闇属性魔法と鶏モツ
学園祭も終わりもうじき冬に入るのかな?
王都は雪が降るのかな?
まぁそれは置いておいて今は魔法の座学中で闇属性の魔法の授業をやっていますが、闇属性魔法は全て解明されていないので、どの様な魔法があるのかがわかっているのが少ないそうです。
なんとなく光や聖の逆であるのはわかるのだけど言葉が上手く出てこないよ。
座学が終わり午後からは実地ですがほぼ自由練習になっていますので好き勝手してます。
「ん~~」
私は考え込んでいた。
「師匠どうしたのですか?」
寺子屋の伯爵家の子に聞かれた。
「さっきの闇属性でやってみたいことが出来たからちょっと協力してほしいのだけど」
「いいですけど危ない事ですか?」
「ちょっと縛るだけ」
「へっ」
「じゃぁやるよ。[バインド]」
イメージとしては私の影から黒いロープが必要分出て来て対象者上半身と足首を捕縛をする。
魔法名とイメージで発動された[バインド]は伯爵家の子を捕縛した。
「えっ、えっ何これ、いきなり縛られた。師匠ー」
・
「協力ありがとう。上手くいったよ、解除」
[バインド]が解除された。
「いきなりは無しですよ。
他にはあるのですか?」
「これしか思いつかなかったから無し」
「例えば[ライトボール]の逆で[ダークボール]とか。
攻撃に使えそうです」
「土魔法でマネキンを作って攻撃して見ようか」
土魔法で1体のマネキンを作った。
「じゃぁやるよ」
頭の中でイメージをして身体の左右に5つずつ[ダークボール]を発動させる。
「撃つよ〜。シュート」
マネキンに向かって撃つと10個の球が飛んで行き、当たると爆発せずそのまま貫通してから解除させた。
「へー面白い。爆発しないのがいいね。
何かの工事に使えそう」
「そっちですか? 攻撃にも使えますよ」
「模擬戦には使い所が難しいわね。
そうだ、[アイスウォール]をやってみて」
[アイスウォール]を出してもらい、[ダークボール]を当てるとやはり同じ状況になる。
「逆をやってみましょう。
名称は取り敢えず[ダークバリア]で」
魔法を発動させてから[ファイヤーボール]を撃ってもらい、当たると爆発や跳ね返りもなくそのまま吸収されてしまったので[ウォーターボール]でもやってもらうと同じ様に吸収されていた。
「魔法は吸収される事はわかったから実体のある物はどうなのかしら?」
近くにあった大きめの石を[サイキックス]で引き寄せてから[ダークバリア]に向かって投げて見ると同じ様に吸収された。
今度は長めの木の棒を持って来て[ダークバリア]に半分近く入れてから抜いて見るとバリアとの接地面から先が無かったので溶けて消えていると解釈しておこう。
「模擬戦には使え無いわね。危険過ぎる」
「そうですね、消えて無くなりそうです」
「闇魔法は[バインド]以外は暫く封印だね」
「残念でしたね」
「危険だとわかっただけでもましね」
授業が終わったので此処迄です。
◆
授業が終わったので料理部に来たのですが作りたい料理が無いのです。さてどうしようかな?
「ん~~」
「セリカさんどうしましたか?」
殿下に声をかけられた。
「作りたい物が無いのです。海産物以外のお題をください」
「秋なのでキノコとさつま芋でどうでしょうか」
「キノコとさつま芋ですね。やってみましょう」
空いている席に座りレシピを考え出した。
キノコ
○ 鳥コンソメを使ったキノコとカボチャのクリーム
スープ(人参、玉ねぎ付き)
○ キノコのクリームスパゲッティ
○ キノコのカルボナーラスパ
○ ガーリック炒め
さつま芋
○ コロッケ
○ 焼き芋
○ 大学芋
○ さつまチップス
○ 干し芋
今はこれ位かな?
