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報告と辺境伯

 夕食を食べたスバル家では話をしていた。

 「あのカレーとか言うのは美味しかったのぉ。領地でも食べたいのぉ」

 「私もセリカの料理をもっと食べたいわ」

 「お米と調味料、香辛料を分けてもらえんかのぉ」

 「皇女様が来るまでの最低限の量とか言っていた様な気がします。香辛料は研究にも使うとか言ってましたよ」 シフォンが思い出す様に言った。

 「最低限の量・・・」

 「お米は魔導具が必要ですよね? 確か3種類でしたか?」

 「そうじゃったな。魔導具が無くてもできんかのぉ」

 「以前お米をいただいた時は、魔法で精米をして鍋で炊いたと言ってました」

 「レシピあるかのぉ」

 「魔導具の使用前提なら無いと思いますよ。セリカさんが全ての工程やる事になっているはずです」

 「聞くだけ聞いてみるかのぉ」

 あきらめられない辺境伯であった。


      ー・ー・ー・ー・ー

 翌日、ダイナとセリカが執務室で話をしていた。

 「義父上が来たそうだったが、断って来た」

「そうですか。先ずは皇女様の事ですが、お知らせした通り元室長は犯罪奴隷としてフソウ側に渡しました。室員に関しては不問としました。

 此処からはお父さんのみ承知して欲しいのですが、犯罪奴隷にしたのは、皇女様達に魔法を教えるためです。

 本当であれば断罪だったので命だけは助けました。向こうでちゃんとやれば、皇女様次第では解放されるかも知れません。

 皇女様には教えて貰うように言いました。

 それと、選択肢の1つとして魔法学園を勧めてました。本国と調整する様な事を言っていたので、後2ヶ月後位で来るかも知れません。

 「そうか。王城では、陛下に責任がいかなかった事で安堵している。最悪戦争になるからな。上手く纏めてくれた事は感謝するよ。子供にこの様な事をさせて申し訳ない」

 「もう終わった事です。次ですが、年明けの時に屋敷の屋根から新年のお祝いに魔法で花火を上げました。音と光の祭典です。夜空に光で花を咲かせたと思って下さい。町の皆さんには概ね良好でした

 一応、役所と商業ギルドには相談しました」

 「面白い事をしたな。町の皆が喜んでくれればいいよ。ちゃんと相談したのはいい事だよ」

 「300発打ち上げました」

 「そんなに上げたのか、見たかったな」

 「来年もやって欲しいと言われました。出来れば名物の1つにして、領の活性化に繋げたいです」

 「それはまた考えよう」

 「その次が、キッチンの勝手口の近くにフソウ国からの食材を入れる倉庫を作りました。平屋作りで地下室付きです」

 「それは了承しよう」

 「魔導具の関係ですが、納品が炊飯器が4台その内2台を皇女様にプレゼントしました。

 精米機が1台納品で、皇女様用を1台発注しています。籾摺り器は開発試験中です。

 他は止めてますが、お姉ちゃん用のドライヤーとヘアアイロンの優先順位を上げようと思っています」

 「どうしてだい?」

 「寮に入れば1人でやらないといけないので、タオル等の洗濯物が減らせる事が出来ます。可愛くして欲しいのもあります。お米は私が魔法でやればいいだけなので」

 「それはリンダと相談しなさい。作る順番はセリカの好きな様にすれば良い。籾摺りは魔法で簡単に出来るのかい? 最初に全部取ってもいいと思うけど」

 「ありがとうございます。籾摺りは、風魔法を使って米を当てながら籾を取っていくのですが、相当気を使ってます。

 気を抜くと制御が乱れて、お米が割れてボロボロになって仕舞います。

 籾付きでないと保存が出来ないのは、籾を取ると虫がついたりカビが生えます。

 最後ですが、海藻の関係です。先日クオンさんの娘のカゼットさんにお土産を渡し、食材の納品の時に早く売りましょうと言われました。ただ製造をどうするのか相談したいのです。近い内に時間をいただけないでしょうか?」

 「そうだな、カゼットを交えて話をしようか」

 「もう1つありました。昨日のサラダに使ったお酢ですけど、町内の工房で作っております。ただ生産量が少ないのが難点で、レシピを公開した際どの様になるか判りません。その事も相談させて下さい」

