お祖父様と従姉妹①
夏になりました。暑いです。でも湿気がなくカラっとしてますのであまり汗をかきません。
先ずご報告を、以前工事した川ですが決壊はしなかったそうです。
やはり逆流がありました。でも被害は少しだけあったそうです。以前の様に広範囲では無かったそうです。
本流の川は水かさが増えましたが、ギリギリ橋の下で収まったそうです。
ただ工事した小川の様に、逆流で水が入ったところが3か所程あったそうです。
お父さんが頭を抱えていました。
お父さん、役所の皆さん、頑張って。
それとパレットさんに侍女が付きました。
実家から来たメグさんという方です。
今日は何をしようかと部屋で考えていました。
「セリカお嬢様。辺境伯様がお見えです」
ルーナさんに呼ばれました。
(お祖父様が? 何かあったのかな。まぁいいか)
「はい。行きます」
私は執務室に行きました。
◆
「セリカです。入ってもいいですか」
「いいよ」お父さんが、返事をくれた。
「失礼します」
「セリカ、久し振りじゃの」
「お祖父様、お久し振りです」
「セリカちゃん。今日はお姉様と来たの」
「ステラお姉ちゃん、こんにちは。
そしてセリカ・ホーデンです。初めまして」
「初めまして、シフォン・ルバスです。宜しくお願いします」
挨拶は終わりました。綺麗な方ですね。
「それでじゃセリカ。この間のキッチン用品は、家のコックに評判でのぉ。
3セットを追加で発注したぞ。ポットも10台じゃ」
「そんなに、買っていただきありがとうございます」
「それだけ、物が良かったと言うことじゃ。それで、次は始めておるのか?」
「いえ。お父さんからも何も言われてませんが、出来ればリンダさんに作って欲しいですね」
「ダイナこう言っておるが、どうじゃ」
「仕様書とかは出来ているのか?」
「出来てますよ全部。
それにプラスしてオーブンとキッチン用の湯沸かし器を」
「また新しい物が出て来た。それは何かね」
「オーブンは。肉、魚、グラタンやピザを焼いたりします。お菓子等も出来ます。
キッチン用の湯沸かし器は、冬とかの調理や片付けの時に、温かな水であれば仕事がしやすいです。
油も落ちやすいし、コックさんの手も荒れにくいです。
そう考えると洗濯にも使えそうですね。服の縮が少なくなりそうです」
「良くそこまで考えるなぁ」
「自分がその仕事をするとなれば、こうだったらいいなと考えると思いますよ。
ただ立場や経験によって変わりますが」
「そうじゃな、儂らは指示を出して結果を聞く。
実際に作業する者は、どの様な作業して終了するかを考える。ただ作業のやり方は何通りもある。
だから楽に早く終わるかを考える。
これはいい加減な仕事をすると言うことでは無い。
シフォンはメイド達が仕事している時にその様な事を考えた事はあるかのぉ」
「無いです。そういうものだと思っています」
「そうじゃな。セリカは魔法を使う時はその様な事を考えるのかのぉ」
「そうですね。土魔法で建物を作る時は、特に考えますね。人の通りが良いとか、部屋の配置をどうするかとか、メモ書きをしてそこからイメージを膨らませてから魔法を使います」
「セリカちゃんは、呪文を使わないよねぇ」
ステラお姉ちゃんが、聞いて来た。
「そうですね使わないです。最初の基礎の時だけです。全て、イメージだけです。呪文が無い魔法ばかり使いますから」
「呪文が無いとはどう言う事じゃ」
「お父さん達のも見せたのですが、先ず私の指先を見て下さい」
小さいファイヤーを出す。
「お祖父様、この火の温度を上げるとどうなるか分かりますか」
「わからんのじゃ。温度を上げると言う事が火は火じゃからのう」
「では見て下さい」
私は、イメージ通り温度をあげる。赤から、青そして、白へと変わっていく。
「どう言う事じゃ」
「燃えてる火に、空気をドンドン送っていくとこうなります。この現象に呪文はありません。
呪文があるのは単純なものか、ただ長いだけの複雑な呪文です。
イメージだけでの発動のほうが早いです」
「そう言われるとそうじゃ」
「義父上、私もいまだに理解してません」
「呪文も悪いとは言いません。
最初の現象に対するイメージをもつのには必要です。
乱暴な言い方だと、結果どんな過程であろうとも魔法が発動すればいい」
「ガハハハ、その通りじゃ。難しく考え過ぎてた。
発動すればいいのじゃ」
「義父上、宜しいのですか」
「いいも、悪いも無かろう。人それぞれのやり方があると言うことじゃ。
ただセリカの魔法は、呪文の方が追いついていないと言うことじゃ。
さっき建物を建てた言ったが、何処に建てたのじゃ」
「屋敷の裏です。研究室を作りました」
「見せてもらおうかのぉ」
「研究中ですので、中には入れませんよ」
「分かったのじゃ」
全員で屋敷の裏に行った。
◆
裏に着いたら、お祖父様がビックリしていた。
「セリカ、あの建物を作ったのか」
「そうです。渡り廊下を含めて」
「それで、魔力は、どれ程消費した」
「55%ですね」
「物凄い魔力量じゃのぉ。本当に4歳か?」
「えぇ。どっから見ても4歳の子供です」
「そうじゃな。では戻るか」
戻ろうとしたところ、ステラお姉ちゃんが、
「こっちは、何の施設ですか」
「魔法の練習所ですよ。これも私が作りました。
25mと50mから撃って良いですよ。
全力で大丈夫ですよ」
「お姉様、撃ちましょう。魔力を消費しないと」
「そうね。消費しないとね」
2人の気が済む迄、訓練は、続いた