「出来た。明日から1品ずつかな?」
「もう出来たのですか?」
殿下が驚いている。
「ええ、さつま芋はちょっと手抜きですけど」
「私も一緒に作っても良いですか?」
「良いですよ、明日は買物ですね」
ー・ー・ー・ー・ー
授業が終わった後以前行った市場っぽいところに殿下と一緒の来ました。
「先ずはキノコから買いましょう」
キノコの売り場に来てからしめじ、えのき、舞茸、マッシュルーム等を買い、コンソメ用の鳥ガラも買っておきましょう。ついでにガラスープも作ってしまおうかな。
鳥肉専門店に行き鶏ガラを2つ購入したのですが。
「店主、あのモツの部分や要らないところにはどうするのですか?」
「棄てるだけだよ」
「売って下さい。何羽分ありますか?」
「20羽分かな? 本当に買うのかい?」
「はい、全部買いますよ」
「全部あげるよ、その代わり美味しかったら教えて欲しい」
「良いですよ。決まりですね」
モツ等の要らないところをもらい、お礼を言ってから野菜等の残りの食材を購入して学園に戻りました。
「食材の処理は明日ですね。
予定変更で鶏肉から行います」
◆
殿下と別れて部屋に戻り鶏肉部位の図解や下処理、レシピ等を書き明日の準備をします。
夕食の時に殿下に心配されましたが大丈夫と答えておきました。
ー・ー・ー・ー・ー
本日は部位ごとに切って下処理をしていきます。
「殿下、部位ごとの図解や下処理方法はこちらに書いてありますので目を通しておいて下さい。
最初は私や図解を見ながらでも良いですよ」
「はい」
殿下は鶏肉の実物と図解を見比べながら解体していきます。
私は大体頭に入っているので軽く確認する程度です。
下処理迄終わったら、モツ煮用と串焼き用等に分けておきます。
○ 鶏モツ煮
○ 各串焼き 皮、軟骨、砂肝、レバー、セセリ
はつ、ぼんじり、さえずり等
○ トサカ焼き
○ もみじ焼き、煮物
今日は此処迄ですね。
ー・ー・ー・ー・ー
今日はモツを料理していきますが匂いや脂の関係で外でやります。
土魔法で竈を2ヶ所、テーブル、串の焼き場等を作り、先ずは串打ちからやっていきます。
焼き場には炭を入れて温めておきます。
昨日端材で串を100本程作ったので足りるはずです。
・
・
「串打ちが終わったので煮物を作りながら焼きましょう」
最初に調味料を全て用意しておき、焼き、煮物に対応します。
竈のはファイヤーボールを入れて温めておき、鍋に鶏モツと調味料を入れて煮ていきます。
串焼きも焼き場で焼いていきますよ。
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・
・
「出来た〜、殿下出来ましたよ。試食しましょう」
「はい、食べましょう」
「先ずは鶏モツ煮から」
鶏モツを口に入れて食べると、とても美味しかった。流石B級グルメ最高だよ。
次に鶏の足のもみじだけど、実は初めて食べるのだけどとても美味しかった。ビールが欲しくなるよね。
今度は焼きを食べます。
これもビールが欲しくなるよ。それに素材自体の味が濃いので岩塩を少なめにかけた方がいいね。
「殿下どうですか?」
「美味しいです。今まで棄てていたなんて勿体ないですね。串焼きは特に気に入りました」
「トサカとか足も良かったです。これは全国の方が良いのかな?」
「これは焼く方は全国の方が良いですね。
煮物は調味料の関係があるので全国では難しいですよね」
「フソウ国の調味料が入り始めているからこれも全国の方が良いかもしれません。
焼きの方も使えそうです」
その後も試食をしていたら料理部の皆が来て追加で焼く事になった。
◆
夕食後はギルド提出用のレシピと鶏の部位を描いたポスターを作った。
ー・ー・ー・ー・ー
翌日、モツを買った専門店に行き美味しかった事を伝え、ギルドに登録する事を言ったらとても喜んでいた。
鶏の部位のイラストポスターを渡したら直ぐに店内の壁に貼っていた。
「これは解り易い。後は肉の特徴を伝えるだけだな。
ありがとう」
「無料で譲っていただいたのでお礼です。
それではまた来ますね」
そう言って店を出て商業ギルドに向かった。
◆
王都のギルドに来るとホーデン領のギルドよりも何倍もデカい建物だった。
取り敢えず中に入り登録の部署に行き、受付を済ませて近くの椅子に座り待っていたのですが、全く呼ばれる気配がありません。
混んでいる様子もなく割と閑散としています。
それから20分程してから呼ばれて打ち合わせ室の様な所で話し始めましたが、対応が凄く横柄でした。
対応した職員は小太りで鼻の下から長い髭を生やしていてちょっと酒臭かった。
「料理の登録に来たのですが」
「はっ? お前みたいな小娘が登録だとぉ。
笑わせるな、大方どっかでアイデアを盗んで来たのだろう。ガハハハ」
カチンときたので言ってやりました。
「もういいや、別の所でやるよ」
そう言って商業ギルドを出て寮に戻った。
◆
寮に戻ってからはお父さんにメールを送りました。
内容は今日のギルドでの対応を全て書いて、登録はホーデン領登録で王都以外の公開にしてもらいました。
殿下にも話しをして王宮では作って良いよと伝えました。
暫くして私の所に王都の商業ギルドからギルド長が来ました。
今回の件で謝罪をしてきて王都でも公開させて欲しいと言ってきましたが断りました。
盗人扱いされた事と小娘扱いされた事を言って王都のギルドは信用しないと言って帰ってもらいました。
(SIDE 王都商業ギルド長)
「なんて事だ、ホーデン家の3女にとんでもない事してしまった。
これから王都では登録してもらえない上に公開もされない。下手すれば魔導具も同じになってしまう。
第3王女が怒鳴り込んで来て直ぐ謝罪に行ったのに全然相手にもされない。
おい、あいつを呼んで来い」
秘書が呼びに行った。
秘書とホーデン家3女を怒らせた担当者が来た。
「ギルド長何ですか?」
「お前先日の少女、誰かわかって対応したのか?」
「あぁあの小娘ですか? 登録するとか言ってましたのでどっかから盗んだのかと言ってやりましたよ」
「巫山戯るな、あの少女はホーデン家の3女だぞ。
料理のレシピは150以上の登録そして魔導具の登録もしている。今回は王都以外の公開となった。
どうしてくれる、信用丸潰れだぞ。
第3王女も怒鳴り込んで来ている。
どう責任を取る?」
「そんなー何とかなりませか?」
「ならんから言っている。こちらからも謝罪に行ったが相手にもされない。
王都のギルドでは登録しないそうだ。
1番下からやり直せ。話は終わりだ」
セリカの担当者は落ち込んで退出をして行った。
◆
その頃セリカは殿下と一緒にさつま芋チップスと大学芋を作り試食していた。
殿下は王妃殿下にお土産が出来たと喜んでいた。
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