 「それもカゼットとの話になりそうだな。近いうちにやろうか。領の活性化になりそうな話が多かったのは嬉しい。留守番をありがとう」

 「はい。お父さんもお疲れ様でした。失礼します」

 執務室を退出した。


 暫くしてから辺境伯が執務室を訪れた。

 「ダイナ、いいかのぉ?」

 「えぇ、構いません」

 席に座って話始める。

 「セリカの話は、なんじゃったのだ?」

 「皇女様と魔導具、領の活性化の話です」

 「どの様な話じゃ?」

 「皇女様関係は、元室長の経緯ですね。あとは確定ではありませんが、皇女様が留学してくる可能性がある事です」

 「そうか。魔導具はどうなんじゃ」

 「今は米関係ですね。炊飯器と精米機は完成して納入されています。籾摺り器が開発中なので完成は未定です。発注は精米機が1台ですが、納入先が決まっています。籾摺り器が完成すればカリーナ用を作るそうです」

 「納入先はどこじゃ?」

 「皇女様です。米関係は予約しているそうです。開発次第では途中で止めてカリーナ用に移るみたいです。ポットの製造の合間にやっていますから」

 「予約は出来んのか?」

 「米が無いのに予約してどうするのですか?」

 「セリカから分けてもらえんか?」

 「今でギリギリの量と言っていましたので判りません。籾付きになりますけどいいのですか?」

 「全て終わった状態での納入は出来んのか?」

 「保存するのに籾がないと虫がついたりカビが生えるそうです」

 「籾は魔法で取れるのじゃろ?」

 「セリカが言うには、風魔法を使うのですが相当気を使ってるそうです。米同士を当てながらやるので制御出来ないと米が割れるそうです」

 「どうすれば食べれるのじゃ」

 「正規の輸入が出来てからですね。ただ籾摺り器に関しては開発次第ですが、魔法もしくは別の方法でやってもらう事になります」

 「調味料や香辛料はどうなんじゃ?」

 「香辛料は研究室で使うので無理だそうです。香辛料はもともと薬だそうです。調味料に関しては此処の所、開発で使っているそうです。残量次第ですから良くて少量ですね」

 「では、レシピは」

 「まだ登録前なのでセリカ次第です。以前のセリカの話を覚えていますか?」

 「じゃが、使い方が分からん」

 「味を伝える事は出来ると思うのですが、セリカに聞いてみましょう」

 「頼むのじゃ」席を立ち執務室を出て行った。

 「義父上にも困ったものだ」


 ダイナがセリカの自室を訪れた。

 「セリカ、チョット良いかい?」

 「どうぞ」

 部屋に入る。

 「フソウ国の食材の事だが」

 「辺境伯様ですか?」

 「そうだ。米と香辛料は諦めたみたいだが調味料を少量いいかな」

 「まぁ、2、3リットル位ならいいでしょう。但しお金はもらって下さい。納品書に単価が出てると思います。

 お酢はホーデン領の製品ですから渡しません。今回はフソウ国の調味料の話ですから」

 「それとレシピなのだが、使い方が判らないと言っているんだ」

 「どうしようもない爺さんだ。以前の話を一切分かっていなかったって事ですか。2品位出しましょう有料で、知的財産ですから。照り焼きチキンと簡単醤油ドレッシングでいいでしょう。あとは向こうの料理人の腕次第ですね」

 「いいのか?」

 「後でブチブチ言われるよりいいでしょう。本当に目先の事しか見てませんね。イノシシですか」

 「凄い事言うな。笑ってしまう所だった」

 「レシピは用意します。調味料はどうします2リットルにしますか?」

 「セリカはどうなのだ?」

 「お酒以外は3リットルでも良いですよ」

 「酒が2リットルで他が3リットルでレシピが2品で頼む」

 「では用意しときます」

 「ありがとう。悪かったな」

 セリカの頭を撫でて部屋から出て行った。


 セリカの部屋を出たダイナはリビングにいた辺境伯に声をかけた。

 「義父上よろしいですか。先程の件ですが、フソウ国の調味料は、酒が2リットル、他が3リットル、

レシピが2品です。有料での受け渡しになります」

 「そんな少量でお金を取るのか?」

 「家も購入してます。その仕入れの単価でお渡しします。レシピは知的財産なので」

 「レシピはもう少し増えんのか?」

 「2品あれば使い方が判るはずだから後は料理人の腕だそうです」

 「頼む、もう少し増やしてくれ」

 「義父上、以前セリカが言った事を本当に理解してますか?」

 「ねぇ、ダイナ。セリカはもっと凄い事を言ったんじゃない」ルシーダが入って来た。

 「・・・・・・」

 「なんて言ったのじゃ」

 「聞くと後悔しますよ」

 「いい」

 「本当に目先の事しか見てませんね、イノシシですか」

 「アハハハ、面白い事を言うわね。イノシシだなんて」 ルシーダは、お腹を抱えて笑っている。

 辺境伯は座ったまま頭を抱えていた。

 翌日、調味料とレシピを受け取り、スバル家は帰って行った。

 

 


 


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