閑話 領主邸に戻ったルバス家
王都から帰ってから、直ぐにホーデン家に行って1泊して帰って来た。セリカさんと話が出来たのは嬉しかった。ステラも喜んでいたから。
結局何をしにホーデン家に行ったのだろうか?
帰りの馬車の中でもお祖父様はほとんど喋りませんでした。
ステラもぐずってましたが大丈夫そうです。
どうにかお屋敷に帰って来ました。お祖父様はさっさと中に入って行きました。
しょうがないので調味料は私が届けましょう。護衛の方にも手伝っていただき、厨房へと向かう。
ステラも付いて来ました。
厨房に着き、料理長を呼びました。
「お嬢様、お帰りなさい」
「ホーデン家より購入した調味料です。お渡しします」
護衛の方が調味料を渡し、退出して行った。
「ありがとうございます。これが以前お館様が言ってた外国の調味料ですね。
それでレシピの方はありますか?」
持っていたレシピを渡した。
料理長は、レシピを見て。
「2品だけですか?これでは使い方が判りません」
「2品あれば使い方が判る、後は料理人の腕ですねと言われましたが。
もしかしてレシピがないと料理を作れ無いのですか」
「そうですが、それが?」
(セリカさんの言った通りだった。これではただ料理を作る人だ)
「前にお祖父様より料理人について話がありませんでしたか? レシピよりも美味しくしようとしましたか?」
「お館様からは何も聞いておりません。レシピの味を変える事もありません」
私はため息をつき。
「そうですか」
「何かあったのですか?」
「いえ」
(今、私から言う事でも無いわね)
「それと、レシピにあるドレッシングですが、穀物酢を使うのですが、有りますか?ステラが美味しかったと言っていたので」
「ありません。あるのは果実酢だけです」
「では調達して下さい。レシピと味が変わりますから」
そう言って厨房を出た。
ー・ー・ー・ー・ー
翌日、穀物酢を探そうと領都内の食品販売店に向かいます。執事に昨日の内に聞きました。
ステラもついて来ました。
販売店に着き穀物酢があるかの聞くと、置いていないのとの事で、扱っていそうな店を聞いても判らないと言われました。
セリカさんに聞いたピクルスの素の事を聞きました。領都内の2工房と領都外の1工房だそうです。
家の料理人が来たか聞いたら問い合わせに来て、無いと答えるとそのまま帰って行ったそうです。
それでは、工房に行きましょう。
◆
1件目は果実酢でした。途中のカフェで休憩を取り、2件目に行くと小麦を使った穀物酢でした。
ステラと一緒に味見をさせてもらい買おうとしたら、今回は2リットル迄は試供品として出していただきました。これから購入が可能か聞くと大量でなければいいと言っていました。
お礼を言ってお屋敷に戻りました。暫くは黙っていましょう。
お酢を探してから1週間経ちましたが、ステラの好きなサラダが出ません。
料理長に聞くと探しても見つからないと言われたので、販売店に1度聞いただけですか? と聞くとそうですと答えました。
そうですかと答えその場をあとにしました。
お母様に相談したら、家族全員との話となりました。
お祖父様はホーデン家に問い合わせると言っていましたが、フソウ国の調味料ではないと言うと黙ってしまいました。お父様は、料理人に問題があるかのを考えています。
最終的には料理長を降格して新しい料理人を募集する事になりました。
最後にお酢を手に入れた事を話すと、お祖父様がすぐによこせと言われたので、思わずセリカさんの言葉を言ってしまいました。
お祖父様は頭を抱えて黙ってしまった。
「父上、シフォンの言う通りですよ。目先に囚われ過ぎます。もう少しでも全体を見て下さい」
「じゃが」
「このままでは、ホーデン家に出入り禁止になりますよ。セリカに嫌われ、ルシーダからも散々言われてますよね。」
「反省するのじゃ」
「反省は勿論ですが、行動で示して下さい」
「わかったのじゃ」
話は纏まった様ですが、お酢をいただいた工房の事は伏せておきましょう。
「シフォン、お酢は厨房に持って行きなさい。買ったところを言う必要は無い、料理人に捜させろ。
材料を知るのは、料理人の務めだ」
話し合いも終わりましたので厨房に行きました。
厨房に行き料理長にお酢を渡しました。
「お嬢様、これをどこで調達したのですか?」
「最初に話した次の日に、ステラと一緒に捜しました。場所は領都内ですが、これ以上は言えません。
料理人の仕事ですから」
厨房を出てリビングに行き、お父様に報告をしました。
ステラが喜んでいます。
ステラの笑顔を見ると和みますね。
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