船の移動と出港
本日は快晴のいい天気で移動日和です。
それではさっさとやって仕舞いましょう。
「皇女様おはようございます。本日はよろしくお願いします」
「おはようセリカさん。安全に作業してね」
「はい」
◆
浜辺に行き、壁の扉から中に入り船に近づく。
「気合いを入れて集中!!」
前回と違うのは、重量が若干軽くなったのと、係留用の縄がある位だ。
さて、移動させましょう。
○ 船に手を当て軽量化魔法の[ウエイトセイビング]を発動させる。
○ 軽量化をしているか、鑑定で確認。
○ [サイキックス]でゆっくりと持ち上げる。
○ バランスの確認をして、移動の開始。
○ 桟橋の係留場所まで来たら船首を沖方向にする。
○ 船員が係留ロープを持っているかを確認。
○ ゆっくりと降ろしていく。先日のポインターの
位置に水面が来たら[サイキックス]を解除。
○ 軽量化[ウエイトセイビング]を解除。
○ 魔力量の確認 78%の使用。
距離が伸びた分使用魔力量が増えた。
○ 甲板までの仮の階段を作る。係留の確認。
「皇女様、終了しましたので確認をお願いします」
皇女様と船長が確認をしている。
「大丈夫ですね。セリカさん、ありがとう」
「いえ。甲板への正式な階段は明日作ります。
本日のは仮で付けています」
「わかったわ。これでほっとしたわ」
「私も肩の荷がおりました」
船長にあとの事を任せた皇女様と戻りました。
浜で台座と壁を解除して元に戻す。
皇女様の家に移動しようとすると人が集まっていた。
「どうしたの?」
私は近くの人に聞いた。
「壁に向かって魔法を撃って、跳ね返ったのが自分に当たったらしい」
「自業自得ね。一応、顔を見ておきましょう」
集まった中心に行くとおっちゃんが倒れていた。
その後ろに、魔法室の2人とパレットさんがいた。
「どうしたの?」
「この人は魔法室長なんですが、中に入れないと知ると魔法を撃ちました。
その魔法が跳ね帰り、自分に当たったと言う事です」
「皇女様に向かって、攻撃をしたと言う事ですね!」
「止めたのですが、聞いてくれなくて」
「貴方がたは不問としましょう。
お約束を守っており、止めようとしたので。
護衛さん、コイツ牢屋に入れといて。
後で処遇を決めるから足首にこれを付けといて下さい」
「セリカさん、大丈夫ですか?」
皇女様に声をかけられ、その後は先程の事を話し合いました。
決まった事は。
○皇女暗殺未遂として扱う
○犯人は犯罪奴隷として引き渡し、船長が契約主となる
○王室、王城及び今回の船移動確認者は、本人を止めていたので不問
○今回の事件は、犯人の興味本意、自己満足から来ており、相手の事を考えていない行動で、身勝手である。
「宜しいのですか」
「いいですよ。このような人は暇になると余計な事を考えるのでいいかも知れないですよ。
一応、この国の魔法研究のトップなので、色々と知っていますよ。
ただ、イメージの事を知らないので呪文でやると思います。
最初に呪文で発動してイメージを落とし込めば発動が早く出来ます」
「フソウ国に魔法文化が出来る」
その後も打ち合わせをして屋敷に戻りました。
◆
魔法室長が気がついたと聞いたので事情聴取です。
「気がつきましたか? 魔法室長様」
「どうして牢屋に入っているんだ」
「フソウ国皇女様暗殺未遂の犯人だからだよ」
「私は知らない」
「あなたが壊そうとした壁の反対側には、私と皇女様がいたんだよ。
なぜ壊そうとした?」
「魔法の事を知りたかった!」
「王城からは移動の確認だけで、魔法の事は何1つ言われていない。
あなたのやった事は、興味本意の自己満足で、相手の事を考えていない身勝手な行動をしただけです」
「そんなぁ、どうにかならないのか?」
「なりません。もう遅いのです。
あなたがちゃんと周りの状況を確認すれば防げた問題です。
自分の欲望のために確認を怠ったので自業自得ですね」
「頼む、助けてくれ」
「嫌ですよ。友人を殺そうとしたのですから。
あなたは、フソウ国に犯罪奴隷として引き渡されます。
あと魔法は奴隷契約が終了する迄使えません。
この国にいるのもあと7日位ですね。それでは」
数日後、無事に奴隷契約が終了しました。
ちゃんと王城にも報告してますよ。
お父さんにも報告しないと怒られる。
◆
これからマジックバッグ(時間停止付き 使用者限定)を作ります。(お父さんには内緒です)
中の大きさは縦3m×奥行き4m×高さ3mです。
リンダさんから炊飯器が出来たと連絡があった。
皇女様に2台納品だよ。
マジックバッグに入れておこう。
皇女様も慌ただしくしており、販売所も閉店してました。
◆
ついに出港の日がきました。
「皇女様、今までありがとうございます」
「こちらこそありがとう。
此処まで親切にしてもらえるとは思ってなかった。
病人も連れて帰れる。
セリカさんには、本当に助けられたわ。
ありがとう」
「これお土産です。炊飯器が2台、羊羹、ゼリー、円盤焼き等の甘味の詰め合わせです。
チョット耳を貸して下さい」
コショコショコショ、内緒話をする。
「えー。嘘でしょ」
「本当です。此処に人差し指を置いて下さい」
持ち手の根元に人差し指を置く一瞬だけ光る。
「これで皇女様のみ使う事が出来ます。ポーションもこちらに入れといて下さい」
「わかったわ。また会いましょう。元気で」
「皇女様もお元気で」
握手をした。
その後、皇女様は船に戻りました。
「出港」
皇女様の凛々しい声が響き、帆が張られ、段々と船が離れていきます。
私はいっぱい手を振りました。
「淋しいですか」
サツキさんに聞かれた。
「うん。1番話が合って、1番楽しかった」
「また来るのを待ちましょう」
「うん。魔導具をいっぱい作って驚かせよう」
「お嬢様、料理の新作がいいのですけど」
「却下」
「えー」
「嘘だよ」
サツキさんをからかいながら屋敷に帰りました。
◆
その頃の王都では
「陛下、大変です。魔法室長が逮捕、拘束されました」
「どういう事だ」
「フソウ国皇女暗殺未遂です」
「室長は王都のはずでは」
「ホーデン領に行った様です」
「あのバカ!それでなぜ暗殺なんだ?」
「船と見学者の間に壁が有り、壁を壊そうとして魔法を撃ったそうです。
その壁の反対側には皇女とホーデン家の3女がいたそうです」
「2人は無事なのか」
「はい、無事です。
室長が撃った魔法は壁に当たり跳ね返って自分に当たったそうです」
「なんだそれは?
何とも無いのにどうして捕まるのだ」
「魔法の強弱では無く、その様な行動を起こした事が問題だったそうです。
今回は船の移動の確認のみが書状に書いてあった事、魔法に関しては何も書かれていなった。
室長のやった事は、興味本意で自己満足であり、相手の事を考えていない身勝手な行動だそうです」
「室長はどうなった」
「犯罪奴隷となり船に乗るそうです。
今頃は出港しているかも知れないです」
「どうしてこうなった!?」
王は嘆いていた。
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