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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第3章魔王討伐編(過去)
111/209

教会の戦士4

「つまり死なない、だってよ。わかるかよあの野郎。」


「まあお前は気の毒だったよ。それよりこの人数から更に班が分けられるとは、結構負担が大きいんじゃないか?」


イングリスの話を聞いた後、聖騎士団の任務の詳細が伝えられた。


聖騎士団の任務内容は戦線で窮地に陥った勇者機関の人間の救出、及び魔物の掃討。

特に北西部、東部はだいぶまずいようで一刻の猶予も許さない緊迫した状況下にあった。

北東部に至っては戦線が壊滅し、もはや拠点としては機能していなかったが、突破された戦線から魔物がなだれ込み、首都へと侵攻しているらしい。


「チェスター頼むぜ。おっと、ゴドフロア10世候補って呼んだ方がいいか?」


同僚に茶化されチェスターはむっとした。

正直なところ彼は次期当主など考えてもいなかった。


「そんなになりたいなら譲ってやってもいいぞ、当主くらい。」


「ははは、当主候補は余裕だな!」


「さ、ふざけるのもここまでにして…

支度が済んだら聖堂地下の魔法陣に集合だ。そこで班を2つに分ける。北西部及び首都担当と、北東部及び東部担当の2つにな。」


チェスターの言葉を聞き、聖騎士達の気が引き締まる。

そう、彼らはこれから戦争へと向かうのだ。世界の存亡を賭けた大規模な戦争、魔王討伐へと。


聖堂地下の魔法陣は低い音を発しながら赤く光っていた。その無機質さに嫌な感じがする。

若手でありながら、大規模な戦争へと駆り出されるというのはこの上ない緊張感だ。

チェスター自身、今からでも逃げ帰りたい気分だった。


魔法陣に踏み出す足が止まる。

直感でこの先には言ってはならないと第六感が警鐘を鳴らしているのだ。

だが団長である自分が一歩を踏み出さなければ他の者に示しがつかない。

そんなことをして当主の、父の顔に泥を塗るわけにはいかないのだ。


「チェスター?」


同僚がチェスターに声をかける。


「すまない、何でもない。さあ行こう。」


チェスターは魔法陣に足を踏み入れた。






「………ここは…?」


目が覚めるとそこは病室と思しき場所だった。アンセムはベッドから体を起こし、少し混乱している記憶を落ち着かせようとした。

病室に寝かされているということは体がどこかおかしいのか、欠損した部分があるのか。

彼は自分の体を一通り見たが、特に異常はなかった。


辺りを見回すがその病室には自分以外誰もいない。なぜこんなところにいるのか、頭を整理してみる。最後に自分が何をしたのかを頭の中から呼び覚ます。

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