表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第3章魔王討伐編(過去)
124/209

コキュートス2

「さてジェラルド殿…今回我々が侵攻するのは遥か北にある絶対零度の地域、コキュートス。」


「極寒の場所であり、常に吹雪が吹き荒れている。コキュートスの吹雪は特殊だ。あの吹雪を浴びたなら、即座に氷の彫像になってしまうだろう。」


「アーサー17世のアヴァロンを使う他ないでしょうな。」


「懸念事項はあの影だ。アーサーをコキュートスへ派遣したとして、その隙に影が侵攻して、首都が陥落しては意味がない。」


暗い講堂に2人の会話が響く。


「心配ないんじゃないかな。あの影はどうやらアーサーにご執心のようだしね。」


そこへもう1人、勇者機関で功績を挙げた者が現れた。

小柄で人形のように無表情な男、


「マキシ…お前もいたのか。」


思わずデニスが驚く。それもそのはず、この講堂には2人しかいなかった。突然現れたマキシに驚かないはずがない。


「僕はもともと暗殺者アサシンの素養がある。気配を断つことくらい朝飯前さ。」


「マキシ…お前も今回の作戦指揮を任されたのか?」


ジェラルドが尋ねる。


「そうだよ。ま、気負わずにやろうよ。空回りが一番危ない。」


この男の落ち着き様は異常という他ない。常に冷静沈着。時にそれは頼りになり、時にその人間らしからぬ様子には恐怖を抱く。

だがこの非常時において、この冷静さは絶対必要だった。


「僕はコキュートスに最大戦力を割き、短期決戦で魔王の首を取るのが上策だと思うね。

コキュートスの吹雪をアヴァロンなしで突破は不可能だ。」


「最大戦力か…そうなるとアドルフの一派、ログレスのダンテ、竜人…アーサーの一派、これで充分だろうな。」


ジェラルドはあっさりと決断を下した。

デニスがやや不思議そうにジェラルドに問いかける。


「ジェラルド殿…最大戦力と言いましたが…およそ10人ほどの人数で攻めるのですか。」


ジェラルドは不敵に微笑みデニスに返す。


「最大戦力イコール多人数とは限らないだろ?今私が挙げた者達は一騎当千の強者達だ。」


「そう。彼らはいずれも、1人で神々とさえ渡り合える程の力の持ち主さ。その分他の全ての戦力を首都やその近郊へ集中させしまえばいい。」


マキシの作戦は大胆なものだった。

規格外の能力を持つ勇者達、それも少人数による侵攻作戦。

しかしこの作戦には穴がある。


「アーサー以外の者ではあの影は対抗できん。不死身の肉体を持つジークフリートでさえな。影がアーサーの言うとおり魔王の思念体だとするのなら、魔王は影を遠距離に飛ばせるということだ。」


「むう、私には難しいことはわかりませんが…影を複数飛ばすことが可能ならば、我々に勝ち目はないのでは?」


「それも考えられるけどね…

さっきも言ったけどあの影はアーサーに興味がある。それに本体が叩かれる危険があるなら、おいそれと思念体を飛ばしてる余裕なんてないと思うけど。」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