セリカのいないホーデン領と王家
セリカが王都に行ってから1ヶ月たった。
「カリーナちょっと相談させて欲しい」
「何でしょうか?」
「東側に鉄道を延長しようかと思っているのだが、どう思うか聞かせて欲しい」
「それはセリカがいない事を考慮してですか?」
「そうだ、セリカがいない状態でどの程度出来るかの確認だ。
それで上手く行けば西の延長が前倒しが出来る実験でもある」
「ユキさんと宰相閣下に話を通す必要が有りますね。
いきなりやったら閣下も良い気はしないで無いでしょうから」
「先ずユキの方に聞いてから閣下に相談するよ」
◆
午後にカリーナと一緒に鉄道会社に行きユキとレイと会い、カリーナに相談した事を話した基本的には賛成だった。
レイからは整地と微調整に時間がかかると言われた。
整地はセリカが一気に作っていたので土魔法師を集めても建設スピードが遅い事になると言っていた。
それと隣は男爵領なので旅客は望め無いので伯爵領迄にして欲しいと言って来た。
そうすると3領分となる。概算で2年半後に開業だと思ったら、レイが部分開業しながら建設して行けば初期の損失は少ない筈と言っていた。
それと魔力量が少なくても整地が出来る魔導具が必要になると言っていた。
その辺はセリカが詳しいと言っていた。
取り敢えずはやれそうだ。
そして直ぐに閣下にメールをした。
◆
ダイナからメールが来た。
東へ路線を伸ばすと書いてあった。
西の延長が先の筈だがどうしてだ?
メールを読んで行くとセリカ嬢がいない状態での実験と書いてあった。
先ず近いところでやって何か有れば直ぐに駆け付ける事が出来ると書いて有り、上手く行けば西の延長が前倒しが出来ると書いてあった。
整地と微調整には時間がかかる様だ。
これだったらお互いにメリットが有り、私にも筋を通してくれているので進めて欲しいとメールした。
辺境伯と塩の子爵に連絡しておこう。
◆
「カリーナ、閣下から了承が来たから進めよう」
「わかりました。お父様は2男爵と伯爵に連絡を、私は路線図を考えてみます。後セリカに相談しても良いですか? 私だけではまだ不安です」
「それは構わないよ。それとレイが言っていた工事用の魔導具の事を一緒に相談してくれ。
リンダの方は話しをしておくよ」
◆
カリーナお姉ちゃんからメールが来たので内容を確認すると私のいない状態で工事ができるのか実験すると書いてあった。
それで、路線図を作る時の注意点と工事に使う魔導具が有れば教えて欲しいと書いてあった。
一応数年前の資料は会社にあるのでそれを見てから現在の状況を確認して路線図を書いて欲しいと書いておいた。
男爵領に関しては無理に領都に繋げる必要は無いのと伯爵領はキズス領を参考に位置を確認して欲しいと追加で書いた。
魔導具に関しては少し時間を下さいとした。
「師匠どうしましたか? 顔がニヤついていますよ」
「何か面白い事が始まりそう」
「何ですか?」
「親御さんにも内緒にしてくれるなら」
「はい。内緒にします」
「伯爵領迄鉄道を伸ばすみたい。
私がいない状態での実験だって」
「私の領迄来るのですか? ヤッター!!」
「まだ計画の段階だから内緒だよ。喋ったら罰ゲームにでもしようかな?」
「師匠の罰ゲームはシャレにならないのでやめて下さい」
「却下します」
「えぇー」
◆
セリカから返事が来た。早い。
内容を確認すると以前の資料と現在の確認をするところから始めればいいのね。
今日の分は終えたからこれをやりましょう。
お父様にも連絡しときましょう。
ーーーーーー
王都の王家では一家で話し合いをしていた。
「結局どうすれば良い」
国王は言った。
「無理やりはしたくありません。
陛下が目先に囚われず本質を理解して人をあてにせず、押し付けもせず御自分で考えていただければいいだけです。アドバイスを貰うのは構いません」
「我は出来ていないというのか?」
「えぇキックボードが良い例ですね。あの時宰相は陛下を止めました。ホーデン領でやっている事を考えて欲しいと言って。
考えず行なった結果毎日100人以上の死亡事故、500件以上の事故、盗難による犯罪の増加で人口の激減があり王都は危険な所と認知されました。
鉄道もどうすれば王都に来て貰えるかを考えず相手任せでもってこさせようとしました。
私なら門の前迄来る様に考えますね。
まぁ今更ですが。
今回も自分で考えずセリカ嬢に押し付け、御自分では何も考えてはいなかった。
例えばこの様にしたいと言えばセリカ嬢はアドバイスをくれたと思いますよ。
そこから私達が肉付けをして王都を盛り上げていけますから。
レシピや魔導具も何も考えず、何が必要なのかも調べておらずただ王都から出せば良いだけでは相手だって困るし協力だってできませんよ。何かの案が有ればそこから膨らませて協力出来ます。
後、時代が変わって来ています。
ホーデン領を参考に領主が自分達でやり始め先頭に立っています。
これに気づいているのはまだ少数ですけど。
陛下どうですか、この波に乗れますか?」
「我では無理だ、そこまでは出来ぬ」
「方向性も出せないのですか?」
「あぁそうだ。これを期に引退するから後は任せる」
「御意」
国王陛下の引退が決まった。
その後の話し合いでは第1王子が次期国王となり国の管理として政治を行なう。
第4王子が補助に。
王都の管理には第1王子だが実質第1王女が行なう事に決まった。今までとは違う方法をとり、不都合点は改善して行く事になった。
新生エンジプト王国の誕生である。
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