昼食での話と実験
屋敷に戻り、お酢をユーナさんに預けてダイニングに入って行った。
「セリカおかえりー」
コロナお姉ちゃんが声をかけて来た。
「ただいまー。コロナお姉ちゃんだけなの?」
「カリーナお姉ちゃんはお父さんとお母さんと話をしてるみたい」
「そうなんだ。カリーナお姉ちゃんは、来年の春から魔法学園に行くんだよね?」
「そうだよ。シフォンちゃんも一緒」
2人で話をしていると両親とカリーナが入ってた。
「遅くなって悪いね、昼食にしようか」
3人が席に着き昼食が運ばれて来る。
食べ始めるとお父さんが。
「毎年の事だが年末年始は王都で過ごす事になる。
カリーナの魔法学園の試験もあるので覚えていてほしい」
「私は行きませんよ。去年も行っていませんから。
それに6歳以上が出席のはずです」
「そうなのだが、全員で来る様にと連絡が来た」
「それは貴族全部でしょうか?
例えば病人も叩き起こしても来いということですか?」
「全部かどうかはわからない」
「確認を取った方がいいですよ。
もし家だけだとしたら厄介事満載ですね。
特に私が」
「わかった確認しておく」
「その方がいいですね。
カリーナお姉ちゃんが落ち着いて試験に挑める様にして下さい
それと皇女様の出港が、何時になるか分かりません。
先程お会いした時は、船の修理に少々かかると言っておりました。
直れば直ぐにでも出港したいでと思います。
移動はどうしますか?
国交はありませんが、貿易を始めたいのであれば、私がいたほうがいいと思います。
皇女様をこちらの都合で待たせるはよくないですよ」
「それもあったな。それも含めて確認する」
「お願いします。行かない一択で」
「よくそこまで頭が回るわねぇ」
お母さんが言ってきた。
「そうですか? 状況をみればわかると思うのですが
国に報告して出発の1週間前迄に返事が無ければ承認されたと一緒ですよ」
「どうして、1週間前なの?」
「皇女様との調整が必要になるからですよ。
それでも来いと言うなら500tの船を350mの移動で傷1つも付けず、積み荷を壊さない人を1人寄越して下さいと言えば良いのでは?」
「セリカ以外にそんな人間何処にいるんだ」
「知りません。王都の人が考える事です。
何を言われても「全て報告しています」と言えばいいのですよ、対応しない人が悪いのですから」
「セリカは国王陛下を、どの様に思っているんだ」
「自分や家族の事を後回しにして自ら望んで全てを国や国民に捧げている人。
公正公明で確実な判断が出来る人」
「わかった、この話は止めよう。
それで今日皇女様に会ったのだな」
「クオンさんの店に行った帰りにお会いしました。
船の修理の間に出店するそうです」
「それで、何時が開店何だ?」
「明日開店予定と聞いています。
小豆5kgを予約してきました」
「何を売るか聞いたのかい?」
「少々の食品と、小物だと聞いています」
「サツキがつけていたの物があるって事?」
カリーナお姉ちゃんが入ってきた。
「多分あると思うよ」
「明日一緒に行こう」
「私も行く」
コロナお姉ちゃんが参加希望。
「私も行こうかしら」
お母さんも参加希望。
「皆で行こう。確認しないといけないから」
お父さんまでも参加希望となりました。
「魔法学園の試験は何があるのですか?」
「筆記と実技の2つで筆記が計算、魔法学、歴史で実技が得意な魔法の発動と属性検査、剣術だね」
「魔法学と言うのは何ですか?」
「呪文や属性魔法の記述等かな」
「基礎の基礎という感じですか?」
「そう思ってもらえればいいよ」
話をしながら昼食をとりました。
◆
王都では。
「ホーデン家には全員来る様にしたのだな?」
この国の王が言った。
「その様に手配しております」
王の補助を務める宰相が言った。
「あの様な才能はこちらに取り込みたい。
ルバスの寄子ならば親王派である。
こちらの話は通るだろう。
それと報告書に書いてあった他の大陸からきた皇女と言うのは本当なのか?」
