働くお父さん
カリーナの入学式が終わったから、1泊して、さて帰ろうとはならない。
今日から、砂糖と塩を販売に関する情報収集をしなければならない。これが、上手く行けば、領地が潤い、領民の生活が豊かになり、還元も出来る。
砂糖は、スバル領との共同事業となっているので、義兄上と一緒に王城に行く事になっている。
義兄上が、王都に着いて直ぐに王城に問い合わせの書状を出し、返答が昨日の夕方に届いた。
税金の財務部、販売と流通の通商部との話し合いが必要と返答に書いてありました。
「ダイナ、行くぞ。先ずは財務だ」
タウンハウスを出発して、王城に着いてから受付をして財務部に行く。
打ち合わせ室に通され、担当官を待つ。
数分後、担当官が入って来た。
「お待たせしました。砂糖や塩関係の担当です」
こちらも挨拶をして話を始めます。
財務部ではあっさりとしたもので、kg辺りの税金を納めてくれれば問題無いそうです。
どの辺りで税金がかかるか聞くと、出荷時の重量にかかると言っていた。
帳簿をしっかりと付け10年の保存が義務であると言われた。
義務を怠ったり、税金の誤魔化しがあった場合は、追徴課税等の罰則があるそうだ。
財務では、簡単に話が終わったので、次の通商部に行く。
通商部でも、担当官と話すと通常なら販売も流通もやってもらって構わないそうだ。
ただ、砂糖は東の伯爵家が、塩は西の子爵家が独占で販売をしているので、そちらとも話して欲しいと言われた。
今年は両貴族とも子供が学園に入学のはずなので王都にいるのではと言われた。出来れば東西の辺境伯家に話を通せば、なお良いと言われた。
後、商業ギルドへの連絡と確認が、必要とも言われた。
通商部との話が終わり、一旦タウンハウスに戻った。
「義兄上、王城は割とスムーズに行きましたね」
「そうだな、王城は良いだろう。東西の貴族に約束を取りに行く方が大変だ。今まで、付き合いが無いのだからな」
「先ずは、手紙で約束を取り付けなければならないですね」
「東は、私が書くから、西はダイナが書け」
「わかりました」
義兄上との話が終わり、その日のうちに手紙を出しました。
2日後、東の伯爵家より返答があり、辺境伯同席で話を聞いてもらえる事となった。それも明日の午後に指定された。
ー・ー・ー・ー・ー
東の伯爵家のタウンハウスでの話し合いに向かった。
応接室に通され、暫く待つと辺境伯と伯爵が入って来た。
お互いに挨拶をして、少し雑談をしてから本題に入った。
「領地で砂糖を作ると言うことだな?」
「そうです。販売の価格が、現在よりも安くなりますので、今販売されている砂糖は、排除では無く、高級品として販売していただければと思っております。
家の方で生産された物は南のみの販売、需要があれば輸出にしたいと思っております」
辺境伯からの質問にレックスが答えた
「伯爵、どうだ?」
「南のみなら構いません。こちらは、販売数は減るが売る事が出来る。それにいきなり南全領にはならないでしょう。もう販売は出来るのですか?」
「いえ、これから試作して、栽培となりますので、まだ先の話です。今回は情報収集です」
レックスが答える。
「販売の目処が立った時に、また話し合いを持たせていただければ、良いと思います」
「ありがとうございます」
二人でお礼を言い、その後は雑談をして終わった。
タウンハウスに戻って来ると、西の子爵より返答があり、明日の午後に来て欲しいと書いてあった。
「義兄上、西の子爵より返答がありました。明日の午後に来て欲しいと」
「わかった。」
ー・ー・ー・ー・ー
西の子爵家で話し合いが始まった。
お互いに挨拶をして、話が始まった。
「海水を使っての塩の生産を致します。まだ、研究の段階ですが理論上では可能となりました。
今直ぐ生産、販売ではありません。
今回は情報収集と言うことで行なっています。
