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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第2章コロッセオ編
48/209

ヨハンVSアドルフ

「ぬんっっ‼︎」


四方から飛んでくる衝撃波をバルムンクで弾く。

粉塵が舞い上がり周りが見えなくなる。

次の瞬間、アドルフのやや後方の粉塵がゆらめき、そこから間髪入れず魔剣の斬撃が浴びせられた。

同時に自分の上方向から無数の黒い刃が降り注ぐ。

容赦のない波状攻撃、怒涛の勢いで攻め立てるヨハンの前にアドルフは防戦で精一杯だった。


アドルフは斬撃でよろめき、上方からの攻撃を捌き切れないことを理解した。


すると次の瞬間アドルフは大きな叫び声を上げた。それはただの一喝にすぎないが、その声の振動だけで上方からの攻撃を凌いだ。

ヨハンも人間離れしているが、このアドルフもまた尋常ならざる猛者である。


粉塵が消え、対峙するものの姿が露わになる。

黒いオーラを身に纏い、魔剣を振りかざすその男、アーサー17世、ヨハン。

ヨハンは魔剣を構え唸り声を上げながら猛スピードで突進する。

その姿には最早勇者の面影はない。


魔剣の長さは通常の剣よりやや長めのロングソードほどの大きさである。

だがアドルフにとって剣の長さや攻撃が問題なのではなかった。


問題はヨハン、そして魔剣が纏う禍々しいオーラ。黒く揺らめくそれからは危険な気配がした。

そのオーラが魔剣を覆い、実質的にリーチを伸ばしている。

見ているだけで負の感情に支配されそうになる暗黒の意思ー、その強すぎる意思が黒い炎のように剣に、そしてヨハンの体を纏う。



我輩に生半可な攻撃は通じない。打撃、斬撃、魔法攻撃ー

現に先ほどの斬撃も傷自体は付いていない。

バルムンクで魔剣をいなしながら、バルムンクを振り回して衝撃波を飛ばしながら相手との距離を保つ。

近距離での戦いはあまりに危険。

なぜならー



アドルフはちらりと斬撃を受けた箇所を見た。

あの黒いオーラがまとわりついている。



恐らくこれは呪いの類。それもかなり強力な呪い。

ステータスの低下や状態異常よりも厄介だ。こうして黒く目に見える形で魔剣から離れた後も視認できるのがそのあまりの強さの証拠…!


だが…あいつはどうしてしまったのだ⁉︎あれが勇者なのか⁉︎

あれではまるで…



対峙するヨハンは纏った黒いオーラを更に増加させる。体から噴き出す影のようなオーラは轟々と燃え盛る炎のごとく荒れ狂う。

黒いオーラはやがて彼の体から離れ、剣の形状に変化し、アドルフめがけて飛んできた。




「またそれか!」


アドルフは攻撃をかわし再び衝撃波をヨハンに飛ばした。あの黒いオーラに触れずに彼を倒す方法はこれしかない。

しかしヨハンは人間離れした動きで魔剣を目の前で高速回転させると、衝撃波を打ち消した。

ヨハンは唸り声を上げると地面に魔剣を突き刺す。


「っっ…これはまずい‼︎」






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