王都の新年①
王都でも新年を祝う宴がそこら中で行われていた。
外縁部では、警備をしている兵士が出動する事が、多々あった。
貴族は、王宮に集まり新年の式典が行われていた。
○ 公爵家 4家
○ 候爵家 12家
○ 辺境伯家 4家 (候爵家相当 各方面統括)
○ 伯爵家 28家 (各方面 7家)
○ 子爵家 52家 (各方面 13家)
○ 男爵家 120家 (各方面 30家)
計 220家
王都の外側に公爵領、その外側に候爵領。残りの国土を東西南北に分かれて、各方面は51家で構成されている。
元魔法室長の件は発表されていないので、候爵のままである。
只今は国王が話をしている。国の南に別の大陸がある事やフソウ国の事が発表された。
第2、第3王子の事も発表された。この事は貴族に激震が走った、特に辺境伯以上の貴族である。娘を王家に入れようと考えてた貴族にはショックな事であった。
国王の話が終わり、各種褒賞の発表があり式典が終了した。
その後は、パーティーが始まる迄控え室での待機になる。この控え室は、東西南北で各1部屋づつある。
南の控え室では、辺境伯がフソウ国等の話を皆にしている。
「式典は疲れるわね」カリーナが言った。
「早くパーティーで料理を食べたい」コロナが言った。
「今年の魔法学園に入学する南部の貴族家は何人いるのかしら」シフォンが考えながら言った。
「此処で顔合わせすれば良いんじゃない」
「お祖父様に相談してみましょう」シフォンが辺境伯の所に行った。
「シフォンちゃん行動が早いね。もぐもぐ」
「そのお菓子は、どっから持ってきたの」
「ステラちゃんと一緒にドアの近くの所から」
「ステラちゃんは何処なの?」
「あそこに座っているよ」
「コロナも座って食べなさい。お母さんに怒られるわよ」
「はーい。ステラちゃんのところに行くよ」
「カリーナさん、こちらに来てもらえますか」
「シフォンちゃんどうしたの?」
シフォンの側に行く。
「こちらが今年の入学希望の方々です。男性が3名で女性が私達を入れて4名です。顔合わせということで集まってもらったわ」
「初めまして。カリーナ・ホーデンです」
お互いの自己紹介が始まった。
男性は、男爵家2名、伯爵家1名
女性は、子爵家2名、伯爵家1名、辺境伯家1名
「学園に、慣れる迄は近くにいた方いいのかな?」
「暫くは助けあった方がいいわね。慣れてくれば友人も出来るでしょうから」
「シフォンちゃん、もしかしたらフソウ国の皇女様が留学して来るかも」
「どうして?」
「皇女様は、セリカに魔法を習っているのよ。まだ基礎の段階なんだけど。
セリカが勧めてみるとか言ってた。3カ月後には判ると思う」
「あのぉ、セリカと言うのは、噂の3女様の事でしょうか?」子爵家の女の子が言って来た。
「町ではそう言われているけど、どうしたの?」
「私は料理をするのですけど、レシピを全部作りました。とても美味しかったです」
「ありがとう、嬉しいです。セリカに伝えておきますね。今は、訳あって今はレシピ登録してないの。そのうちに登録すると思いますよ」
「セリカさんの料理は美味しいですよね」
「シフォン様は食べた事あるのですか?」
「何度かありますよ。お祭りの時は甘味の屋台もやっていますから」
「私食べました。あんなに美味しい甘味は初めてでした」伯爵家の女の子が言って来た。
「ありがとう、セリカに伝えておきますね。何を食べたのですか?」
「ぶどうのクレープです。白いクリームがぶどうの酸味と合って美味しかったです」
男性の3人も話に入ってきた。セリカのおかげで打ち解けたようだ。カリーナは感謝した。
時間が経ちパーティーが始まった。コロナとステラは直ぐに食べ物の所に行った。
「ダイナ久し振りだな。元気そうで良かった」
「サンニッチ公爵様、お久し振りです」
「固いな。同級生なんだからもっと楽にしてくれ」
「人の目がありますから」
「分かった。今回はたいへんだったみたいだな。国外の船だろう、どうだった?」
「どうだったとは?」
「フソウ国の皇女だよ。船の大きさとかは聞いた、50m以上あるとか」
「皇女様は12歳位で、責任感があり聡明な方ですよ。家の3女とは仲良くなり友人になりました」
「貿易はするのか?」
「したいとは思っています。今回はスポット的に行いました」
「何の取引だ」
「こちらからは、井戸のポンプとポットですね。もしかしたら炊飯器もあるかも知れません。フソウ国からは食材や調味料ですね。3女が欲しいと言ったので」
「炊飯器というのは何だ?」
「米という穀物を食べれる様にする魔導具です」
「今度食べに行こうかな? 食の都なんだろう」
「周りが勝手に言っている事です。3女からすれば、あれは家庭料理だそうです。キッチンにある物を組み合わせているそうです」
「そう言えば特別な物を使ってないな。でも今までにない美味しさだ」
「私もそう思います。今まで使われてない物を使うので、コック達もビックリしてます。コック達と一緒に味を作っています」
「他のにも作っているんだって?」
「便利道具ですが、作ってます。メイドやコック達を見て、楽に仕事が出来る様にしたいと、言っていました。自由にさせているのでこの様な見方をします。強制すれば反発します。一線を越えればその人は関係の無い人になり、一切相手にしません」
「難しい子だな」
「そんな事はありませんよ。ちゃんと周り見て筋を立てて、話す順番を間違わなければ問題はありません」
「そんな事は出来ない場合がある」
「出来ないでは無くやるのですよ。話を纏めるために。たったそれだけで全然違います」
「まるで経験したみたいに言うな」
「経験しましたよ。その通りでしたね。いかに時間を無駄にしたか思い知らさせました。
囲うとしても無駄ですよ。あの子は逃げますから。 国王が考えてるみたいですが、無駄になると思いますよ」
「分かった、またな」
パーティーの途中であるが国王と宰相とサンニッチ公爵は別室で話をしていた。
「どうであった」
「王室には向かないですね。逆に解体に向かいます。
ただやれでは動きません。お前がやれと言われるだけですね。普通の令嬢ではありません。必ず反発を生みます。周りが敵でも関係無いかも知れません。
それにダイナは知ってます、国王が3女を引き入れようとする事を、何をしても無駄になるからやめた方が良いと、言ってましたね」
「そこまで知っておるのか」
「ご自分の王女を同じ様にさせればいいだけでは? その方がよっぽど健全ですよ」
「私もそう思います。以前から言っている様に」
「こんな事に時間を潰すのだったら、王女の教育をしたほうが良いと思います」
「分かった。下がってよい」公爵が退出した。
「もうやめた方が良いですよ」
「しかし・・・・・」
「このままいけば陛下が1番最初に関係無い人になるでしょうね。一切相手にされない人ですね」
「一旦諦めるか。王女の方でやってみよう」
「ずっとあきらめた方が良いですよ」
パーティーは続きます。
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