学園の寺子屋どうなる?Ⅲ
(SIDE 第3王女)
今回は何故こんな事になったのだろう。何時通りに教えてくれれば終わったのにと思ってしまう。
フソウ国の4人に聞けば教え方が変わって来ていると言っていた。何の為に?
王宮に行って陛下、宰相、上姉様に今回の話しをしたら、陛下に「は〜」とため息をつかれた。
「本当にわかっていないなら問題があるな」
「どう言う事でしょうか?」
陛下に言われて聞きました。
「セリカ嬢が寺子屋で学園生を教える事は従来あり得ない事だ。それも無料でだ。
それに前からの生徒やフソウ国の留学生はレベルが第3王女よりも高いのだろう。
魔法を使うのにただ教えてもらって使うのと、その魔法がどうして必要なのか?、どの様に使うのかをわかって使うのでは全然違うぞ。その辺りは自分でやってみればわかるはずだ。
それに人それぞれ必要な魔法が違うのだから自分で考えなければならない。
セリカ嬢はその為の準備をさせているのだろう。
やり方に関しても理解出来る。
川の氾濫の話も流石としか言えないな。通常ならそこまではやらないからな。これは見習わないといけないな」
「国としても必要ですね。モデルケースにしたい位ですよ」
陛下、宰相が言った。
「セリカさんはそれだけ私達よりも先に行っていると言う事ですか?」
「そうだな、現状でついて行けるのはミラージュ皇女とホーデン家、ルバス姉妹位だろう。その後ろにフソウ国からの留学生と宰相がどうにかと言う位か」
「いえいえ私など周回遅れですよ」
「聞いてるぞ、鉄道工事を見て使えそうな事は領地で導入しているそうだな。それで結果も出始めていると聞いているぞ」
「やっと出始めた位ですよ。キズスまでの試運転に乗せてもらった後の会議を見させてもらってからですから」
「それでもやるとやらないでは違うだろ?」
「違いますね。やって良かったと思いますよ」
「第3王女、そういう事だ」
宰相との話しの後に私に聞いて来た。
「ローレルもそう言っていました。私はいったい何周遅れなのでしょうか?」
「それはわからんが4歳で始めたのと最近始めたでは経験値が違うからな。まぁ焦らないことだな。
それとセリカ嬢がやる事を良く見て本質が何処なのか見極める事だな」
「はい」
私は話し合いの後寮に戻り、ベッドに寝転び考えていた。
(SIDE ジェミニ)
「頭で考えすぎだと思う」
セリカさんの言葉が耳から離れない。実際に頭で考えて納得してから行動に移している。
それがいけない事なのだろうか? そう考えて眠れなかった。
今回の課題は[クリーン]で綺麗にする魔法だ。
ヒントも無しでセリカさんが言った事を聞いてればわかるはずだと言っていたが考えても分からなかった。
結局課題はクリアせず次回に持ち越しになったが出来なければ寺子屋は終了になってしまう。折角始めたのに。
部活の時にケターダさんに聞いてみた。ケターダさんはまた新しい魔導具の構想をしていた。
餅つき器と言う魔導具らしい。フソウ国のお菓子を造るのに使う魔導具だそうだ。
私は入部してからまだ1つも作っていない。何を作るのか考えているだけで纏まらない。
「ケターダさん、昨日のメモ書きの事を聞いても良いですか?」
ケターダさんは手を止めて私の方を見た。
「良いですよ、丁度煮詰まって気分転換しようとしてましたから。それで何を聞きたいのですか?」
「メモ書きの事ですが、やるとやらないではどう言う違いがありますか?」
「そうですね。先ず何をやるのか明確になり、問題点がわかり易いですね。それに客観的に見る事が出来ます。また絵やグラフを用いる事でよりわかり易くなりました。男爵様がやっているのを見て気づいた先輩に感謝してますよ。頭の中だけでは途中で訳わからなくなりますから」
「それは実践した方が良いの?」
「人それぞれですよ。でも頭の中で考えて纏まらないなら何も進みません。結果を出さないと意味は有りませんよ。先日の男爵様の話は目から鱗でしたね」
「考えてみます」
「ジェミニさん、考えるだけでは何も進みませんよ」
ケターダさんにはそう言われた。寮に戻ったらやってみよう。変わるのでは無く進む為に。
ー・ー・ー・ー・ー
1週間経ちました。王国組はどの様になったかな?
