7. 証明はすぐに出来ました
翌朝、僕は何となく起こされた気がして目が覚めた。
身体中が固まっている感じで上手く動かせない気がした。 次の瞬間、僕は一気に現実に目覚めた。 そうだ僕はラミアに捕えられたんだった。
僕は現実をしっかりと思い出したのだけど、諦めの心境が強く心を占めてしまった。 そうすると考えが現実逃避するのかもしれない。
こんな危険な、命さえいつまで保つか分からない状況でも、酷く疲れた後に食事なんてすると、ちゃんと眠れるものなんだな。 自分のことだけど、少しびっくりだよ。
そうだ、僕はラミア5人に、手足、それに体まで押さえつけられて寝ていたんだ。 それで寝ている間中、体を動かすことが出来なかったから、体が固くなっちゃって上手く動かせないんだな。 痺れているんじゃなくて、ちゃんと血が巡ってなくて上手く動かせないんだ。 そういえば、押さえつけられていた重みを今は感じなくて、手も足も血がちゃんと回り出した感じがする。 そのせいか、そこら中少し痛い。
何だか僕は恐怖が一周回って、それに慣れてきたのだろうか。 何だか冷静に慣れた。
僕を押さえつけるのをやめたラミアたちが、話をしている。
「本当に不能じゃなかったんだね。」
「夜寝ている間も時々感じていた気がするのだけど、朝になってびっくりだよ。」
「ふふっ、あんた、それ目の前にしてというか、くっついて寝てたんだものね。」
「でもこれ面白いよね。 大きさもこんなに変わるんだ。」
「私も触る。代わって。」
どうやら、起こされたと感じたのは、ラミアたちが僕の下半身に興味を持って、触っていたかららしい。
どうやら普通に朝の生理現象で、僕の下半身はその大きさを変えていたらしい。
そういうのを当然見慣れないラミアたちは、そこに興味を感じて触ってみたりしていたようだ。 いくら物珍しいとはいえ、人の下半身をおもちゃにして欲しくないよな。
ラミアとは言ったって、上半身だけ見ると、可愛い女の子たちなのだ。 そんな女の子たちに裸で下半身を直接触られたりしたら、それは興奮しちゃうのは男として仕方ないよ。
そんなことを考えてしまった瞬間、そう、ラミアなんだと認識した。 すると、やっぱり女の子たちに見えていたのに、怖い魔物だという気持ちに戻っていった。 そしたら正直にも僕の下半身は力を失くしていった。
「あれっ、やっぱりダメになっちゃったぞ」
僕の下半身の状態に気づいた短髪のラミアが、すぐにそう言った。
ラミアたちの注意は下半身の状態ばかりに向くのかと思ったのだけど、そんなことはなくて、リーダーの金髪のラミアは僕が目を覚ましていることに気がついた。
「おはよう。 目が覚めたのね」
「ほら、言ったとおり、不能じゃないだろ。
今はちょっとラミアに対する恐怖感を思い出したら、力を失ったんだ」
僕は不能の男は無用だから処分されるかもしれないという恐怖も思い出して、朝の挨拶をされたのに、咄嗟に必死で弁解してしまった。
「そうだねー。 不能じゃなかったんだねー」
「だから僕は不能じゃないって。 今は本当、ちょっと恐怖感を思い出したからだけだって」
僕はまだ弁解することを止められない。
「恐怖感て何よ。 ラミアは人間に危害を加えないって、昨日から言っているじゃない」
ピンクの髪をした小柄なラミアが、少し怒った調子で言った。
「そう言われても、昔からずっと怖いと教えられていたから、咄嗟にはその意識が出てきちゃうんだ。 頭では本当は怖くないんだぞって考えても、なかなか簡単には切り替わらないんだ」
僕はラミアは人間に危害を加えないということを信じたと強調しなければならないと思った。 本当のことを言えば、まだ信じているとは言えないのだけど。
大丈夫、大丈夫。 ラミアは人間に危害を加えない。 うん、それに何となく、ここにいる5人のラミアは僕に危害を加えてこないような気がする。
僕は寝起きでぼんやりしていたり、恐怖を思い出したりと、心がパニックを起こしそうになっていたけど、やっと少し落ち着いてきた。
「そんなことより、またここの大きさを変えてみて。
見慣れない器官だから、とても興味深い」
金髪のリーダーさんと、ピンクの髪の小柄さんとの話に、全く我関せずで青髪さんは僕の下半身を観察していたようだ。
裸の下半身をまじまじと観察されていたことに今更ながら気づくと、何だか急に恥ずかしさが込み上げてきた。 ラミアの5人も裸だからお互い様なのだけど、それも意識すると目のやり場にも困る。