販売は南のみで行います。
今までの塩の販売の排除は致しません。
値段は海水の塩の方が安くなってしまうと思っております」
ダイナが言った。
「子爵どうだろう、今すぐの話では無し、販売は排除されない。値段の競争にはなってしまうが」
「家の娘が言っていたのですが、塩と言うのは取れるところにより味が違うそうです。
差別化も出来ると思っております」
「生産販売が始まったら、私の方にも供給出来るかね?」
「どれぐらいの量かはわかりませんのが、軌道にのれば可能だと思います」
「わかっていると思うが、家は岩塩だ。
災害があれば止まってしまう。塩がなければ人は生きて行けぬ。その様な時に供給して欲しい」
「その様な理由であれば、供給は致します」
「話は纏まった様だな。生産販売が出来る段階でまた話をしよう」
その後は、雑談をして帰った。
タウンハウスに帰って来てから話をした。
「無事に終わったな」
「ほっとしました。西からあの様な提案があると思いませんでした」
「そうだな、災害になればそうなるよな」
「これで、進められそうです」
「一度お前の屋敷に行くよ。セリカに詳しい事を聞きたい。面白そうな事もやっているみたいだし。
父上には、暫く内緒だな」
「そうですね。余計な事をされそうですです」
「最近言うようになったな。セリカの影響か?」
「そうかも知れません。先日はセリカの物をタダで持って行こうとしましたから」
「フソウの調味料か」
「そうです。それにやたらとレシピをくれと言って来ます」
「困った父上だ。もう少し回りを見て欲しいよ。
イノシシには笑ったが」
「貴方、お客様です」
話の途中でトレジアからお呼びがかかった。
応接室に入ると、宰相閣下がいた。
「レックス、ダイナ久し振りだな」
「「はっ」」
「楽にしてくれ、今日はプライベートだ」
席に着いた。
「それで、閣下はどうして我が家に?」
「2人して何か面白い事をしてると聞いたのでな」
「何処から聞かれたのですか?」
「それは内緒だ」
宰相とレックスが話をしている。
「はぁ〜。砂糖と塩です。やれそうなところまで来てます。砂糖は帰れば、試作が出来ています」
「ダイナの3女だな。噂の3女様だったな」
「そこまで知っていましたか」
「年明けの花火の事も知っておるよ。新しい魔導具の事も。知らないのは使う魔法位だな」
「そこまで調べているのですか」
「今は、ホーデン領は目立っておるからな。料理、魔導具、魔法がな」
「料理は、じゃが芋が豊作過ぎて、処理に困った時に作った物で、魔導具もメイドやコックの仕事を楽にしようと考えた物です。
魔法はただ好きで小さい時から努力してただけです」
「本人達はそうだが、周りは違う見方をする気を付けろ」
「陛下ですか」
「まぁそうだな、今は止めているがどうなるか分からん」
「それで、魔導具はどうして耐久試験したんだ」
「過熱防止が働くのか確認出来なかったので試験にしました。それと製作者が1人しかいないので作れ無い事情もあります」
「そっちに送り込むか?」
「いえ、そろそろ5人程来そうなので、これ以上の開発をしなければ大丈夫です」
「そうか、これからフソウ国の事はどうする?」
「先ずは貿易で友好を深めます。ホーデン領に国の責任者が滞在するそうです。まだ会ってはいませんが。
それに皇女様と3女は友人ですから無碍にはしません」
「そんなに仲が良いのか」
「良いですよ、2人は似ているところがありますから」
「聞きたい事も聞いたし、帰るか」
レックスとダイナが玄関迄見送った。
「ダイナ、彼処迄話して良かったのか?」
「宰相は、本音で話せる人だから」
「ダイナが良いなら、それで良い。明後日には帰るか。娘に会えないのは、淋しいけど」
「ダイナも頑張っている様だな。いい傾向だ」
宰相は、ボソッと言った。
ご覧いただきありがとうございます。




