また来たの?
夏季休暇も中盤となり、少しだらけ気味です。
料理部の皆さんは1週間程滞在して王都に帰りました。
今回の合宿は実のある合宿と言って、帰りには色々と買い込んでいました。
喜んでくれて良かった良かった。
ジェミニさんも実家に帰りました。
ケターダさんはリンダさんのところにアルバイトと言うか弟子入りしたみたいで毎日通っています。
他のフソウ組と皇女様もこちらに来ています。
先日サンニッチ公爵から手紙が来てまた鉄道を始めたいから路線図や計画書、運行をやってくれと書いてあったのですが、お断りしました。
私が学園にいるから暇だろと書いてあったので前倒しの作業があるので暇ではないと書いておき、それにアドバイスをしても人の話を聞かないので話しをしても時間の無駄と追加しときました。
ー・ー・ー・ー・ー
「お嬢様、ダイナ様がお呼びですので応接室にお願いします」
サツキさんが呼びに来た。
「何かあったのかな?」
自室を出て応接室に向かった。
◆
「セリカです。入ります」
応接室に入るとサンニッチ公爵がいた。
「セリカ悪いな、話しだけでも聞いてくれ」
「はぁ」
「それで公爵は何しに来たのですか?
先日の件はお断りさせてもらいましたが?」
お父さんが公爵に言った。
「もう一度やれるチャンスが来たんだ。
路線図と計画書を作ってくれ」
公爵が言って来た。
「何故関係のない私がやらなければならないのですか?
もし作っても公爵の望み通りにはなりませんよ。
以前複線にして東に繋げると言った筈です。
それに計画書の報酬は幾らですか?」
「金を取るのか!!」
「人が動けば人件費が発生するのは一般常識として当り前ですが」
「金は出せん」
「ではお帰り下さい」
「それじゃ困る」
「私達は困りません。迷惑です。
御自分で考えれば良いじゃないですか」
「いいからやってくれ」
「公爵の首から上は飾りですか?」
話しを聞いていて思わず言ってしまった。
「なんだと!!」
「だってそうでしょう。
自分では考えず人に押し付け、気に入らなければ文句を言うだけ。
何が必要か調べもしないのでただ首の上に乗っているだけですね、そのあ・た・ま」
「何を言っているのかわかっているのか!!」
「えぇ十分わかって言ってますよ。
自分のケツ位自分では拭け。
出来無いなら手を出すな!!」
「セリカ事実だが言い過ぎだ。
それに言葉使いが汚いよ
公爵、子供に此処迄言われてまだ判りませか?
以前からこちらはアドバイスを送っていますけど何1つやらず、決められないのにどうしてやって貰えると思うのか不思議です。
もう来ないので下さい。
私達は一切関与しません」
「もういい」
公爵は帰って行った。
「セリカ言い過ぎだぞ。
一応あれでも公爵だ」
「ご免なさい、我慢出来なかったです」
「でもありがとう、スッキリしたよ」
お父さんに頭を撫でられた。
嬉しいな。
◆
セリカを自室に返した後、一応宰相閣下にメールをしておいた。
◆
サンニッチ公爵は列車に乗って王都に向かった。
「何なんだあの娘は、俺は公爵だぞ。不敬過ぎる。
しかし結局何も進んでいない、どうすれば良いのだ。
また陛下に頼んでおけばダイナはやらざるを得ないよな、そうしよう」
サンニッチは陛下が引退する事になって実権は第1王子に移っている事をまだ知らないのでお気楽に考えている。
「これで美味い酒が飲めるぞ」
そう言って酒を煽って寝た。
◆
「セリカちょっといいかな?」
カリーナお姉ちゃんが私の部屋に来た。
「何ですか?」
「路線図何だけどちょっと見て貰えるかな?」
「いいですよ」
路線図を受け取り確認すると、大体上手く纏っていたので後は話し合いでどうにかなりそうです。
「これで良いと思いますよ。後は3領主との話し合いですね。
大きな街道や河川も無いのであまり難しく考えない方がいいですよ」
