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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第1章英雄編
20/209

竜人は羽ばたく3

「確かにこの計画は穴だらけだ。

今までも反乱に失敗して見せしめに処刑された奴らもいる。

だけど…」


412号は手を握りしめる。


「このまま名前も自由もなく、ただ働いて怯えながら生きたくはない。みんなそうだろ?」


2人は同意する。


「フゴフゴ…俺たち、人間より強い。そもそも人間、弱い。一泡ふかしてやりたい。」


「なんか思い出すな…少し前までは特別任務で俺たち奴隷でも魔王討伐に参加していたんだよな。そこでわかったよ。やっぱり俺たちは弱くないんだってな。特にあの竜人だよ!」


412号が“少し前の魔王討伐と竜人”について話し出した。


亜人種の奴隷たちは2年前の魔王討伐戦の最前線で戦っていた。いや戦わされていたのだ。

未知の魔物との戦闘データの収集が主な目的で、人間の戦闘を楽にするのが彼らの役目のはずだった。


亜人種はもともと人間よりも高い魔力や身体能力を持っており、人間たちの思惑を超えて高い戦果を挙げた。

奴隷としての立場から一瞬でも解放された喜びからか、それとも日々の酷い仕打ちの憂さ晴らしかはわからないが、彼らは獅子奮迅の活躍を見せた。


その中でも際立っていたのがドラゴンと人間のハーフである男、“竜人”と呼ばれる男だ。

ドラゴンの戦闘能力、魔力、高い耐性、人間の知能を持っていた竜人はあのアーサー17世にも引けをとらない力を持っていたのだ。


だが竜人も所詮は奴隷の立場ー

魔王討伐が終わり、奴隷に戻ってからは戦場での活躍をやっかんだ人間たちから以前よりも酷い仕打ちを受けるようになったという。


あの男の協力があればこの地獄ともおさらばできる。しかし竜人は人間の身辺警護を主に任されており、彼らのやっているような仕事には滅多に顔を出さない。


「俺に考えがある。」


359号が言う。


「竜人には少々気の毒だが、あいつの悪評を流す。その上であいつを身辺警護の座から下ろし、話を通す。

竜人と接触する方法はこれしかない。」


ロウソクの炎が揺れる。洞窟の中には外からの生温かい風が入り込む。


まずは現場の奴隷に話を通す。

話が全体に広まったなら、竜人への偽情報を流布する。

その後竜人に話をつけ、しかる後反乱計画を実行。

計画の大筋はこれで決まった。



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