学園祭 2日目①
昨日、寮に帰る時に王妃殿下に呼ばれ学園祭でホーデン家の3女が出店していると聞いたので甘味はやっているかと聞かれました。
今回は甘味ではなく、北の海産物をやっていますと答えました。
王妃殿下はがっかりした顔で帰っていきました。
海の幸も美味しいのにと思いながら寮に帰りました。
その話をしたらセリカさんが笑いながら私は甘味を作るのは苦手なのと答えてました。
あんなにも多くの種類を作って苦手とは不思議です。
学園祭2日目です。
本日も頑張って売りましょう。
私は今日も呼び込みをしますよ。
「本日も北の海の幸の店のオープンです。
美味しい海の幸の軽食はいかがですか〜」
「セリカ来たよ」
今日もコロナお姉ちゃんが1番でした。
「あれステラお姉ちゃんは?」
「部活の方に行っているから後で来ると思うよ。
取り敢えず全種類頂戴ね」
「はいはい」
商品を渡すと直ぐに行ってしまいました。
今日も行列ができてるのよ。
「師匠来たよ〜」
「今日も来てくれたの?」
「此処が1番美味しいから、他は味が濃すぎます」
「そうなんだ」
ジェミニさんとケターダさんも一緒のようだ。
ローレルさんはミウラちゃんと笑いながら何か話しているようだ。
2人以外全員昨日とは違う商品を買っていた。
暫くすると宰相閣下が来ました。
「セリカ嬢久し振りだな。ミウラに聞いて来てみたよ」
「そうですかありがとうございます」
「それでこれから少し時間を空けて欲しい」
「何かあったのですか?」
「北の辺境伯と海産物を出荷した領主が来ていて話をしたいそうだ」
「部長に聞かないとわかりませんが聞いてきます」
部長の所に行き宰相閣下に呼ばれたので抜けさせて欲しいと言ったらあっさりOKが出ました。
「許可が出ましたのですが何処か座れる場所の方がいいですよね。でもその前に折角なので買ってもらえると嬉しいのですが」
「そうだったな。全種類を3人分を。
セリカ嬢も何か頼みなさい」
「ありがとうございます。フライドポテトでお願いします」
「それだけで良いのか?」
「はい十分です」
◆
学園の食堂に移動して話しを聞きます。
宰相閣下から2人の紹介をしてもらい、私も自己紹介をしました。
「今回はどうしてこの様な事をしたんだ」
「料理部の先輩に北の海産物の話を聞きカニと鮭が食べたくなったのが表向きで、実際は冷凍庫による海産物の輸送実験です。
加工した物がどうなるのか知りたかったのですよ。
この実験をやっておけば西の鉄道を使って運んだ商品を途中で降ろして内陸の領に運ぶ事が出来ますから」
「そこまで考えていたのか、王都に少し出荷して終わりだと思っていたが」
「小型船が帆船からスクリュー式になって漁場迄早く行ける様になって漁獲量も増え始めてますから」
「そのスクリュー式と言うのはなんだ?」
北の辺境伯様が聞いて来た。
「風に左右されずに航行出来る魔導具で、船の後ろに回る羽根をつけて海水で推進力を得る方式です。
絵を描いて説明ですね」
ポケットから紙とペンを出して絵を描き始める。
(実際はアイテムボックスからだけど)
「こんな感じですね」
3人に絵を見せて簡単に説明をする。
「皇女様からは貿易船に付けたいと言っていましたよ。
問題が多いのでまだ手はつけていませんが」
「問題と言うのはなんだ?」
宰相閣下が聞いて来た。
「大きいのは軸からの水の進入と軸と受けの精度です。
小型船の方は粘度の高い油を定期的に注油する事で進入を防いでいます。
精度も細いのでごまかしてあります」
「これはいい、1基いくらだ?」
北の辺境伯様が聞いて来た。
「父に聞かないとわかりません」
「男爵、このままホーデン領に行くか? 一緒に冷凍庫の件も話が出来る。
ついでに鉄道だな、実際に乗って見ないと分からんからな」
「そうですね行きましょうか。此処迄来たら一緒にやってしまった方が良いでしょう」
