お父さんが王都に着いた
ホーデン家とルバス家が王都に着いた。
王都は円型状で約15mの高さの外壁で守られている。人口は22万人の国内最大都市である。
中心から半径10kmの外縁部と、半径3kmの内縁部になっており2重の外壁になっている。
内縁部内は王城と行政施設、貴族と許可を得たお金持ちの平民が住んでおり、商業施設もある。
その他の人達は、内縁部外壁の外側から外縁部の外壁にかけて住んでいる。
一般の住民でも、許可状や入出時にチェックをすれば行き来出来る。
王都への入出場は、東西南北に門があり、チェックを行えば行き来出来る。
貴族は、貴族証明書を見せ簡易的なチェックが行われる。内縁部に入出する場合も同じである。
「やっと着いたのぉ」
「そうですね。やはり遠いですね」
只今は入出時のチェック中です。
1人の兵士が来た。
「お話中申し訳ありません。
入場後、そのまま王城に来て欲しいと通達が来ております。
入場された事は、王城に報告しております」
「分かった、ご苦労」
「はっ」
兵士は戻って行った。
「いきなり王城ですか」
「少しは休ませて欲しいのじゃ」
チェックが終わり、王城へ馬車を向かわせた。
内縁部の門をくぐり王城に到着し、受付をして馬車待機場で止まる。
そこからは両家とも夫婦のみの登城となった。
「お父さん達行っちゃたね」
「シフォンちゃん達を呼んで遊ぼうか?」
「そうだね、リバーシもあるし」
コロナとカリーナが話をしていた。
その後はルバス姉妹と遊んでいた。
両家夫妻は、簡易な謁見の場の様な応接間にいた。
国王と宰相が入って来た。
片膝をつき右手を左胸に当て敬礼をした。
「よい。席についてくれ」
「はっ」
両家夫妻は席に着いた。
「この度は王城の魔法室が迷惑をかけた」
国王が言った。
その後は宰相により、元室長の家族の話等をした。
「今回は国同士の争いにならずに済んだ。
船の移動に関してはこちらでも確認した。
おぬしの娘は本当に4歳なのか?
報告を聞いた限りでは大人の対応をしておる。
どの様な娘なのだ?」
「はっ。普通の領地、領民を愛する娘です。
海や自然が好きで海産物がないと生きていけない娘です。
自由にしていた方が領地や領民のためになり喜びます」
「性格的なものはどうだ」
「努力家で周りをよく見て観察をして分析もしております。
先ず全体を見て必要な物をあげ順番に決め事実のみを実行します。
許容範囲は広く、深いですが1線を越えると変わります。
相対した人物は関係のない人物になり、一切相手をしません」
「例えば、国王の事をどう思っているのか?」
「自分や家族の事を後回しして、自ら望んで全てを国や国民に捧げてており、公正公明で確実な判断が出来る人だそうです」
一瞬、国王が苦虫を潰した様な顔になった。
「例えば将来王家に嫁ぐというのは?」
「どの様な人物を想定しているかはわかりませんが、本人は望まないでしょう。
王家に混乱が起きるだけです。
それに海もありませんから」
「そうか。フソウ国の皇女とは、どの様な人物だ」
「責任感が強く、冷静で聡明であり、海の仲間を大事にしている方です。
娘と話をしている時は、年相応の無邪気な面もあります」
「船の移動に使った魔法は、どの様な魔法なのだ?」
「無属性の魔法を使ったと聞いただけです。
魔法室の方は実際に見ておられるので、そちらの方に聞かれるのが詳しく判ると思われます」
「わかった。両家とも下がってよい」
「はっ」退出をした。
両家居なくなった応接間では、
「どう思った?」
国王が質問した。
「難しいですが、王室には合いませんね。
特に第2と第3の王子には、あの2人は選民意識があり自己中心的の考えですから国王には向きません」
「それは王家に対する批判か?」
「事実を言っただけです」
「だがあの才能は欲しい」
「何のためにですか?」
「王家の繁栄のためだ」
「無理に取り込んだら何もしなくなりそうです。
強制すれば、自分でやれとか言いそうです。
今のままの方が良いと思いますよ」
「では、フソウ国の皇女はどうだ」
「ホーデン家の3女に近いですね。
結果は同じだと思いますよ。
箱入り息子では勝てないでしょう。
成人になっていないのに、外交をしているのですから。
こちらは何の実績が無いですし、やろうともしてません」
「嫌味に聞こえるが」
「事実を言っただけです。
それに陛下の顔が歪んだのを見て笑いそうになって仕舞いましたよ」
「あまりにも正論を言われたのでな」
「陛下はまだあの言葉に近いと思いますよ。
第1王子はもっと近いですが」
「暫くは様子を見よう」
◆
王城を出た両家は王都にあるルバス家のタウンハウスに集まっていた。
「無事終わったのう」
「そうですね。疲れました」
「セリカを取り込もうとしておるな」
「あれだけ言ってもやりますかね?」
「国王はやりそうじゃ。宰相は様子見というとこじゃな」
「セリカは逃げるでしょうね」
「そうじゃな。フソウに行くかも知れん。
セリカは自由にしておるから、色々と考えるのじゃ。
無理に強制すれば反発するであろう」
「頭が痛い問題です」
頭を抱えるダイナであった。
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