亜人種の力4
東部戦線ログレス ログレス城
「ダンテ将軍、第一陣撃退‼︎防衛に成功致しました‼︎」
「ええ、皆良くやってくれました‼︎勝鬨をあげるのです‼︎」
ここログレスではダンテの指揮の下、統率の取れた動きで迅速に敵の先鋒を撃破できた。人間も亜人種もお互い協力的であり、何より亜人種の力が予想以上だったこともあり、それほど時間がかからずに勝利できた。
目当ての魔物のデータも無事採取でき、これで第二陣以降に備えることができる。
戦線は一時休息の雰囲気となった。第二陣到着まではまだ時間があるが、また予定より早く侵攻してくることを考えるとあまり余裕はなかったが、やはり勝利は嬉しいものだ。
ダンテは将軍達と共に城内作戦会議室にて会議を行っていた。
「そうか、今回の魔物は最初から魔法を反射するバリアを備えているのだな。」
「ええ。ですので魔法は主に味方の補助や回復に使用するのが上策かと思われます。」
「しかし、亜人種の力にも驚きましたな。
わずか1時間ほどですぞ。あの軍勢をあの人数で退けるなど…やはり一味違うのですな。」
将軍達は亜人種の活躍に感嘆した。
「もしかすると、今回は魔物自体が弱いので数を多くしているのではないですかな?」
ふいに将軍の一人が呟く。
「儂もその考えには賛同する。」
「いかにもですな。となれば、敵の能力もわかった今、防衛が終わり次第、本拠地へ突撃すれば案外早く終わるのでは?」
ダンテは黙っていた。浮かれ気分な他の将軍達とは違い、彼は魔物のデータや魔物の数などの資料にずっと目を通していた。
「まだ戦いは始まったばかりです。これで浮かれているようではこの先持たないでしょう。ひとまず、第二陣に備えるのです。
それに…これが敵の実力だとは到底思えません。」
首都フィンガルト 勇者機関本部
「魔物のデータの集計、計測がほぼ完了しました。」
「各戦線からの情報を元にした結果、魔物の種類はおよそ30。その全てが魔法を反射するバリアをあらかじめ装備している模様。」
「能力値の計測結果はご覧の通りです。」
「………これは信頼できるデータなのか?」
大司教が資料を疑いの目で見る。
「ええ。驚かれるのも無理はありません。こいつらはとても魔王の配下とは思えないステータスの低さです。」
提出された資料には魔物のデータが載っていたが、それを見てみると、とても魔王の配下とは思えないほど低ステータスなのだ。
決して敵が弱いわけではないが、それでも前回、前々回も比べても敵は弱体化していた。
亜人種があれほど容易く制圧できたのも頷ける。