戦場の修羅たち3
「ククク…アドルフ殿、うまくやってくれたようだな。カルタジャーラは降伏を宣言した。もう戦うだけの力は残っていない。じきにアルミエーレの占領下となるだろうな。」
「ガハハハハハハそうかそうか!これでカルタジャーラの領土も我が手中におさまったのか!」
アドルフはギーゼラから離れ、ハルトマンからの報告に喜んだ。
ギーゼラはアドルフが離れたのをハルトマンのせいだと思っており、ハルトマンを睨みつけた。
ハルトマンはその視線を感じながらも、不敵な笑みを浮かべている。
「この戦いでいろいろなデータが取れたよ。特に人造人間の兵士の戦闘データはとても貴重なものだ。」
ハルトマンは嬉しそうに語るが、アドルフにもギーゼラにも彼の言っていることはよくわかっていなかった。
ハルトマンは錬金術師としての崇高な使命である賢者の石を求めて日々実験を行っている。熱心なことではあるが、彼の行う実験は戦場でのデータ収集や人体実験など非人道的なものばかりだった。
性格で2人と反りがあってはいないが、戦場で悦びを感じるアドルフやギーゼラとは利害が一致している。
歪な形ではあるが、この3人は向かっている方向が同じであり、パーティとしては理想の形態だった。
「ところでアドルフ殿、首都で行われる戦いはご存知かな?」
不意にハルトマンがアドルフに問い掛ける。
「む⁉︎なんだそれは?」
アドルフが興味を示す。
ギーゼラは蚊帳の外なのが気に入らないのか、ハルトマンの話には耳を傾けていない。
「なんでも魔王討伐に参加したものが3人一組で参加するものらしい。
パーティ同士で戦いあい、最後まで生き残ったものが大きな権力を手にできるものだ。
アドルフ殿、3年前の戦い覚えているかね?あの時の勇者共と今度は雌雄を決することができるのだ。」
「おお忘れるものか‼︎
確かに魔物との戦いもいいものだが、いずれ劣らぬ強者たちとの戦いも血湧き肉躍るものよ!
よい‼︎戦って生き残り、世界の王として君臨しようぞ!」
アドルフは乗り気のようだがギーゼラは相変わらずそっぽを向いていた。
「ギーゼラ殿はいかがかな?アドルフ殿と戦場でまた戦えるのだが…」
「あなたにそんなこと言われなくても戦いには参加しますわよ。3年前の戦いでアドルフ様と戦ったことは覚えていますわ。
あの時は2人で数え切れない魔物を屠れた…ああ…」
ギーゼラは恍惚とした表情でアドルフとまた戦えることに喜んでいるようだった。