とりあえず、この5人といる今は命の危険はないかな、などと考えたこともあるかもしれないけど、少しだけ安心したら、ちょっと余計に恥ずかしいのだけど僕の下半身は反応してしまった。
「単純に見慣れないというなら、足だって見慣れないだろ」
黒銀の短髪さんが、青髪さんの言葉に少し揶揄ったし調子で反応を返した。
「私は別に珍しいとも何とも思わない」
あまり話したりしないけどすばしっこそうな黒髪さんが、青髪さんと短髪さんの会話に加わった。
僕は自分のことが話題にされているのだけど、なんて反応して良いか分からなくて、声を出せない。 会話に加わると、彼女たちというか、そのラミアたちにまともに視線を向けなくてはいけないし、それも何だか恥ずかしい。
僕の下半身がこの状況に反応して、その大きさと硬さをまた変えてしまったことに気がつくと、3人は会話を忘れて、観察することに集中してしまった。 その様子に気付いたあとの2人もそれに加わってしまう。 僕はもう、ラミアたちだというのを、何だか恥ずかしさから忘れてしまった。
研究熱心という感じで、青髪さんは僕の下半身に触れてみたり、顔を近づけてまじまじと見たりしている。 何だか興奮して荒くなった青髪さんの呼吸の息が、肌に感じられるような気がした。
気になるから、目を逸らしてばかりはいられないのだけど、見てしまうと彼女たちも裸なので、もうラミアだというのを忘れて興奮しちゃうんだよ。 それに彼女たちは、どういう訳か自分たちも裸であることを全く気にしないで、僕の視線にも全く動じず平然としているから、余計に視線を漂わせている僕はどうして良いか困って、恥ずかしい気分にさせられる。
「ねぇ、もしかして貴方、自分は不能じゃないって力説していたけど、これの大きさを変えることが出来るだけじゃなくて、精を出すことも出来るの?」
そんなの出来るに決まっている。 実際のところ、今現在、5人の裸の女の子に囲まれて、自分も裸で、その上触られたりして刺激されて、爆発しそうなのを懸命に耐えている状態だ。
それに必死で、僕はその質問に、コクコクと頷くことで答えた。
「ええっ、それって大問題じゃない!!」
金髪のリーダーさんが、急に大きな声でそう叫ぶように言うと、その声を抑えようと短髪さんが口を押さえた。 マジで口と鼻まで塞がれて、金髪リーダーさんは苦しそうだ。 押さえている短髪さんの手を叩いて、ギヴアップ宣言をした。
「ごめん、驚いて、つい大きな声が出ちゃった。 気をつけるから。
でも、大問題じゃない?」
「うん、本当に大問題」
一番近くで僕を観察していた青髪さんも、金髪さんに応えてそう言うと、5人のラミアたちは急に僕から離れて、5人で話し合いを始めてしまった。 えらく真剣な調子だ。
「大問題って、何が大問題なんだ?」
「バカね、大問題に決まっているじゃない」
「うん、大問題」
「そもそも人間の男の精を受けても良いのは、基本的にラーリアの方たちだけ。 他には、ラーリアの人たちが人間の男がいるのに、出掛けて離れなければいけない特殊な状況だったり、人間の男に余程余裕があれば、ミーリアの方達が得られるくらい」
「だよねー。 この人間の男が精を出せるとしても、それを私たちが勝手にどうこうして良いということにはならないよね」
それはそうだよね、という感じでラミアたちは納得しそうだったのだけど、黒髪さんが一言言った。
「でも、この人間の世話を私たちに押し付けた時、ラーリア様は『好きに使って良い』って言ってたよ」
5人のラミアたちの目がキラっと光ったような気がした。
「好きに使って良いというのは、つまりはそういうことだよね」
「待って、待って、待って。 好きにして良いというのは、あくまでこの人間さんが無用な者であるというのが前提だよ。
この人間さんが本当は精を出せるというなら、それは話が別なんじゃないかな」
「そういう可能性も込みで、自由にして良いと任されたんじゃないかな。 もし、その可能性を考えてなかったとしたら、それはラーリア様のミスで私たちの責任じゃないわ。
それに、この人間が不能じゃないのを知っているのは、私たちだけなんだよ」
ピンク髪さんのこの言葉に、ラミアたちは少し黙り込んでしまった。 視線だけが互いの間を激しく交差している気がする。
意を決したように黒髪さんが言った。
「つまり、私たち以外に知られなければ問題ない」
「うーん、良いのかなぁ、それで」
金髪リーダーさんは弱気だけど、みんなの意見に反対はしないみたいだ。
ラミアたちはまたほんの少しの間互いに視線を交わすと、一斉に頷いた。 秘密の合意が共有されたということなのかな。