「さあ発表して下さい。その前にフソウ国組は大きさの違うのを10個で制御の訓練をして下さい。やり方は自由で自分なりに動かして下さい。
王国組は誰から来るのかな?」
「はい、私が最初に行きます」
伯爵家の女子が手を上げたので、前と同じ様に教室の隅で聞く事にした。
「じゃぁ始めて頂戴」
そう言うと自分でやった事を話した。
「そうだね、実際に発動させたの?」
「やったのですが、上手く行かない時があります」
「多分だけど汚れ方が違うから、魔力量の調整と自信を持ってやれば行けるはずだよ。もうちょっとだったね。ギリ合格で」
「えっ合格ですか?」
「そうだよ、足りない所は有るけど考え方は悪く無いからね。後はさっき言った通りだよ」
「やったー」
その後はミウラちゃん、男爵家男子、女子、ローレルさんが来てギリだけど合格になった。
その次にジェミニさんが来て合格になった。
「何か吹っ切れたみたいだね。いい顔してるよ」
「はい、変わる事ではなく進む為にやるとわかったので」
「まぁそう言う事だよね。最後殿下ですけど、どうですか?」
「私はまだ出来ていません」
「まぁ出来ない時は出来ませんからね。誰かから聞いて使える様にして下さい」
「えっ教えてもらえないのですか?」
「今日はちょっとやりたい事があってね。フソウ国組は一旦止めてこっちに来て頂戴」
フソウ国組の4人がこちらに来て椅子に座った。
「じゃぁ始めるよ。王国組の4人は新しい魔法は出来たの?」
「まだです。何をやるのか見つけられていません」
伯爵家の女子が言った。
「そう。そうだね〜何か不便な事とかはないの? また同じ様になちゃうけど、何かをやっていてこうなれば楽にできるなとか。
私の場合は重い物を軽くすれば楽に持てる様になると思って[ウエイトセイビング]を創り、物作りが楽になる様に[モデリング]、[レストア]、[クラフト]を創りました。最近は楽器の音の調整に[調律]を創りました。魔導具も掃除道具をいっぱい持って行きたくないので吸引式の掃除器を作りました。
最近では暖か敷き布団やストーブですね。
探そうとすると出て来ないのかもしれないですね。
では問題を出します。今までに教えた魔法を農業に使える様にしたい。どの魔法を使ってやれば良いでしょう」
「ヒントは無いのですか?」
殿下が言って来た。
「ヒントありきは良く無いのですが、今回は特別と言う事で、畑を耕すのが楽になります。以上、時間は15分です。じゃぁスタート」
「全然わかりません。もっとヒントを」
「これ以上は答えになるから言いません」
・
・
「時間です。わかった人はいるかな? 誰もいないの?
これは魔導具化出来るからケターダさんとジェミニさんには答えて欲しかったけど。
今回は答えを言いましょう。次からは宿題です。
答えは除雪の魔法です。かき込む部分を変えてやれば楽に土を耕す事が出来ます。魔導モーターを使えば魔導具として使う事が出来るよね」
「うわぁ〜、聞けばそうかもと思うよ〜」
ミウラちゃんが叫んだ。
「南部の2男爵家とジェミニさんの所は農業が主だから気づいて欲しかったけどね。
新しく見つけるだけではなく、覚えた魔法を何かに使えないか? と疑問に思う事も大切です。
王国組の期限は冬の休暇前迄延長です。
フソウ国組の4人も挑戦しましょう。
出来なかったら罰ゲームで」
「えー」
「異議は認めません。今日はもう終わりましょう。
私はやる事があるので先に帰りますね。
お疲れ様〜」
そう言って教室を出た。
教室に残ったメンバーはと言うと。
「取り敢えず存続出来て良かったよ」
「本当ですね、良かった〜」
ミウラと伯爵家女子が言った。
「それにしても殿下はやって来なかったのですね」
「ちょっと他の事を考えていたのよ」
「もしかしてセリカちゃんの横に並ぼうなんて事を考えてはいませんよね〜。今のままでは無理です。
今並べるとしたら皇女様位ですよ」
「私とミラージュ皇女と何が違うの?」
「経験値と知識ですね。殿下は10歳の時には何をしてましたか? 私はホーデン領に行って魔法の訓練をしてましたよ。そこでセリカちゃんがやっていた事、領が発展して行く所を見て来ました。鉄道をやっている時はちゃんと休んでいるのだろうかと思っていましたよ。整地をして、レールの調整をして、試運転をやって、不具合が有ればまた調整して、試運転の繰り返しで、時間が空けば駅に入る店舗の誘致や駅で販売する商品を作ったりしてましたよ。殿下は出来ますか?」
ミウラは殿下の疑問に答えた。
「あのぉミラージュ殿下は魔法に関しては男爵様に今だに追いつけないと言っていますよ」
ケターダが追加情報を出す。
「それと学園の計算の授業ですけどホーデン領の寺子屋の方が進んでいますよ。それに師匠の知識は広い分野で網羅されてます。何処から仕入れるのだろうか知りたいですよ」
伯爵家女子も追加情報を出す。
「殿下、そういう事です。無理に並ぼうは出来ません。でもこれからの殿下次第ですね」
「わかったわ。私のこれからと言う事ね」
「でも相当険しいですよ。今から覚悟しておいた方が良いですよ。私達も帰りましょう」
ミウラと殿下の話しが終わって皆で寮に帰った。
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