あとがき
もうすぐ15歳の誕生日を迎えようとしていた、14歳の冬。
私は田舎から一人東京へ向かい、新宿駅でピンクのキャリーケースを転がしていました。
当時流行った飛ばしの携帯(プリペイド携帯)を右手に握って。
この物語に出てくる、一条あやねと同じように。
まさにこれは、私の人生そのもので、事実をもとにしたフィクションだと思って頂いて構いません。
もちろん、人物名などは仮名です。事実よりも大袈裟に書いていることや、創作も混じっているので完全に実話とは言えないのですが。
どの部分が実話でどれが創作かはご判断にお任せします。
ただ、この物語に出てくるすべての登場人物に関しては、実在し、関わった方々をモデルに書かせてもらっています。
主人公の男の子も、一応実在していました。
今はどこで何をしているのか、死んでいるのか生きているのか、それすら分からないし、たとえ道ですれ違ったとしても気がつかないかもしれないです。
私が彼の名前を書かなかったのは、実在した彼の名前を忘れてしまったからです。
どうしたって思い出せません。
だからあえて最後にあやねにあの台詞を言わせました。
まだ13歳の時、帰る場所のなかった私は、夜コンビニ前で座り込んで携帯で援助してくれる大人の男を探していました。その日はとても寒い日で、どうしても温かいご飯と、寝る場所が欲しかったのです。
友達や、頼りにしていた先輩に裏切られ、家族にも頼れない、とにかく本当に独りでした。
それでも泣き言を言ってはいられず、13歳の自分にできる方法で、自分を守ろうとしていたのです。その為には、自分の体などいくらでも使えました。自分の中で使えるものは徹底的に使いきろうというある種の覚悟がありました。
そういう種類の人生でした。
あやねも、そういう女の子です。
彼女には私のやりきれなかった人生の想いなんかをブチ当ててしまいました。
書いていくうちに、どうしても彼女を傷つけてしまうような状況ばかり頭に浮かんできました。
私はただ、自分よりも不幸な女を書いて、昔の自分を慰めたかっただけなのかもしれません。
別の物語りとして、あやねを主人公にしたものを書きたいと思います。
その時はどうかまた、読んで頂ければ幸いです。
ここまで読んで頂き光栄です。
だらだらと書いてしまいましたが…
本当にありがとうございました。