「上手くいくかな?」
「大丈夫ですよ。整地工事の方が読めないので何とも言えないですけど。
一応整地の関係や高架にする場合の注意点は全て資料にしてありますのでそれを見ればどうにかなりますよ。何か有れば手伝いますから」
「ありがとう。それで公爵はどうなったの」
「文句を言って終わりました」
「それだけ?」
「それだけですよ。もう来ないでしょう」
ー・ー・ー・ー・ー
「西の領都に着いた、このまま王宮に行こう」
サンニッチは列車から降り馬車で王宮に向かった。
◆
サンニッチが陛下の面会を申請して指定された部屋で待っていると第1王子と宰相閣下が入って来た。
「サンニッチ公爵、今日はどうしたんだ。
路線図と計画書を持ってきたのか?」
第1王子が公爵に言った。
「あのぉ陛下はどうなさったのですか?」
「陛下は引退をする。
発表はまだ先だが、実務は既に私の所に来ている。
それで今日はどうした」
「路線図と計画書ですがホーデン家にやって貰いたく進言に来ました」
「サンニッチ、お前の鉄道計画にホーデン家は関係無い筈だが、何故巻き込むのだ?
散々アドバイスをしたのに無視をしたのはお前だぞ。虫が良すぎないか?
もしかして考える事ができないのか?
お前の計画ならお前が考えてやらないといけない筈だ。
お前の首から上は飾りか? 知能が有れば出来ることだぞ。
やっぱりこの件は無しだな。下がって良いぞ」
「お願いします。やらせて下さい」
「最後だぞ、3日で持って来い私と宰相で吟味する。
良いな」
「はい」
サンニッチは退出した。
「サンニッチは駄目だな。父上よりも悪い。
世代交代か男爵行きだな。
これからの波には乗れないだろう」
「そうですね。これからは厳しいでしょうね。
それよりも殿下は飾りと言うのに嵌ったのですか?
思わず笑いそうになりましたよ」
「セリカ嬢の言葉が耳に残っていてな、私もいつかは言われそうだな」
「今の所は大丈夫ですよ。
それより3日後はどうなりますかな?」
「楽しみにしておこう」
ー・ー・ー・ー・ー
3日後、サンニッチは第1王子に路線図と計画書を渡した。
「これは以前と変わらんがどう言う事か?」
第1王子が路線図を見て言った。
「旅客を中心として考えてあります」
「そうか、それで複線にするのか?」
「いえ、単線のままです」
「では1日最大上下合わせて4本でいいんだな」
「いえ、もっと走らせます」
「どの様にするのだ。サンニッチの意見が聞きたい」
「・・・・・・」
「早くしてくれないか此処は大事な所だぞ。
もしかして考え無しのただの希望か?
中間に駅を作るのか? それとも上下を1日ずつ交代でやるのか?」
「・・・・・・」
「もう良い話しは終わりだ。
これ以上は待てない、時間が勿体ない。
結局何も考えていないのだな。
サンニッチ、世代交代した方がいいぞ。
もしくは男爵家になるかだな」
「どうしてそうなるのですか?」
「これからは領主が先頭に立って領を繁栄させなければ寂れていくだけだ。
お前にホーデン家の様な事が出来るか?
王家は王都に関して第1王女が動き始めた。
王家で話し合いをして決めた事だ。
サンニッチ領はどうする? 人口はどんどん減っているのだろ。
もし鉄道が来ても素通りしておしまいだな」
「西はどうなんですか? 話しが本当なら素通りですよね」
「西は今対策中だ、直ぐに栄える物は無い。
あるとすれば色街とギャンブル場だな。
治安が悪くなるけどな。
そういう事で鉄道の話は無しだ」
サンニッチは肩を落とし退出をした。
後日サンニッチは奥方と次女のローレルとで話し合いをしてローレルに婿を取ることだけ決め後は現状維持をしていく事になった。
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