凱旋、そして5
この世界は次の段階へと進まなければならない。
ー絶叫。
その第一歩がこの国である。
ー断末魔。
偽りの平和を享受する狂王。彼は無数の屍を踏みにじり、笑いながら玉座に君臨し続ける。
ー血飛沫。
燃え盛るこの城は革命の狼煙である。そして産声をあげている。新たな世界、新たな平和、これから訪れる真の平和が。この場所で。
ー屍。
私にはそれだけの力がある。血筋だけの勇者共、何も知らず偽りの平和を謳歌し、考えることをやめた傀儡達を断罪する力が。
ー屍。
偽りの王は革命の下、玉座から引き摺り下ろされる。その身に宿った血筋というただ一つの、矮小な価値しかない血統さえ奪われ、地を這うのだ。
ー屍。
代わりに与えよう。踏みにじられ、歴史の影に消えていった者達の苦しみを。終わることのない怨嗟の声が、その身を内から、外から焼き尽くすだろう。
狂王は初めて耳にするだろう。消えていった者達の声を。叫びを。
その声は決して止むことはない。未来永劫、止むことはない。
ー屍。
悔やみながら、自分が地獄と共にあり続けなければならない。その苦しみをもって偽りの平和を享受した罰としよう。
私は革命者。
ー偽りの王。
この剣は私を選んだようです。試しに…今のあなたが持ってみるといい。
ー拒絶。
聖剣はあなたを見限ったようです。当然でしょう…あなたはもう勇者ではないのですから。
ー拒絶。
今のあなたに精霊の声が聞こえますか?
聞こえないでしょう?意識を集中してみてください、あなたの中に聞こえるのはー
ー怨嗟。
勇者の血は私が頂いた。あなたの中に流れるのは忌々しい魔族の血。その身体ではあなたは正気を保てないでしょう。
ー暴走。
ですが心配することはないのです。あなたにはこれを授けましょう。
ー魔剣。
その忌々しい血でもって私に会いに来るといい。私は革命者にして代行者。穢れた世界を浄化し次の段階へと導く。旧世代の者は次代の礎として消えるべきなのだ。
故に旧世代の遺物は残らず排除する。その機会はいずれ設けることにしよう。
そして私が引導を渡す。その時こそが新たなる時代の始まりである。
穢れた勇者諸君、偽りではない本物の世界を私は創る。
この聖剣エクスカリバーは私と共に在る。