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勇者たちの鎮魂歌  作者: 砂場遊美
第3章魔王討伐編(過去)
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教会の戦士2

首都から北西ー

教会の人間が集う都市トレミア


ここは教会と呼ばれる組織が収める都市で、勇者機関以外の組織が支配する数少ない街である。

もともと勇者機関は教会から独立した組織なのだが、よく言えば保守的、悪く言えば古臭い慣習を残す教会よりも民衆の支持を得た。

そのため今では独立した勇者機関の方が世界的に強い影響力を持っている。

それは首都が勇者機関のお膝元であることからも明らかだ。


たが教会の者は毎日神や精霊に対する祈りを欠かさない。神の教えや規律を遵守し、決して背かない。

そういった神に対する信仰が強い加護の力となって都市全体に溢れている。

すなわち、聖なる力によって強力な結界が張られ、魔王と言えどこの都市には入ることができない。

そのため、教会の戦士たちは心強い味方であるはず、なのだが組織の成り立ちを紐解くと、勇者機関と教会には深い溝があるためそうもいかないのだ。


トレミア中央部、大聖堂ー


首から十字架をさげ、教会独自の衣服を身に纏い、ステンドグラスから射し込む光にひざまづいて祈りを捧げるのは教会の最高責任者であるゴドフロア9世である。


聖堂の中は静寂だった。

その静寂を破り、扉が重い音を立てて開かれた。

ゴドフロア9世はやや不機嫌そうに音の方を向いた。


「急ぎの用事かね?私は今礼拝の最中なのだが。」


「ご無礼お許し下さい。大至急9世に会いたいと申すものがおりまして。」


「大至急だと?」


「ええ、勇者機関の者にございます。」


その言葉を聞き、9世の表情は更に険しくなる。


「教会の裏切り者が今更何の用だというのだ。追い返せ、今すぐにだ。」


その時、教会の使いの背後から1人の男が姿を現した。

禿頭で体格のがっしりとした神官、勇者機関のデニスである。


「礼拝の最中に申し訳ありません。ですが、世界は今や一刻を争う自体に瀕しています。」


「ふん、そのような台詞、聞き飽きたわ。」


「魔王が復活したのです。」


「ほう、何度目だね魔王の復活は。いつものことじゃないか。」


「ゴドフロア殿、もう敵は戦線を突破し首都へと猛進しております!」


「武闘派くずれが魔物すら止められんとは。」


「大変お恥ずかしい限りです。」


「神に祈ってはどうだね?今更だとは思うが。」


「あなた方教会の戦士達の力を見込んでのことなのです!こちらには大司教直々の文書もございます!」


「直接顔は見せず、偉そうに手紙だけよこすか。貴様はガキの使いだな。」


「どうか、どうかゴドフロア9世よ、お考えくだされ。勇者機関の私が申し上げるのもおかしいことですが、ここで勇者機関に貸しをお作りになれば、これから先勇者機関に優位になるのではないでしょうか?」


その一言に9世は一瞬止まった。


「貸しか…」

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