「本当に皇女と言うのはわかりませんが50m以上の長さがある船は確認されております。
確認時には浜の台座上に船あり点検作業をしていたと報告が入っております。
船を浮かし移動させたのが3女だそうです。
現地の証言が多数あります。」
「信じられないな。新しいレシピや魔導具はどうなのだ」
「まだ登録はされていません」
「新しい甘味が出たと聞いたわ。
早く食べたいのに。
娘達も楽しみにしていますのよ」
「王妃様、その様な事を言われてもレシピが無いので作る事が出来ません」
「王妃よ、もう少し待っていてくれ」
「わかりましたわ」
王家では、ホーデン家の話をしていた。
◆
そのホーデン家では
「ユーナさん、今大丈夫かな?」
「大丈夫だぞ、新しいレシピか?」
「今日は、昆布と天草の実験だけ」
「実験?」
「天日干しと魔法で乾燥させた物の違いを見るのと、天草を煮るとどうなるかを見たい」
「昨日言っていたやつか!」
「そう」
「やろうやろう」
ユーナさんが珍しくノリノリである。
「同じ大きさの小鍋を2個貸して」
小鍋を借りて乾燥違いの昆布を出して鍋に入る大きさに切り、水と一緒に鍋に入れ20分程してから火の着いた竈(中火)に置いた。
暫く待ち、沸騰直前に竈から下ろした。
「ユーナさん、シンディさん出来たよ。」
2人が来た。
「どれどれ」
「左の鍋が天日干し、右が魔法乾燥」
最初に左のから小皿に入れ渡した。
「美味しい」
「昆布はこんな出汁が出るのか美味すぎる」
「美味しいです。味噌と合いそうです」
右のを渡した。
「美味しいけど雑味がある。
味噌だったらごまかせるレベルだけど」
「そうだな。普通に飲んだら分からないぞ」
「私も思います。比べなければ分からないです」
「これからは、天日干しだね」
「そうだな、この違いはなんだろう?」
「日光の力にしといて」
「そういう事にしとこう」
「次の天草をやるよ。
目の細かいザルとボウルを借りるよ」
小鍋の出汁は両方とも同じ別の容器に入れた。
味噌汁用です。小鍋は水洗いしておきます。
天草とお酢を用意しておきます天草は8g位で水は500cc位で行います。
鍋に天草と水を入れて竈(中火)に置きます。
煮立ったらお酢を入れて30分程煮る。
ザルにコシ布を敷いておく。
煮ている間に三倍酢を作る。
時間になったら鍋からザルへ移す。
コシ布を絞って水分を抜く。
少し冷めたら魔法で強引に冷やします。
「ヨシ出来た」
「固まったなぁ。これで終わりか?」
「まだ半分」
「不思議です。海藻がこうなるなんて」
固まったところ天をボウルから出し半分にする。
半分はボウルに戻す。
残った方を魔法で麺状のところ天にする。
皿にのせ三倍酢をかける。
「はい味見。無理に食べなくてもいいからね」
私は、フォークに巻き付けて口に入れた。
「うん、ところ天だ。カラシが欲しい」
「不思議な感触だ。面白い」
「本当です。でも人を選びますよね」
「まだ別の味があるけど材料が無いので、出来ないのでまた今度」
「残りはどうするんだ」
「魔法で強引に水分を抜いてカラカラにする」
ボウルに入ったところ天を水魔法で水分を抜く。
抜いた水はシンクに流す。
「これで甘味の素が出来た」
「今日作るのか?」
「今日は作らない。
材料が無いのと、レシピを書いて無い。
ちゃんと作りたいから書くよ」
「その方がいいな。片付けておくからレシピを書いてきな」
海藻だけ片付けて自室に戻った。
◆
キッチンでは、
「お嬢様は面白い事しますね。
海藻がこんな事になるなんてビックリです」
「本当だよな。普通は海藻を捨てるぞ。
なのに食材に変えるなんて面白いな」
「そうです。王都では体験できないです」
「これも特産品になればいいけどな」
「きっとなりますよ」
キッチンでは話が盛り上がっていた。
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