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気がついたらラミアに(なろう改訂版)  作者: 並矢 美樹
ラミアの捕虜

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3. 運ばれた

 「そしたら、急いで合流しないと」

 「そうだね、あんまり離れてゆっくりしていると怒られる」


 移動するという言葉を聞き、僕はどうなるのだろうかと急に考えた。 もう諦めているけど、痛かったり苦しかったりするのは嫌だなという気持ちは捨てられない。


 「他と合流するということは、僕はここで殺されるのかな?」

 恐々と聞いてみた。


 「え、そんなことしないよ」

 何を言っているのだろうという感じで不思議そうな顔をされてしまった。


 「じゃ、僕はどうなるのかな?」

 「私たちの集落に連れて行くよ」

 どうやら奴隷として使われる運命なのか。


 「縄で縛って連れて行かれるのかな。 出来たら軽めに縛ってくれないかな、逃げないから。 痛いのは苦手なんだ」

 「縛るって、そもそも私たち縄なんて持ってないよ」

 「え、じゃあこのまま歩かされて行くだけでいいの?」


 ラミアたちはどうしようかという顔をして話始めた。

 「このまま連れて行くという訳にはいかないよね」

 「自分で移動してくれたら楽だけど・・・」

 「でもさすがにそれは変に思われるよ」

 「そうだよね、普通にしないと駄目だよね」

 「ということで、リーダー、サクッとやっちゃって」

 「え、また私なの」


 なんかやばい話の気がする。サクッとって何よ、サクッとって。


 「えーと、ちょっと聞いてもいいかな?  普通にするって何するの?

  サクッとって何?  出来れば痛いのは避けてもらえると嬉しいのだけど」


 ラミアは律儀に答えてくれた。

 「私たち、人を部落に連れて行く時には、気絶させて意識をなくしてから運んで行くの。

  キャンプしていたあなたの仲間たちも、みんな意識なくしてたでしょ。 見なかったかなぁ」


 「うん、確かにみんな倒れていたのは見た。 でも、どうやって倒されたのかは見てないんだ」


 「それがサクッとというところで、私たちラミアは毒を飛ばしたり、軽く噛み付いたりして注入したりなんてことが出来るの。

  だから軽く噛み付いて、意識をなくす程度の毒を、という訳」


 「いやいや、ちょっと待って。 毒を注入って、問題ないの?  それに噛みつかれたら、痛いから」


 「注入されたことないから分からないけど、大丈夫じゃないかな。

  今まで見てきた所では、みんな後から目を覚ましているから。」


他のラミアもウンウンと頷いているけど、ちっとも安心感がない。


 「私だって噛み付きたくはないのよ。

  私は動物性の物って卵しか口にしたことないけど、噛み付いたことがある人の話だと、血が出たりしてそれが気持ち悪いって言うし」


 「じゃあ、噛み付くのは止めようよ」


 「でもそれじゃ合流した時に怒られるかもしれないし」


 「大丈夫、ちゃんと意識がないふりしているから。 変なことしないし、絶対にバレないようにするって誓うから」


 「じゃあ、そういうことでいいかなぁ」


 リーダーラミアがそう妥協しようとするとダメ出しが入った。

 「いや、駄目でしょう。 もしバレたらどうすんの? きっと怒られるよ」

 「危ない橋は渡りたくない」


 リーダーラミアはついに怒った。

 「じゃあ誰かサクッとやってよ。 私はやりたくない」

 「えっ、私はやりたくない」

 「私もやだ」

 「「私も」」


 全員に拒否られました。

 何だか喜んで良いのか、悲しんで良いのか分からない気分になってきた。

 いやいや、初志貫徹。


 「ほら、みんな嫌なんだから、止めようよ。

  絶対バレないようにするから。 大丈夫」


 誰も噛み付きたくないという消極的理由で、僕は噛みつかれること、毒を注入されることを免れた。


 「それじゃあ意識をなくしたフリをしていてね。 私たちが運ぶから」


 目をつぶり体から力を完全に抜くと、僕はラミアたちに仰向けに担がれた。 手足をそれぞれに四人に肩に担がれ、リーダーは苦しくないように頭を肩にのせてくれた。

 自分の姿を想像するとなかなかにシュールな絵柄な気がする。


 その形で運ばれていると、すぐに他のラミアと合流できたようだ。 本当にほんのちょっとしか離れてなかったんだな、と改めて思う。 一生懸命に見つからない様に離れたのに。


 「ほう、遅いからどうしたのかと思ってたが、もう一人いたのか。

  君たちとしたら大手柄だな。褒美にそのままその人間を部落まで担いで行っていいぞ。

  人間たちの荷物は他の者に回収させる」


 ラミアの本当のリーダー、いや紛らわしいから隊長にしよう、隊長はそう労った。

 僕の仲間は既に運ばれているみたいで、もうここにはいない様だ。 目をつぶっているから、確実なことは言えないけど。


 「はい、ありがとうございます。 先に行かせていただきます」

 リーダーはそう答えると、先を急いだ。


 誰も口を開かない沈黙のまま、しばらく経った。 自分たち以外の気配を何も感じなくなったら、やっとしゃべり始めた。


 「あー、緊張した。 バレて怒られないか、ヒヤヒヤしてたよ」

 「意外に何も気付かれなかった」

 「ていうか、この人間のことほとんど見てもなかったね」

 「人間の荷物の回収役のつもりだった私たちが一人運んで来たから、そっちが珍しくて他のことに意識がいかなかったんじゃない」

 「とにかくバレなかったのだから、良かった良かった」


 何だか急にうるさくしゃべり出した。


 「あ、もうあなたも目を開けて声を出しても良いよ。 周りに誰も他にいないから」


 リーダーがそう僕に許可を与えていると

 「それより周りに誰もいないなら自分で動いて。担いでいるの重い」


 すぐに降ろされ、僕はそれでも真ん中に囲われる様にして部落近くまで移動した。

 逃れがたい現実を直視するのは耐えられなくて、頭の中で女の子五人に囲まれて歩いていることを空想していた。 下さえ見なければ、立場を考えなければ、決して嘘ではない。


 部落が近づき他のラミアの気配が感じられる様になると、慌てて僕はまた同じ様に担がれた。


 「これからあなたの仲間と一緒のところに連れて行きますけど、他の人が目を覚ますまで、意識のないフリはきちんと続けてくださいよ。 疑われる様なことはしないでくださいね」

 「了解、約束する」


 噛み付きたくないから、という理由ではあったけど、怒られる危険を冒してくれたのだ。 それくらいの約束はするさ。

 これからどうなるか分からないけど。


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