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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第3章魔王討伐編(過去)
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死地5

「人間のくせに滅茶苦茶やりやがるな…あの野郎。」


上空で敵兵器の爆撃を華麗に避けながら、竜人がアドルフの暴れぶりに感嘆する。

アドルフの動きを見つつも、自分への攻撃に対する注意を怠らない。竜人も竜属性を持っているが、アドルフのような不死身の肉体を持っているわけではない。竜属性とは最強の生物ドラゴンと同じ属性。つまり炎や雷、氷といったほとんどの属性攻撃に加え、毒や麻痺などの状態異常に強い耐性を持つ属性のことだ。

この異常な吹雪が吹き荒れるコキュートスでさえ、竜人には効果がない。まるで舞うように飛び回り、敵兵器に炎や強力な拳の一撃を叩きこむ。


「だが俺も負けてねえ!飛空艇ってもんを、一度ぶっ壊してみたかったんだぜえええええ!!」


コキュートス上空の魔導兵器から放たれる砲弾を避け、カウンターとばかりに敵兵器の右翼部分に強力な打撃。

キングピサロから自分たちを輸送した飛空艇にあまりいい印象を持っていないのか、半ば八つ当たりのように敵兵器に殴りこむ。

右翼はその一撃で紙屑のようにくしゃくしゃにへこみ、右方向に傾き遥か下方へと墜落して行った。


「へっ!脆いガラクタだぜ!」


言いながら竜人はさらに別の兵器へと攻撃の照準を定めた。


「この調子ならあっという間に撃墜できるな。」


竜人がふと物足りなさそうにこぼす。アドルフの方に目を向けると、彼は狂ったように笑いながら、兵器を破壊し続けていた。だがふと様子を見るとおかしい。いや、それはアドルフに限った話ではなかった。

敵兵器の攻撃を避けつつ考えているが、その違和感が頭から離れない。


―お楽しみの最中だが失礼するよ。―


そんな時、アドルフのパーティの錬金術師ハルトマンがテレパシーで語りかけてきた。

あの男の声は生理的に受け付けない。それが直接頭の中に響いてくるのは不快と言うほかなかった。おまけに違和感とのダブルパンチで戦いに集中しづらい。その不快な声が頭に響き続ける。


―あの兵器についてだが、ギルバート殿からおもしろい話を聞いた。―


思わせぶりな言い方にさらに腹が立つ。こちらは必死で安全地帯確保のために戦っているのだ。


―先ほどから2人とも敵兵器を破壊し続けているが、どうも時間経過で復活しているようだ。仮説ではあるが、あの兵器には心臓部とも言えるコアが存在しているとみえる。

つまり、コアを破壊しない限り自動修復して永遠に稼働し続ける、というわけだ。わかったかね?―


こちらはテレパシーを使えないので、一方通行の連絡になる。不快なテレパシーではあるが、先ほどから感じる違和感はおそらくこれだろう。違和感が解決して少しだけ頭がすっきりした。


―戦いに夢中になるのはいいが、我々の安全確保を第一にしてくれたまえ。

アーサー殿のアヴァロンも維持に魔力を使う。早急な撃破を頼むよ。では―


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