やっと出会えた
日が変わり朝からテンションMAXの私は、お父さん、コックさんズ、パレットさん、サツキさん、メグさんと一緒に皇女様の家に行き病人用の食材を無事に渡した。
お父さんと皇女様は打ち合わせをしていて、私達は別行動で今は船の荷室にいます。
別の方に案内をされています。
「こちらが食料品の荷室になります」
「微かに醤油の匂いがする」
「奥に米があります」
荷室の奥に行きます。
そこには俵が積んでありました。
「こちらが米です」
「中身を見せて貰うことは出来ますか?」
「では厨房から少し持ってきますね」
案内の方は護衛の兵士さんに言って取りに行かせていました。
「お嬢米と言うのはなんだい」
「穀物でこちらで言う小麦と一緒」
「じゃぁこれも粉にするのか?」
「粉にはしないでそのままで使う。
粉にして使う場合もあるけど」
兵士さんが戻って来た。
「こちらが籾を取った状態です」
「ジャポニカ米の玄米だ」
「ジャポニカ米?」
案内の人が聞いて来た。
「短粒種の事です。
細長い長粒種と言うのもあります。
このお米はこのまま使うのですか?
それとも精米してからですか?」
「このまま使います。
ここから何かされるのですか」
「はい。外側の黄色部分を取って白い部分のみにします。
黄色部分には栄養がありますが、取った方が甘さを感じられて美味しいです。
これは3合分位ですよね。
魔法で精米するので1時間程水に漬けてから炊いて見て下さい」
一旦広いところに行きお米を精米する。
(風魔法でエリアを決めて、精米するイメージを固めて)
「精米」
風魔法で球状態を作り、その中に玄米を入れた。
お米は風魔法の中で米同士で削りあっていた。
15分程作業をする。
「そろそろいいかな」
少しだけ出してみると白いお米になっていた。
「いいね。OKだね」
お米を風魔法から出し、近くにあった空いている袋に入れて解除した。
「これで炊いて下さい」
案内人にお米を渡した。
案内人の人は厨房に行った。
「お嬢、何をやったんだ?」
「お米を磨いただけだよ。美味しくなるために」
案内人が帰って来た。
「厨房にお願いしてきました」
「ありがとうございます。
では、続きの案内をお願いします」
「こちらが、醤油です」
大きめ瓶に入っていて私は思わず瓶に抱きついた。
「会いたかったよー」
思わず言ってしまった。
「お嬢様、みっともないないです」
サツキさんに注意された。
味見は後でとなりました。
その後、味噌、味醂、米で作ったフソウ酒、豆類を見て、最後に香辛料です。
「こちらが香辛料です」
「どの様な種類がありますか?」
「こちらがリストになります」
「ありがとうございます」
リストを受け取り確認すると、カレー粉に使える材料があった。
他にも中華料理にも使えそうな物もあった。
思わず「ヨッシャー」と言ってしまった。
「お嬢様!!」
サツキさんから2度目の注意が来ました。
イエローカードです。
「すみません。はしゃぎ過ぎました」
他の人は笑いをこらえている。
次は工芸品等のところに来ました。
衣類用の生地、木工品等がありました。
その中で目を惹いたのは簪でした。
1本を手に取り。
「サツキさんチョット来て此処でしゃがんで」
サツキが来て、しゃがんだので団子のところに簪を着けてました。
「いいねぇ。カバーともマッチしているよ」
皆が見ている。
サツキさんも鏡を見て、ニコニコしてる。
「これ売って欲しいです」
「殿下から欲しい物があれば譲ってあげてと言われましたから」
「ありがとうございます。
サツキさんだけだとあれだから1人1つ選んで下さい」
「ありがとうございます」
「お嬢様は選ばないのですか?」
「私はサツキさんに着けたから。
それに後で買うからいいよ。
サツキさんも選んで来な」
「はい」
◆
見学も終わり厨房の側の食堂に来ました。
お父さんと皇女様も来ていました。
「どうでしたか?欲しい物はありましたか?」
皇女様が声をかけてくれた。
「はい。食料品は全ての種類が欲しいです。
工芸品は簪が良かったです」
「そう良かったです」
「来て良かったです。皇女様、ありがとうございます」
「いえ、それでお米を炊いたと聞いたのですが?」
「はい、玄米で食べていると聞いたので精米して炊いてもらました」
「こちらです」
案内人の方がご飯とお刺身を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「どう違うのかしら?」
皇女様が首をかしげた。
「では、食べてみましょう」
「いただきます」
私は1口に入れた。
(美味しい。久し振りのお米仄かな甘さがあってこの食感懐かしい。
お母さんのご飯もっと食べたかったなぁ)
そんな事を思っていたらいつの間にか涙が流れていた。
「セリカどうした」
お父さんが声をかけて来た。
「えっ」
「え、じゃない、いきなり泣き始めたからどうしたのかと」
「あまりの美味しさに感動してしまいました」
「そうかそれならいい」
心配そうな顔をしているお父さん。
「すいません、醤油と香辛料の粉わさびを頂けますか?」
「はい直ぐに」
案内人の方が取りに行ってくれた。
直ぐに来て小皿を貰った。
醤油に粉わさびを溶いて刺身をつけた。
そして、口の中へ
「美味しい。やっぱり刺身はこれじゃないと。
魚の脂に負けない味」
「セリカさんはフソウの人ですか?」
皇女様に聞かれた。
「違いますよ。味が私にあったと言う事です」
「そうですか、では皆も食べましょう」
皆が食べ始めた。
「ん。ご飯が甘い。いつもより美味しい。
コック長どう言う事ですか」
コック長が来て説明をしていた。
「そうですかセリカさんが。
セリカさんこのやり方はやってもいいですか」
「良いですよ。ドンドンやって下さい」
「ドンドンって」
皇女様が笑っている。
◆
積み荷のリスト表をもらい皇女様の家を出て帰宅です。
途中クオンさんの店に寄りました。
「こんにちは、クオンさんいらっしゃいますか」
「領主様とセリカ様ようこそ。どうなされました」
「この間お願いした農産品ですけど甜菜以外が見つかりました。甜菜のみお願いします」
「見つけられたのですか?」
「はい。座礁した船の積み荷がそうでした。
他の大陸のフソウ・ヒシミツ連合皇国の船でした」
「他の大陸ですか?
領主様、その船の責任者に会わせていただく事は出来ますか?」
午後に来れるか。少し話そうか」
「わかりました。お伺いいたします」
クオンさんの店を出て、屋敷に戻りました。
ご覧いただき、ありがとうございます。




