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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第3章魔王討伐編(過去)
114/209

首都防衛戦2

大講堂はいつにも増して張りつめた空気が漂っていた。

それもそのはず、首都へ魔物が侵攻し、あと1日もしないでここは戦場になることが予想されるからだ。

各国から招集された勇者たちも集っている。その中にはあのアーサー17世ヨハンの姿もあった。

大司教が姿を見せると、ざわついていた講堂が静まり返る。


「勇者たちよ、既に聞き及んでいる者もいるかと思うが、今一度説明する。」


それからは大司教による説明が続いた。話の要点をかいつまむと、アリゼイユが陥落し首都へ魔物が侵攻、これから大規模な戦いがここで行われるだろうことを長々と話していた。

その中でこの非常時に邪魔をするキングピサロやあっけなく陥落したアリゼイユの勇者たちへの呪詛の言葉がときどき聞こえた。

だが大本営である首都には今回の戦争で一番大きな戦力が集中しており、いまだ戦いも起きていなかったため、態勢は万全と言える状態だった。

おまけに危険な状態である戦地には教会の戦士たちが派遣され戦況も徐々にではあるが、巻き返しているといったところだ。


「ギルバートの言った通り、ログレスも危うい状況のようだ。ダンテがうまくやってくれることを祈るほかないな。」


ヨハンはログレスが危機であると知ってから落ち着かない様子だ。それもそのはず、前回の魔王討伐ではログレスの周辺国が2日で陥落したこともあるからだ。愛国心溢れるヨハンは今すぐにでも国へ戻りたいと歯がゆい思いをしている。


「アーサー王よ、お気持ちはお察しいたします。ですが、ログレスの兵は精強であります。ダンテ将軍に一任してある今、先のような大敗はなさらないでしょう。」


シモーヌがヨハンを落ち着かせようと話す。だがそう話すシモーヌ自身も少し不安なようだ。弓を持つ手がわずかに震えている。祖国の危機に平常心でいられるはずがないのだ。

だがそんな2人とは対照的にギルバートは落ち着いていた。彼はただ悠然と構えていた。


「お二人とも、心配召されるな。戦況に有利不利があるのは当然のこと。今はダンテ将軍を信じ、我々は眼前の戦いに注力しましょうぞ。でなければ、我々はログレスの恥となるでしょう。」


「ギルバート、お前…」


シモーヌが意外そうな顔をしてギルバートを見る。彼もいっぱしの魔術師。今の彼からは普段の胡散臭いだけの雰囲気はない。戦いを前にした魔法使いの風格が備わっていた。


「そうだ、我々はログレスの、いや世界の命運を託されている。ギルバートの言う通りだ。」


今回の首都防衛戦はアリゼイユからの魔物が第一陣、さらにそれに乗じて攻め込んでくるだろうコキュートスからの第二陣が予想される。加えて他の戦線が突破されれば、そこからの侵攻もあり得る。

戦力が十分とは言え、油断はできない。

勇者側も部隊を5つにわけ、第一部隊から交代で出撃し戦うこととなった。


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