ヨハンVSアドルフ5
消えていた黒いオーラは今や完全に元に戻っていた。
ヨハンは地面から魔剣を抜こうとしたが、そこは歴戦の猛者ジークフリート。その隙を逃さなかった。
バルムンクの衝撃波で魔剣は突き刺さっている地面ごと剥がされ、魔剣は宙を舞った。
ヨハンが呆気に取られているうちにアドルフは彼に衝撃波を浴びせた。
ヨハンが気づいた時には遅く、彼は衝撃波をまともに食らい、後方へ吹き飛んだ。
「よし、一発お見舞いしてやったり‼︎」
だがそれも束の間、ヨハンからは剣状の黒いオーラが無数にアドルフ目掛けて飛んできた。
剣状のオーラは広範囲に展開し、アドルフの逃げ場をなくしていた。
「くそっ、捌ききるしかないわい‼︎」
アドルフはバルムンクを今一度強く握りしめた。
しかし次の瞬間、アドルフの前に視認できるほど強力な結界が現れた。
「なんだなんだ⁉︎」
アドルフの傍らにはいつの間にか黒いローブを着た小柄な魔術師が佇んでいた。
「ジークフリート14世アドルフ殿、此度の戦い、恐れ多いながら加勢させていただきますぞ。
私の名はペンドルトン。クラスは黒魔術師。あの敵を足止めし、貴方を助けるために馳せ参じました。」
「加勢だと⁉︎」
にわかにアドルフの機嫌が悪くなる。
戦いを邪魔されたのだ。それも得体の知れない男に。
「かの有名なアドルフ殿の戦いを邪魔してしまったこと、お詫びいたします。
ですがあの敵は厄介この上ない。あの黒いオーラは闇属性の強力な呪いを帯びています。」
「そんなことはわかっておる‼︎それより貴様は味方で良いのだな⁉︎この戦いを邪魔してまでも我輩に助勢するとは、なかなかやりおる奴よ。」
「もったいなきお言葉…。
ではこれよりかの敵の対処法をば…。
まずあの黒いオーラは光、聖属性に弱い。それに剣状のように形状を自在に変化させることも可能。だがあのオーラは本体から離れるごとに精度、威力が低下します。」
「となると、ある程度距離を置き、貴様の結界で攻撃を防げばよいのだな。」
「左様にございます。恥ずかしながら私は光、聖属性が使えませぬ。
そこはあなたの協力者、ギーゼラ殿に支援していただきます。」
「ほう、ギーゼラもいるのか。
では貴様は我輩の盾になるということか。」
「ええ。結界を展開し、黒いオーラを防御、隙を見せたら合図を送り、ギーゼラ殿に光を使っていただき、オーラを消します。」