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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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6/10

6. とりあえず今後のこと

 どうやら命の危険は今はない気がして、少し気持ちが緩んだ。

 それはこのラミアたちが僕に対して割と気易く分け隔てない態度で接してくれているからだろう。

 大きな声を出してしまって口を塞がれたり、話に普通に加えてもらったりしていると、気がつくと彼女たちがラミアだということを一瞬忘れる。


 「とにかく、この人間のことを私たちが任されたってことよね。 これからどうしようか?」


 リーダーが、リーダーらしく話を今後どうするかという具体的なことに話題を軌道修正した。


 「私たちにということは、今までここに来た男たちと同じにはしない、ということだよね」


 あ、また話が危険な香りを帯びてきた気がする。


 「ここに連れて来られた人間て、普通はどうなるの?」

 僕は即座に口を挟んだ。

 もちろん一番興味があります、当然です。 それこそが知りたい。


 やっぱりここのラミアは気が良いのだろう、僕が口を挟んでも嫌な顔をしないで、また説明してくれた。

 「さっきの部屋でラーリア様たちが満足すると、それぞれミーリア様たちの誰かに世話が任されるの」

 「ミーリア様たちは夜は自分の部屋に連れて行って、食べさせたり、寝かしたり、人間の面倒をみる」


 あれっ、何だか捕虜や奴隷という感じの待遇でもないような。


 「えーと、ラーリア様たちっていうのは、さっき僕の友人たちをそれぞれ引っ張っていった10人のことだよね」


 「そう、この部落で最上位の10人」


 「ミーリア様たちっていうのは?

   様をつけて話しているから君たちよりは上の立場なのかな?」


 「当たり前、ラーリア様たちの次の10人。

  ちなみにミーレア様たちまでは個人の部屋を持っている」


 「ミーレア様って、ミーリア様のグループ?」


 「違う。 ミーレア様たちはミーリア様たちの次のグループ」


 最初話が噛み合わなかったが、どうやらラミアというのは完全な順位制の社会みたいで、最上位の10人がラーリアと呼ばれ、その中の最上位個体をそのグループ名のラーリアと呼び、それ以下は個人を識別する時はラーリアの後に順位を表す言葉が付く。

 それ以降、ミーリア、ミーレア、アーリア、アーレア、アーロアと続き、ここまでが上位グループでそれぞれ10人づつ。

 それ以降は名前も法則性はなく、グループは5人ごとになる。ただし名前の頭にラ・ミ・アの三文字は使えない。

 ラミアは基本的に個人能力主義に見えるのだが、本来個人名はないという。

 孵化の季節に揃って生まれ、一緒に育ち、そのうち強くなれば上位グループになるのだという。 そこはまだ良く分からない。

 ちなみに部屋は頭がアのグループは二人部屋、その他はここと同じ様に5人部屋だそうだ。孵化したばかりの幼生体は大部屋らしいけど。

 この部落は全体で200人位ということだから、この洞窟も上下左右にかなり広いらしい。


 「何となく構成は分かったけど、何で2番手グループのミーリア様たちが人間の面倒をみるの?」


 「えっ、だって、世話してあげて夜一緒のところで寝ていたら、精力が残っている時もあって、そしたら精が得られるでしょ。 その可能性が高いでしょ」


 そうだよね、精をエネルギーにする魔物だものね、何事もそれ優先なのね。


 「で、精を出さないあなたは全く無用の人。

  だから私たちに任された」


 いや、勃たなかっただけですから。


 僕がそんなことを聞いていたら、時間だけはかなり経ってしまった。

 それでも気が少し緩んだのか、僕の腹が鳴った。

 こんな状態でも腹は減るんだなぁ。 まぁ昨晩食べて以来何も口にしていないから。

 空腹に気づいたら、それ以上に喉の渇きが襲ってきた。


 どうしようかと思っていたら。

 「もうとりあえず疲れたから、食事して寝ない?」

 一人が投げやりな態度でそう言った。


 そういえば、小さな窓から入る光は随分と弱くなっていた。 今日は一日がとても長い。

 焚き火の光の外れで寝てたのが遠い昔の様だ。


 「うん、疲れたよね。明日でいいか」

 「食べ物を私が取ってくるよ。 こいつが居るから、ここで食べないと」

 「私も行く」


 ほんの少しの時間で二人は森の果実や木ノ実、そして水を持ってきた。 ラミアも普通の物も食べるんだ。


 「さあ、食べよう」


 水を入れたカップは僕も分もあるけど、食べて良いのか分からないので手を出しかねていたら、

 「あれっ、食べないの?」


 「僕も食べていいの?」


 「当然良いわよ。最初の部屋で言われなかった、食事も与えるって」


 そういえば、そんなことを言われた様な気もする。

 僕は果実を手に取り食べ始めた。 果実は熟れていて美味いけど、種が大きい物だった。 空腹から夢中で齧りついていると、ラミアたちが僕のことを見つめていることに気がついた。


 「ごめん、つい夢中になってドンドン食べちゃった」


 「食べたって、全然食べてないじゃない」


 「何故外側のカスの部分だけ齧っているの?

   気を使って剥いてくれているの?」


 ラミアたちは、ちょっと変人を見る目で僕を見ている。

 ん、話が噛み合っていない。

 ラミアたちの方を見てみると、彼女たちの前には果実の外側がある。 僕の前には中の種。


 「えーと、もしかしてラミアの食べ物って、この果実の種の部分?」


 「当たり前でしょ。 その部分にエネルギーがあるのだから」


 「僕たち人間は周りは食べるけど、種は食べない」


 お互いに「ええ〜っ」て感じだった。


 「人間て、変。 カスの部分を食べて、大事な種の部分を食べないなんて」

 「生命の元になるエネルギーは種の部分にあるのよ。 それを食べないの?」


 ちょっとだけナルホドと思った。


 「うーん、人間も食べる種もたくさんあるのだけど、これは食べれないかな」


 「ふーん、変なの。 で、その前に置いてある種は私たちが食べちゃって良いの?」


 「うん、どうぞ。 逆に僕はその外側の部分もらっても良い」


 「うん、捨てるだけだから、構わないわよ」


 なんて言うか、異種コミュニケーション?


 ラミアたちの残した外側の部分をとても全部は食べれなかった。 5対1じゃ無理だよね。

 ちなみに木ノ実もみんな生で、僕たち人間が火を入れてないので食べることができる物は少なかった。 ま、絶対に食べれないということはないのだろうけど。


 それでも腹が膨れたら、途端に睡魔が襲ってきた。 それはラミアたちも同じ様で、すぐに寝ようということになった。


 ラミアたちの寝方はただ床に寝るだけだという。 床にはあの広い部屋ほどではないが柔らかい毛皮が敷き詰められているから不快ではない。

 ただ扉の奥側を頭側にして、尻尾で僕が逃げられない様に扉を抑えているのは理解できるのだが、両手足を一人づつがホールドすることはないと思う。 そこまでしなくても逃げないよ。

 そしていくらなんでもリーダーさん、扉に鍵をかけて出遅れたからって、僕の足の間に入り込み身体を枕にする様にして、手を回して押さえ込んで寝ないで。

 僕は体に布を巻いているだけだし、ラミアではあってもとても恥ずかしいのだ。


 そんなでも僕はすぐに眠りに落ちた。


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