学園祭 1日目
ついに始まりました学園祭です。
料理部での出店です。
「部長、掛け声からお願いします」
私は部長に声をかけた。
「そうね。初めての出店ですが今日からの2日間楽しく、慌てずやりましょう」
「オー」
全員が右手を上げた。
今回の私の担当は午前中が呼び込みをやります。
そして見本も作って注文しやすくしています。
見本市やお祭の経験が生きますね。
「いらっしゃいませ、北の海の幸の軽食です。
美味しいですよ、どうですか〜。
滅多に食べれませんよ〜」
「セリカ来たよ〜」
「お姉ちゃん達いらっしゃい」
コロナお姉ちゃんとステラお姉ちゃんが来た。
「全種類1つずつ下さい」
コロナお姉ちゃんが注文をした。
「私も全種類ね」
ステラお姉ちゃんも頼んで来た。
「2人は食べるね?」
「滅多に食べれ無いから」
「そうそう」
2人に商品を渡すと手を振って去って行きました。
その後は行列が出来ました。
「師匠来ましたよ」
「いらっしゃい、ありがとうね」
寺子屋組全員いますが、ローレルさんもいる様ですので上手くいっていそうです。
全員が1つずつ買っていきました。
暫くすると何か派手な集団が来たなと思ったら王室のそれも第3王女のお母様の側妃殿下と第1王女でした。
対応は殿下に任せよう。
私は休憩に入って裏で塩分補給水を飲んでいると第3王女殿下に呼ばれました。
「セリカさんちょっといいかな?」
「何でしょうか」
「家の料理長が少し話しをさせてもらいたいと言っているのだけどいいかな?」
「休憩中だけなら」
「わかったわ。少し時間を頂戴ね」
殿下が王宮の料理長を呼んで来た。
「初めまして王宮の料理長です」
「初めましてセリカ・ホーデンです。それで何でしょうか?」
「レシピが改悪されていると聞きましたがどう言う事かお聞きしたくて来ました」
「そうね私のレシピは改悪されているわね。
私は素材自体の味を大切にしてますので素材を塩胡椒で殺す味付けは改悪になりますね」
「王都はそんなにも酷いと思われているのですか?」
「そうね素材の特徴を知りもせずにレシピと同じ味付けですから。
同じ素材でも品種が違えば特徴が違いますので料理人なら頭に入っているはずです。
料理人は職人でありプロですよ。
それがわからないならただ料理の出来る人ですね。
家では案は私が出しますが必ず味見をして素材が美味しくなっているか話しをしますよ。
最終的には味が変わっている事もあります」
「それでは王都の料理人は駄目と言うことですか?」
「私の基準で有ればそうですね。
それと塩梅と言う言葉を知っていますか?」
「いえ、知りません」
「そう、ならいいわ。どちらにしても調味料の使い方が雑過ぎるのは変わらないから。
調べてその言葉の意味がわかる様になれば良いわね。
それと何でも新しい料理を作らなくても味付けを変えるだけでも新しい料理になるからね。
ただ素材を殺せば意味ないけどね。
他にもありますか?」
「素材がそんなに大切なのですか?」
「何をあたり前の事を聞いて来るのですか?
貴方が料理人を名乗るなら使う物は何ですか?
休憩も終わりますので帰ってもらっていいですか」
私は店の方に行った。
「セリカさんゴメンね」
殿下が声をかけて来た。
「別に良いですよ。ちょっと言い過ぎましたかね。
あれでわかってもらえれば良いのですが」
「後はフォローしとくからいいわ」
「はいお願いします」
さて気分を変えて呼び込みをしよう。
「いらっしゃい、北の海の幸はいかがですか?
なかなか手に入りませんよ~。
この機会にどうですか?
美味しいですよ〜〜」
・
・
・
「在庫はどれ位ですか?」
私は部長に聞いてみるともうすぐ終わりそうと言っていたので最後の呼び込みをします。
「残りわずかですよ〜。この機会にどうですか〜。
美味しい北の幸を召し上がって下さい」
30分後に本日分が終了しました。
「本日の分は終了しました。
また明日お願いします〜」
なんと午前中で終わってしまいましたので料理部の皆も喜んでいます。
良かった良かった。
学園の食堂で本日の打ち上げです。
「こんなに早く終わるとは思わなかったわ」
部長が喜びながら言った。
「やっぱり海の幸は珍しいのですね」
「王都は海から遠いからね。
これで売れる事がわかったから定期的にやろうかな?」
北の領地の男子の先輩が言った。
「では頑張って下さい。冷凍庫はレンタルしますよ」
「手伝ってくれ無いのかい?」
「後は領主との話になりますから私は何も出来ませんよ。
取り敢えずは明日迄です」
「わかったよ。カニとホッケ以外は全部売れそうだね」
「カニは買いますよ。ホッケも少し買おうかな」
「私も欲しいです。特にカニ」
殿下が参戦してきた。
「買う分は明日終わってからと言うことで」
話は決まりました。
◆
午後は1人で学園内をプラプラして面白そうな出店や展示が無いか見て回っていると魔導具研究会に来てしまったようです。
「ジェミニさんとケターダさんの様子でも見るかな?」
魔導具研究会の展示に入るとジェミニさんがいましたので声をかけました。
「ジェミニさんどうですか?」
「セリカさんいらっしゃい。あまり人が来ないので結構暇です。
出店の方はどうでしたか?」
「午前中で本日分は完売でした。
明日も同じになりそうです」
「明日は絶対に行きます」
「はい待ってます。
ジェミニさんは何か作ったのですか?」
「私は作らずにケターダさんの手伝いをしてたの」
「ケターダさんは何か作ったのですか?」
「ハンドミキサーを作ってました。
夏季休暇の時からやってたみたいなの」
「リンダさんに教わりながらやったかな?」
「そうみたい、弟子入りしたって言ってたよ」
「そうなんだ。通っていたのは知っていたけど」
暫く話しをしてからまた学園の中をプラプラしてました。
料理長の話以外は充実してたなぁ。
◆
王宮の厨房では。
「殿下申し訳ありません。熱くなりすぎました」
「そうね。今回は料理長が悪いわね。
それにあの言葉はいけないわ。
素材がそんなに大切ですかでしたっけ、材料あっての料理人でしょ」
「そうです。材料が無ければ何も出来ません」
「それで話しをした後は食べたのでしょ。
どうだった?」
「美味しかったです。魚の味が良くわかりました。
王都の味付けでは魚の味が消えるかもしれません」
「明日魚を買う予定だから実際に作ってみましょう。
王都の味付けだとどうなるのか気になるわ~」
「殿下はセリカ嬢の味付けが出来るのですよね」
「取り敢えず練習はしたわよ。
それと海の塩も少し売ってもらったから今使っているのと比べましょう」
「はい。それと塩梅でしたか、あの言葉は気になります」
「それは直ぐに出る答えじゃ無いわね。
明日も食べに来るの?」
「えぇ、全制覇して味を覚えないと」
「そうね私もセリカさんに教わらないといけないわね」
2人は楽しく話をしていた。
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