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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第4章七日間戦争編
172/209

暗躍5

そう、昨晩50人ほどの勇者を殺害したのはアーサーではない。ハルトマンとアンセムが共謀して作り上げた死者のホムンクルス。その仕業である。蘇らせた死者にハルトマンが手を加えれば、並みの者では太刀打ちできない強者をいとも簡単に作り上げられる。


さらに恐ろしいのは、強者を狩って殺すことで、その殺した者を死者として蘇らせ手駒にできる点だ。実に悪魔的な作戦だった。

休戦期間で多少気の抜けているところを急襲するだけ。自分たちは別のところからホムンクルスを管理するだけでいいから事は楽に運んだ。

参戦前からアーサーが3年前から随分変貌したという話を聞いた。黒い剣など、錬金術でいくらでも作れる。これで完成。そもそも変貌した姿の細かい部分など誰もわからない。イメージを作るだけでいい。

これはアーサー、だというイメージだけで人々は恐怖する。そこは我々の役割だ。

あの男はアーサーだ、と流布すればもうそいつはアーサーだ。


機関も教会との戦いでそれどころではない。目立ち過ぎれば目にも止まるだろうが。

そもそもコロッセオでトーナメント方式にしたのは効率よく勇者達を選別できたからだ。それを我々は代わりにしてやっている。機関から礼の一つも貰いたいくらいだ。


それにー

ハルトマンは内心ほくそ笑む。

誰も自分の正体など知らない。今やこの戦いは自分が握っていると言っても過言ではない。

アーサーの隠れ家、パーティーの女が竜人を拘束していること、亜人種のパーティーが教会の戦士とひと悶着あったこと、狼男が教会の戦士に連れ去られたこと、教会の戦士の居場所…


他の人間が知りたいことを私は知っている。こいつらは人形だ。私の手の上で滑稽に踊る人形。

アドルフ、そしてギーゼラ、お前らも例外ではない。長い時間共にいたからといって仲間意識が芽生えるのは間違いだ。私はそんなこと一度たりとも思ったことはない。

便利な実験器具、その程度の考えだ。


「アンセム君、私は教会の戦士の居所がわかったよ。」


「え!?本当ですか?」


「ああ。ほぼ間違いないだろう。君にも協力してほしい。」


「私にできることならなんでも仰ってください。」


「そうだな。まずは我々だけでは役不足だ。他の協力者も必要だ。」


「協力者…ですか。」


「心配はいらない。私にいい考えがある。ちょうど、困っている輩がいたもんでね。」


ハルトマンの頭の中ではこれからの筋書きがおおよそ出来上がっていた。だが彼には一つだけ誤算があった。その誤算は思いもよらぬところで明らかになるがそれはまた別の話。


「ことを起こすのは夕刻以降だ。うまくいけば、今夜中に名だたる勇者達の魂を得ることが出来る。」


「ええ!」


そして現在ー

ハルトマンは計画通り、亜人種の女と勇者を煽り、アーサーの隠れ家へと攻め込もうとしていた。

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