学園に行ってみた
(SIDE ヴィータ、サンク)
今朝、宰相閣下が来て、昨日学園であった事を聞いた。
[ホバー]と[バーニア]と言う魔法を再現して欲しいと言われた。
これはイメージの魔法で行なうと言っていて宰相閣下の孫のミウラ嬢は既に使えていると言う。
以前イメージの魔法の実施要領書をいただいて訓練をしているが、いまいちイメージを落とし込むというのがわからない。サンク先輩も同じ所で躓いている。
このイメージの魔法を始めたのが以前移動の確認をしたホーデン家の3女のセリカ嬢だった。
それからはホーデン家の姉妹、ルバス家姉妹、フソウ国の皇女殿下、留学生、そしてセリカ嬢の始めた寺子屋の生徒が使えるそうだ。
ホーデン領では領民も寺子屋に通えば教えて貰えるそうだ。サンク先輩の友人のパレット嬢も使えると言っていて錬金釜を使う時にとても便利と言っていた。
驚いたのが第1王女殿下がイメージの魔法を取得していた。新年の花火魔法の打ち上げがそうだ。
あれを呪文でやろうとすると20人位必要になる。
イメージだと魔力量によるが、1〜3人で開催出来る。
第3王女も習い始めたと聞いたので、セリカ嬢に会って話しを聞いてみたい。
「サンク先輩、一度学園のセリカ嬢を訪ねてみませんか?」
「そうねこのままだと使えないままになってしまうからね」
学園長宛に手紙を書き、返事を待つと会える事になった。
日程に関しては、週1回学園内で放課後に寺子屋の魔法授業をやっているのでその時にと言う事だった。
日程を確認すると来週だった。
ー・ー・ー・ー・ー
当日の放課後に学園に行き、セリカ嬢に会う事が出来た。
「お久し振りですね。あれから魔法は使える事が出来ましたか?」
「いえ、無属性で軽量化迄はわかったのですが移動の方が出来無いです」
「では時効と言う事で言いましょう。
無属性で軽量化は合っていて移動は同じ無属性の[サイキックス]を使っています。
そして制御を8つ使っています。
私はイメージで魔法を使ってますが、特に無属性は呪文の無い魔法が多いので自分の知識を使って想像、イメージします」
セリカ嬢は[グラビティ]、[ウエイトセイビング]、[サイキックス]を見せてくれた。
発動が早い、魔法名を言うと直ぐ発動するので呪文よりも遥かに早い。
ヘタをすれば呪文を言っている間に相手より攻撃を受けてしまう。
「実は今日来たのは現在イメージの魔法を取得中なのですが、イメージを落とし込むと言う所で躓いています。
どの様にすれば落とし込めるのか教えていただきたいと思って来ました」
「落し込みと言うよりは覚えると言った方が解り易いかな。
これは基準作りの為にやります。
基本の呪文で発動した物を大きさ、使う魔力量等を覚えて毎回同じ大きさ、魔力量等をイメージで発動させて毎回同じなら落とし込めています。
これを基準として倍の大きさとか半分にする想像、イメージして発動させます。
この基準をしっかりと覚えないと自分では同じと思っていても毎回違う結果になります。
例えば倍の大きさのつもりが半分の大きさで発動する事になりますので慣れないうちは丁寧にやった方が良いですね」
セリカ嬢は解り易く丁寧に教えてくれた。
「それと昨日学園で風属性で[ホバー]と[バーニア]と言うのを披露されていますが制御が2つ増えている理由は何ででしょうか? 考えたのですが結論付けが出来ませんでした」
「バランスと横移動のしやすさ等ですね。
背中は上下方向と前方向で足の裏は上下がメインですが横に行こうとすると斜め上方向に行こうとしますのでふくらはぎの横部分に出力が有れば横方向に行きやすくなります。肩部分に追加すると横移動が早くなりますが制御が増えますので熟練向きですね。
空中では出力部分のみで支えていますが、バランスを崩すとどの様な状況になるかわかりませんので復活させるのに補助的に使う事で体勢を戻す事が出来ます」
「なるほど、そう言う事ですか。
確かにそうですね」
「これからイメージの魔法を使うなら知識は多ければ多い程良いですよ。
イメージしやすくなります。
それに呪文の様に画一的では無いので結果は同じでもイメージが違う場合があります。
魔法はどんな方法でも発動すれば結果OKです」
「確かにその通りですね、難しく考えていました」
「あのぉパレットはイメージを使う事で世界が広がったと言っています。
どの様な事でしょうか?」
サンク先輩がセリカ嬢に聞いている。
「パレットさんは錬金釜を使っています。
同じ材料でもイメージによって違う物が出来ますので多分その事だと思いますよ。
本人は面白がっていますけど」
「話が戻るのですが、[ホバー]と[バーニア]の注意点はありますか?」
「[ホバー]は状況に依りますが、魔法が途中で切れると吹っ飛びます。[バーニア]は墜落ですね。
両方共に死に直結していますので教える時は必ず遊び半分でやらない様に言っています。
後は制御が未熟の者には教えません。
もし良ければ寺子屋を体験して行きますか?
今は制御をやってもらってますので」
「サンク先輩行きましょう」
「そうね体験しましょう」
◆
寺子屋の練習をしている教室に行くと変わった練習をしていた。
「2人は制御はどのくらい出来るのですか」
「僕は8つです」
「私も8つです」
「それは全て同じ大きさですか?」
「そうです」
「では全て違う大きさにしましょうか。
先ず2つからですね。
此処の4人は全て違う大きさで6つでやってます」
「えっ」
「じゃぁ座ってやってみましょう」
セリカ嬢に説明を受けて始めてみましたが、難しい。上下入れ替えるだけで大きさが変わる。
4人の生徒は途中で位置を変えながら上下させている。
1時間程やってから休憩になった。
どうせならと思って4人に聞いてみた。
「皆は何年位習っているのかな?」
「寺子屋自体はもうすぐ3年かな。
師匠は途中で鉄道をやっていたので教わったのは1年ちょっとかな? パレット姉さんが来てくれたから続けていられたよ」
「そうそう」
「パレットも教えてたの?」
「薬師もあったけど魔法も教えてくれた。
姉さんは師匠のお姉様に教わったとか言っていた。
師匠と同じで教え方が上手だった」
「そうなんだ。夏にでも行ってみようかな」
「最近はホーデン領は人気ですよね~」
「鉄道が出来てからは特に多くなったね」
「王都より面白いし、食事が美味しい」
休憩が終わってまた制御の訓練をやった。
今度は3つになったので難度が上がったが楽しい。
明日からもまた訓練を始めよう。
サンク先輩も同じ様だ
ご覧いただきありがとうございます。




