まった隙にヨハンの方を向いた。
黒いオーラが消えている。
おまけにヨハンは魔力を使いすぎたのか、ピクリとも動かない。
「今ですアドルフ殿‼︎」
「本当によいのだな魔術師よ!」
「構いません‼︎さあ今こそが好機‼︎」
「ぬおおおおおおおおお‼︎‼︎
唸れえぇぇバルムンク‼︎」
ペンドルトンの後方、アドルフはバルムンクを振りかざし、ヨハンに衝撃波を飛ばしヨハンを薙ぎ払った。
ペンドルトンもろとも。