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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第3章魔王討伐編(過去)
128/209

対話

作戦報告書

勇者機関のジェラルドを指揮官としたコキュートス侵攻作戦の概要は以下の通り。

キングピサロから借りている飛空艇(自由の女神)にて、侵攻作戦に参加する以下の者たちをコキュートスまで輸送。

参加するメンバーはアーサー、シモーヌ、ギルバート、ジークフリート、ギーゼラ、ハルトマン、竜人、ダンテの8名。

以上8名にて魔王の本拠地へ突入し、魔王を討伐する。

首都の防衛については、以上8名以外のほぼ全ての戦力を集中させることとする。


「ふむ、この8名なら特に問題なかろう。錬金術師が参加するというのも面白いではないか。」


大司教は今回の作戦についてまとめた報告書に目を通している。だが、どこか他人事な態度は相変わらずだ。資料にも隅々までは目を通さず、最初の数ページを読んでからは、パラパラとめくるだけで、


「いいだろう。これで進めてみよ。」


とだけ言い放った。


勇者機関 大講堂―


「作戦概要は以上、出発は明日だ。夜明けとともに飛空艇に乗り込みコキュートスへ乗り込む。何か質問はあるか?」


ジェラルドが講堂に集まった8名に尋ねる。マキシの言う通り、各々が神々とさえ渡り合える実力を持った猛者達である。並みの者ならこの威圧感だけで竦んでしまうだろう。


「私は特にはない。アヴァロンを常時展開し続ければよいのであろう?」


「何を言っておるアーサーよ。我輩の永遠のライバルであるからには、どちらが先に魔王を倒せるか競うほかなかろう。」


アドルフは作戦のことなども頭にはなかった。このメンバーを見て子供のように興奮を抑えられずにいた。ジェラルドも彼の性格を既に織り込み済みなのか、特に驚く様子も見せずにいる。


「アドルフ様!私もぜひお側に!2人でコキュートスをさらなる地獄へ変えましょう!」


「おいおい、亜人種の俺より理解力がないんじゃねえのかこいつら…メガネ、なんとか落ち着かせろよ。」


竜人がややいらだった様子でハルトマンに詰め寄る。


「ククク、それができないから2人を放置せざるを得ないのだ。やはり亜人種は人の心情を読みとるのが上手くないようだね。」


「何だとてめえ」


次の瞬間、空気が凍りついた。このあまりに冷酷なオーラを前にジェラルドまでもが身構える。


「私は神官殿に質問がある。くだらない茶番なら外でお願いします。」


ログレスの将軍ダンテがそのオーラの主だった。彼の足元の床にヒビが走る。彼にとってそれほどこの空気が許しがたいものだったのだろう。


「ガハハハすまなかったな、ダンテ将軍。ただその殺気を何とかせんと、神官も話が出来んようだぞ。」


「心配無用です。この程度の圧で竦むようなら、我々の指揮官ではありません。そうですよね?ジェラルド殿。」


ダンテがジェラルドに問いかける。ジェラルドは蛇に睨まれた蛙のように動けない。

それでもかろうじて平静を装い、極めて冷静に答えた。


「ああ、そうだとも。」


ジェラルドはダンテから目が離せなかった。少しでも目をそらしたらその隙に命を奪われかねない殺気を感じているのだ。


「それで…質問というのは?」


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