5歳になった
皇女様が出発して1週間経った。
カリーナお姉ちゃんも、もうすぐ王都に行ってしまう。イロイロと変わって行く。
私は、今日5歳になりました。ハッピーバースデーです。誕生日です。
朝起きたら、枕元に何かありました。
箱はラッピングしてリボンが付いていました。
開けてみましょう。
開けてみるとスマホが入っていました。
ミントグリーンのペリオ君でした。私が日本で生きていた時使っていた物です。性能は中間位のタイプです。ゲームとかはやらなかったので十分です。
本体が他のよりも細めで持ちやすかったのが決め手でした。スピーカーがモノラルなのが残念でした。
では、電源を入れてみましょう。
立ち上がったので、アプリからみるとそのままでした。メールには未読が100件ありましたけど後で読みましょう。
本が読める、TVの後追いのアプリも残っていたので後で見ましょう。メモリとカードにはデータがちゃんと残っていた。ダウンロードした本や音楽もそのままで、写真もそのままでした。
アルバムを開くと生前の家族全員の写真がありました。それをタップして画面寸法の大きさにしました。
暫く眺めていたら、涙が出て来ました。
「セリカ、起きてる?」
お母さんが入って来た。
「えっ!」お母さんの方を向いた。
「どうしたの。泣いてるじゃない」
「朝、起きたらこれがあって、中をみたら前世の家族の写真が出てきて、ずっと見てた」
「私にも見せて」
「はい」お母さんに渡した。
「後ろにいるのがご両親ね」
「うん」
「右側にいるのがセリカかしら」
「うん」
「手前の座っているのが妹かしら」
「うん」
「前世のご家族の皆さん、セリカは此処で幸せに暮らしています。心配はいりませんよ」
その言葉を聞いて涙が止まらなくなって仕舞いました。初めて大泣きをしました。
お母さんは、私を抱きしめてくれました。
凄く安心する香りがします。
「朝食にしましょう。その前に顔を洗ってからね」
「はい」
スマホを机の引き出しに入れてから自室を出た。
顔を洗ってから、ダイニングに入った。
「セリカ誕生日おめでとう」
「セリカお嬢様、おめでとうございます」
家族とパレットさん、メイドさん、コックさんが言ってくれました。
「ありがとう、嬉しい!!」
「お嬢、食べたいのがあるなら言いな」
「うん。エビが良い、それもジャンボなのが良い
あとマグロの刺身」
「わかった、用意しとく」
ユーナさんが夕食のリクエストを聞いてくれた。
急いでやる事が無いので、自室でスマホを弄ってました。
(先ずは、本から読んでみようかな)
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「面白かった!! 完結したのが多かったなぁ。
新作も気になるけど、今日はこれぐらいにしよう。次はTVの後追いを見よう。バス旅にしようかな?」
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(メインが女性に代わっていた。対決シリーズも出来て初代が復活していた、何か嬉しい。今度見よう。
女性のも面白かった。アスリートはやっぱり凄いな)
「もう夕方だよ。久し振りにのんびりした気分だ」
(メールの確認しないと)
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家族から10通、会社から70通、友達から20通だった。
(家族のを読んだけど、返事を返したいけど出来ないから淋しい。
会社のを読んだけど、これは削除でいいや。何も出来ないから。図面と仕様書だけは取っておこう。
友達のは、そのままにしておこう)
マップを見て見ると、地図が変わっていた。この世界に対応していた。
(位置情報に対応しているのかな? GPSをONにしてみよう。)
GPS ON
(使えてるよ。人工衛星が無いのに何でだ? 不思議だ。まぁ良いか)
縮尺を変えて国全体を見れる様にした。
(北にも海があるのか、カニや鮭はいるのかな?)
大陸全土の縮尺にする。
(真ん中がうちの国で両端に大きめの国で残りが小さい国が沢山ある)
「セリカ、夕食だよー」
コロナお姉ちゃんが呼びに来てくれた。
「は~い、行きまーす」
マップを終了させて、机の上に置き、ダイニングに行った。
ダイニングに入り、自分席に座ると配膳された。
お皿にジャンボなエビフライが2本のっていた。横にはマグロのお刺身がいっぱいあった。サラダは玉ねぎのドレッシングがかかっていた。勿論白いご飯に、ワカメとネギの味噌汁がある。
お父さんの合図で食べ始めた。
先ずは、お皿にのったご飯の上にお刺身をのせる、醤油に粉わさびを溶いてからお刺身にかける。
お刺身とご飯を一緒に口に入れる。
「美味しい!! 最高!!」
ジャンボなエビフライを食べる。切って断面を見るとエビを4本使っていた。エビの甘さと弾力さが良い。
「美味しい!! これも最高!!」
「本当に、美味しそうに食べるわね」
お母さんが少し呆れている。
お父さんは、ご飯の上にお刺身をのせ、私の真似をしていた。
カリーナお姉ちゃんも満足そう。
コロナお姉ちゃんは、いつもの様に黙って食べていた。食べる速度は早いけど。
食べ終わると皆からプレゼントをもらった。
とっても嬉しい。
最高の誕生日でした。
この頃、王城では。
「陛下、宜しいですか?」
宰相が国王に報告をしようとしていた。
「なんだ」
「ホーデン家より報告があり、フソウ国の第4皇女が魔法学園の入学を希望しております。
これを切っ掛けに友好を深めたいとあります。
この書状の数日後には王都に向かって出発をするそうです」
「宰相はどう考える」
「私は良いと思いますが?将来を考えれば必要です」
「わかった。それで進めてくれ」
「かしこまりました。それとギルドより魔導具とレシピの登録がありました。
魔導具が、コンロ、湯沸かし器、フードプロセッサー、ドライヤー、ヘアアイロン、キックボードです。現在耐久試験中のため販売はしておりません。
レシピは昆布出汁のみ公開でその他は非公開となっております」
「それはいつ販売するのだ。レシピの非公開とはどう言う事だ」
「魔導具は、夏以降。キックボードは、登録、教育施設の設置、使用ルールの作成でそれ以降となります。
レシピはホーデン領の特産品とするため非公開です。材料も内陸では確保出来ないそうです」
「直ぐに販売は出来ないのか、レシピもそうだ」
「魔導具は耐久試験中ですから、売るとしたら念書を書けと言われるでしょうね。何があっても知りません、自己責任でやって下さいと。
レシピも内陸で用意出来ない物を公開しても意味が無いと思いますよ。作れ無いのですから」
「そうだが・・・・」
「では、フソウ国の事は進めて置きます」
宰相は退出して行った。
「何故、上手くいかんのだ」
また、頭を抱える国王であった。
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