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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第2章コロッセオ編
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歪んだ正義5

「なあ、いい加減番号の名前はやめないか?」


追っ手から逃げる途上、南の大砂漠のオアシスで休憩中に、ふと竜人がつぶやいた。


「確かになあ…俺も自己紹介で359号って言うのもううんざりしてきたぜ。

おい、あんたは…何号だっけ?」


もう359号に何回も聞かれ、エルフこと奴隷18号は呆れ果てていた。

最早18号は答えることもせずそっぽを向きながら聞こえるか聞こえないかの声量で言い放った。


「この狼嫌い。」


「ボソッと言うなよ!傷つくだろ!」


竜人は考えていた。

何としても追っ手を振り切り、必ず自由を掴み取ると。

いや自由だけでは足りない。その先にある世界の覇権を自分たちが掴み取るのだと。

自分たちが虐げられる存在ではないと示すためにも。



「よしわかった‼︎」


突然竜人が立ち上がったので2人はびっくりして彼の方を向いた。


「エルフ!お前は今日からセミラミスだ!

そして狼男!お前は…あー…そうだな………ウルフだ!よしこれでいい!」


突然のことに2人は驚いた。


「セミラミス…なんか派手な名前だな。」


そうは言っているが本人はまんざらでもない様子だ。

しかしもう一人はその名前にあまり納得がいってないようだった。


「待てよ竜人!俺がウルフってそのままじゃねえか、あんまりだぜ!

もっとこう、しっくりくるの頼むよ!」


「知らん、ウルフが一番しっくりくるだろ」


「あんまりだぜ!」








「俺さあ、あのパラディン見てると無性に腹立ってくるんだわ。」


にわかに竜人から殺気を感じる。仲間思いで情に厚い、だが一度怒りを露わにすれば手がつけられない。

この男はどこまでも真っ直ぐだった。


「違いないな。俺もはらわた煮えくり返ってくる。」


ワイバーンにしがみつき震えながらウルフが言う。


「なんで他の人は暴れてるだけで助けたりしないの?」


「決まってんだろセミラミス、俺たちの見せ場なんだよ、ここが!

あいつらが他でもない俺たちに助けを求めてるのさ!」


竜人の体から爆発的にオーラが増えた。

それは膨大な魔力のせいでもあるが、それだけではなかった。

竜の血が、そしてそれに半分混ざった人間の血が、虐げられる者を助けろと騒いでいるからだ。



2人は竜人のオーラを感じ取り、目標を眼下のコロッセオに定め臨戦態勢に入った。


「よし行くぜえ!目標はパラディン!」


竜人はすさまじい速さで降下しコロッセオへと向かった。

セミラミスとウルフもそれに続いて勢いよく降下する。

人間よりも人間らしい心を持った亜人種たちが今コロッセオに舞い降りる。





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