魔法使いの彼
本当に短いです。
小説とは言えないかもしれませんが、投稿させて頂きました。
授業中。これほどに暇な時間もないだろう。
授業内容は既に塾で習った。
学校の授業はゆっくりと進む。
それと一緒で、時間も果てしなくゆっくり進む。
――――――あたしの彼氏。
冬の白く軽い日の光が、窓側のあたしの彼氏の背中を照らす。
3年間着た制服は、もうすっかり小さくなって、
逞しくなった彼の背中には似合っていそうで似合っていない。
彼は真面目だ。
頭が良いくせに、授業はいつもしっかり聞いている。
そういうところが好きになったんだけど、やっぱりあんたは
もう少し不真面目になっても良い感じがする。
彼は頬杖をつく。
1年生の頃からの癖。
必死に彼に追いつこうとして、私も真似して頬杖をついていたら、
いつのまにか私の癖にもなっていた。
彼はペン回しをする。
彼の細いけど逞しそうな綺麗な指が
青いシャープペンをまるで魔法のように操る。
クルクル・・・
あたしがどんなに頑張っても出来なかったペン回し。
頬杖をつきながら、右手でペンを操る。
仕方ないから、あたしは頬杖だけ真似してみるよ。
凄く綺麗な円を描いて、シャープペンは彼の手に収まる。
時々、
失敗しちゃう彼が、とてつもなく愛しくて、
こどもみたいに
ぎゅっ
ってしたくなるんだ。