「で、誰が一番最初にこいつの精を得る?」
短髪さんが、僕の方を見て言った。
ラミアたちは顔を見合わせた。
「やっぱりリーダーからよね」
「良いの?、私からで」
弱気な発言をしていた金髪リーダーさんだけど、僕の精を受けることに関して嫌がるどころか、ちょっと積極的な雰囲気だ。
「一人で捕まえたんだから、それくらいの優遇はされるべき」
青髪さんがそう言って、他のラミアもそれに同意したからか、金髪リーダさんが、広くはない部屋の中だけど少し僕から離れてラミアだけで集まっていた所から僕の方に近づいて言った。
「ということで、私が一番最初に貰うことになったので、よろしくお願いします」
あれっ、お願いされちゃったよ。
僕は少し放置される感じになっていたので、下半身はパワーを少し失っていたのだけど、金髪リーダーさんが近づいて来ると、変な期待感からかフルパワーに復帰した。 あまりに非日常過ぎて、現実感が無くて、どこか意識のタガが外れてしまったような感じだ。
僕は金髪リーダーさんに触れられると、簡単に大放出してしまった。 他のラミアたちにガン見された中でのことだから、普通ならそれどころじゃないんじゃないかと思うのだけど、今まで人間の女性とも親密な関係になったことのない僕は、全く耐性がないから仕方ない。 決して金髪リーダーさんがラミアだから、素晴らしいテクニックをしていたからとか、特殊な技能があったからとかという訳じゃない。 それどころか、触れるのにどうして良いか分からないというような、拙い調子だったのだ。
僕はそんな自分を、少し男として恥ずかしくも感じて、困っていたのだけど、恐る恐る周りのラミアに目を向けると、周りのラミアは全く僕を見ていなかった。 残りのラミアたちの視線は、金髪リーダーさんに集中している。 その視線に導かれて、僕もそっちを見てみると、えっ、大丈夫かな、これ。
僕の精を受けた金髪リーダーさんは、目を白黒させて、身体を尻尾の先までピクピクさせている。
どうしちゃったんだ。 大丈夫なのか、これ。
ピンク髪さんが声をかけた。
「で、どうだったのよ、人間の精は?」
「凄いなんてもんじゃないよ。 全然別次元だよー、これは」
「って、どんな感じなの?」と、黒髪さん。
「体に今までの数倍のエネルギーが満ち溢れているって感じ」
「そんなに凄いのか?」と、短髪さん。
「うん、これは自分で得てみないと理解できないかもしれない。 とにかく凄いから」
残りの4人のラミアの目がギラギラして凄いことになっています。
どうしよう、蛇に睨まれた蛙か、僕は。
「じゃ、次は私」と、青髪さん。
「ええっ、私も得たい」と、ピンク髪さん。
「「私だって」」と、黒髪さんと短髪さんも続く。
「いやいや、ちょっと待って。 すぐにもう一度出すなんて無理だから。
ましてや、あと4回なんて不可能だから」
僕は慌てて、出来ないことを主張した。
「えっ、でも他の人間は何度も出していると聞いた」
どっから得た知識だよ。
「それは噛みついての毒の影響じゃないの。 普通は無理だから」
「じゃ、噛みつく? 」
「噛みつくのはなし。 噛みつくの嫌でしょ」
「嫌だけど、精を得られるなら、我慢する」
「いやいや、噛みつくのはなしにしようよ。それはなし」
金髪リーダーさんから助けの手が入った。
「噛みついて動けなくしちゃうと、変に思われないかな?」
「逃げられないように動けなくしましたって言えば大丈夫じゃない」
「そうか、確かにそうかもね」
おい、金髪リーダー、弱すぎるぞ。
「あ、でも、夜にしないで、朝になってからというのは変かも」
この意見を言ってくれた黒髪さん、さっきまでは積極的で危ないかと思ったけど、この恩は忘れないぞ。
「えーと、とりあえず僕、トイレに行きたいのだけど」
話を無理矢理変えるために、僕は切羽詰まった感じでお願いした。
意外にも、簡単に僕の希望は通った。
ラミアって、とても人道的?
「分かっているでしょうけど、この部屋を出たら、大きくしたりしないでね」
「言わんとすることは分かる。
今は大丈夫だけど、この格好じゃもしもの時隠し様がないんだけど、自分の意思じゃ、ままならない時が多々あるんだ」
布切れ一枚で体を隠すしかない僕は、無理をアピールした。
「服も持ってきてあげるわ」
ラミアたちはそれから、それぞれ順番に自分達もトイレに行ったり、食事を取りに行くもの、服を取ってきてくれるものと、僕は世話を焼いてもらった。
なんだか立場的におかしい気がする。




