両親と話をしよう
昼食後、両親と一緒に執務室にいます。
「午前中はありがとう。追加もあるけどうまく話がついたよ」
「はい、その辺はお父さんにおまかせします」
「それで来てもらったのは、セリカが使っている魔法の事なんだけど」
「はい」
「どの様な事を考えて使っているのか教えて欲しい」
「先ず使う属性、アローやパレットなどの技を決め、イメージを固めて魔法の実行です」
「さっきも言ったけど呪文は使わないの?」
「1番最初の訓練の時だけです。
慣れれば必要ありません。
それに呪文の分だけ発動が遅くなります。
なのでイメージして詠唱破棄、もしくは無詠唱でするのが1番です」
「そう言われるとそうよね」
「例えば水ですが、温度を下げると氷に成ります。
では温度を上げて沸騰させるとどうなるでしょうか。お父さん答えていただきますか」
「悪い、分からない」
「答えは、水蒸気となり空気中に含まれています。
この発生源の上、少し離したところに板を設置します。
この板に水蒸気を含んだ空気が当たると、冷えて板に水滴が付くのですが、これが蒸発した水分です。
これを応用すると、ワインからアルコールの強いお酒が出来ます」
「最後にしれっと凄い情報が入ったけど、どういう事なんだい」
「この水蒸気を出す呪文はありません。
でも私がイメージして「スチーム」と言えば熱い水蒸気が出てきます」
「そうよね、そう言われればそうね」
「では、お母さん。この指先から出ている火ですが温度を上げるとどうなるでしょうか?」
「火の温度を上げる? 分からないわ」
「見ててください。温度を上げて行くとだんだんと青くなります。さらに上げて行くと白くなります」
「「えっ」」
両親は、この現象にビックリしている。
「セリカ、どういう事なんだい?」
「火に空気をドンドン送り込んで行くと、この様な事になります。
それをイメージして、実行しました。
この様な現象も呪文にはありません」
「ダイナ、私よく分からないわ」
「エミーナ、私もだよ」
私は言いました。
「とある人が言いました。[魔法とは願いを現実化する奇跡のツールである]と」
確かどっかの小説にあった様な気がする。
「言われればそうよね」
「私もそう思うよ」
ここまで来てしまったら、前世の記憶がある事を言わないと、知識的にまずいことになりそうだ。
「お父さん、お母さん。今から言う事は信じられ無いかもしれませんが聞いてください」
「どうしたの、セリカ」
お母さんが声をかけてきた。
「実は前世の記憶があります。
ここでは無い違う世界です。
ここよりも150年から200年程文明が進んだ魔法の無い世界です」
「セリカ、それは本当の事なのかい?」
「はい。今まで作ったものは全て元の世界にあったもので、それもありふれた物です」
「そう言う事なら合点が行くね」
「セリカ、あなたの事を教えてちょうだい」
お母さんが私の頭を撫でながら言ってきた。
「はい、地球と言う星の日本と言う国で生まれ育ちました。
16年学校に通い、5年間社会人として働いていました。
こちらで言うと魔導具の工房が近いです。
ある日夜遅く迄の仕事が続き、とても疲れて眠ってしまい起きたら赤ちゃんでした。
生後3ヶ月でした」
「そうだったのね」
お母さんは、私を、抱きしめた。
「セリカ、学校は何歳から通うのだ」
「6歳から12歳迄の小学校、13歳から15歳迄の中学校、16歳から18迄の高等学校、ここでは職人や商人等になるためのコースがあります。
そして22歳迄の大学があります。
もっと高度で専門的な勉強をするところです」
「セリカは、どこまで行ったのかな?」
「私は、大学の職人のコースを取りました」
「セリカは、高度な教育を受けたと言うことかな?」
「大学にもレベルがあるのですが、私は中間ぐらいのレベルの大学です」
「それでも教育を受けたことは良いことだよ。
コレでセリカの魔法へのイメージの根幹がわかったよ」
「それで実は元の世界では異世界への転生、転移の物語が流行っていました。
私も良く読んでいましたが物語の主人公は何かしらの大きな力を授かっておりました」
「セリカは大きな力を持ってるの?」
「どうなんでしょう。ステータスオープン。2ページ目へ」
目の前に画面が出た。
「何をしてるの?」
「今目の前に、私の魔法とかの個人情報の書いてある画面があります」
「何も見えないわよ?」
他人には見えないようになっているのは、良いことだよ。お父さんとお母さんは、出るのかな?
「あの、2人でステータスオープンって言ってもらってもいいですか?」
2人は、頷いた。そして、
「「ステータスオープン。」」
「うわ! 目の前になんかでた」
「ダイナ、私もそうだわ」
二人とも画面が出たようだ。
「もし私と一緒なら1ページ目は家族構成になっている筈です」
「「同じ」」
「では右側の矢印を触ると、個人情報が出てきます。どうですか?」
「出たわ」
お母さんは返事で、お父さんは頷いた。
「上側が、魔法の熟練度がLvで出ています。
下側がスキルと言う個人能力です。
これもLvとして出ます。
あとまだ右側に矢印はありますか?」
「「無い」」
アイテムボックスは、無い様だ。
「シャットダウンで、消えます」
二人とも消した様だ。
「一度休憩しませんか?」
「そうだな、情報量が多すぎる」
「私も疲れたわ」
私は、お茶とお菓子をもらいに行った。
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