男爵様が言った。
「えぇと話が纏って終わりでしょうか?」
「いやいやまだこれからだよ。
それで今回の輸送に関してはどうだったのだ」
辺境伯様が聞いて来た。
「冷凍焼けとかもありませんでしたから商品としては合格ですかね。
加工するとどの様になるかわからなかったのでほっとしました。
後は消費の期限がどれ位なのかを調べないといけない位ですが、これは実際に売りながらでも出来ますから慌てる必要はないですね。
最後は輸送業者も対応が良かったので全体で見ても合格ですね」
「これからは北から王都に向けて輸出出来ると言うことだな」
辺境伯様が言った。
「今回の商品に限りはそうですが、別の物に関しては確認が必要です。
冷凍出来無い物も有るので選別もしてもらわないといけないです。
そういえば先輩が定期的にやりたいと言っていましたよ」
「家の息子がそんな事を言っていたのか」
男爵様が言った。
「王都にパイロットショップを置いて販売と食事を出来る様にするとかすれば出来無い事は無いですけど。
男爵様の周辺の領の特産品も一緒に販売すれば面白いと思いますよ。
後は海産物をどの様に販売して消費させるかですね」
「セリカ嬢は此処で終わりか?」
辺境伯様が聞いて来た。
「そうですね、後は北部方面の話になるので私は部外者になるだけです」
「そうなるよな。例えばレシピの買い取り等の協力はしてもらえるのか?」
「内容によってはですけど父の許可がないと出来ません。
それと北部でも料理の開発を出来る様にしないといけないです。
今回の販売はフライがメインなので公開されていますから。
サンド系は一旦こちらで登録をしてその後の話し合いですね。知的財産になりますから。
私はフソウ国の調味料やホーデン領の新調味料を使う気満々ですけど」
「料理の開発を北部でもやらないといけないのか?」
辺境伯様が情けない事を言い出した。
「あたり前ですよ、何処の商品ですか?
南部の商品ではありませんよ」
「そうなんだが」
「男爵様の息子さんを中心として料理の好きな人を募集すれば良いじゃないですか。たったそれだけですよ。何が問題ですか? つまらない事を言ったらぶっ飛ばしますよ」
「セリカ嬢抑えてくれ。
辺境伯、セリカ嬢は陛下にも文句を言う女性だぞ。
しっかりと答えた方がいいぞ」
「閣下、私帰っても良いですか?
既に此処にいる意味が無いのですけど」
「セリカ嬢の様にレシピが出来るか心配なんだよ」
「閣下、ぶっ飛ばして良いですか」
「ちょっと待ってくれ。
辺境伯それはあまりにも領民を蔑ろにしているぞ」
「そうですよ。コンテストでもやって優秀者には賞金とか開発メンバーに入れるとかあるでしょう。
後は料理部の北の人とか。
今日明日で販売をする訳じゃないでしょ。
ちゃんと計画してやらないとサンニッチになるよ」
「セリカ嬢、それは笑えないから止めよう」
「は~い」
閣下に注意されました。
「閣下終わりましょう。これ以上は北の方針が決まらないと何しても駄目ですから」
「そうだな。後は辺境伯の方で纏めてくれ」
「はい」
「私は戻ります。ポテトご馳走様でした」
さっさと逃げよう。
◆
「部長戻りました」
「ホーデンさん丁度良い時に来たわ。
今売り切りって完売よ」
「へっ昨日より早いですよ」
「そうなのよ、嬉しいわ」
「では片付けて撤収ですね」
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「終わったー!!」
「皆集まって!!」
部長のかけ声で部員全員が集まりました。
「2日間お疲れ様でした。無事完売しました。
初めての出店でしたが楽しかったです。
もし来年、機会がありましたらやりましょう。
皆ありがとう」
ご覧いただきありがとうございます。




