商会の人に会おう
朝食の後、お父さんに執務室に来る様に言われました。
「お父さん、セリカです」
「入りなさい」
ドアを開け、
「失礼いたします」
お母さんと他にも人がいた。
「座ってくれ、紹介したい人がいる」
「はい」
私は、座った。
「こちらにいるのがユーディー商会のクオン会長だ
家とは長い付き合いなんだ」
「初めまして3女のセリカです」
一度、立ってから挨拶をした。
「初めましてユーディー商会のクオンです。
今回はお嬢様がいろいろと商品を作ったと聞いて伺いました」
「セリカ、今回クオンを呼んだのは、作った商品を特産品として広めたいと思っているんだよ」
「はい。それで領地が潤うのであれば構いません」
「聞いた話ではセリカお嬢様は、料理や生活を便利にする物を作ったと聞いております」
「料理は10種以上、洗濯物用、髪の纏める小物ですね」
「それを領地外ではクオンに任せようと思っているんだよ。もちろんギルド登録の後だけど」
「その事は、お父さんにお任せします」
「セリカお嬢様は他にもやって見たい事はあるのですか」
「魔導具や薬師に興味があります。
生活が楽になる物や体にいい物を作りたいです」
「セリカ、体にいい物って何?」
お母さんが、質問してきた。
「例えば、水仕事だと手が荒れてしまうので防ぐ薬、日焼けの防止の薬、髪を綺麗に洗う薬などです」
「セリカ、今すぐ作りなさい」
お母さんが、無茶を言い出した。
「まだ薬師の勉強して無いから無理だよ」
「魔導具はどんなのを作りたいのかい?」
今度は、お父さんが乗って来た。
「井戸の水を簡単に汲める物やキッチンまわり、掃除道具、髪を乾かしたり、クセを付けたりする道具」
「なんかいろいろ出てきたね。
いまいち理解していないけど、生活が便利になるんだよね。
井戸の水が簡単に汲めるのはいいね」
お父さんが、感心してる。
「原理は分かるのですが、それを作る技術がありませんから」
「それを私にやらさせていただけませんか。
鍛冶師の知り合いに作ってもらいたいです」
クオンさんが言ってきた。
「セリカどうする? いい話だと思うけど」
「ここで原理の絵を書きましょうか」
「そうしてくれるとありがたい」
「部屋から道具を持って来ます」
私は一度部屋を出た。
「セリカの知識はどこで知ったんだ」
「前は、良く本を読んでいたわよ」
「お嬢様はすごいですね。
先程の話だけでも物凄いですよね。
この様な言い方は良くは無いですが、金のなる木ですよ。私どもとすれば」
「そうだね。あの子にすればただ便利になる道具と言う事だろう」
「今は良いけど、この先はちゃんと守って行かないと行けないわね」
「戻りました。すぐに書き上げますね」
私は、簡単にだけど絵を書き上げた。
「説明しますと、このレバーを上下に押したり引っぱたりすると水が出る様になります。
中身ですが、井戸の水面より下から筒をこの道具に繋げます。
中に2つの弁があります。
1つは筒の上で水が上がると開きます。
もう一つはレバーにより下がれば開き上がれば締まり、水を持ち上げて排水口から水が出ます。
この様な原理で動きます。
ただ最初に水を少し入れないと、井戸の水は上がって来ません」
「聞けば簡単に出来そうなんだけどな」
「そうね」
「やはりこの道具を作りたいです。
領主様お願いします」
「わかった、クオン。これをまず1つこの屋敷用に作ってくれ。
試験をしてからもう一度話をしよう。
セリカもいいね」
「はい。お父さんにお任せします」
「領主様ありがとうございます」
私は絵をクオンさんに渡した。
「じゃあ、クオンとりあえずいいかな」
「後、お嬢様が使ってた絵を描く道具ですが便利そうですね」
「これは自分で作りました」
「そういえば一度もインクをつけなかったよね」
「はい。ペンの軸にインクを入れてありますので、長時間つけずに使えます」
「物凄く画期的な物じゃ無いか。お父さんのも作ってくれないか」
「いいですよ。何本か作りますよ」
「ありがとう。それで後の道具の説明して」
「はい。これは線引きです。真っ直ぐな線を描くときに使えます。
こちらが三角定規で、二枚あります。
角度が付いたのを描くときに使います。
次に分度器ですが角度を見たり図ったりします。
最後にコンパスです。
これはペンを付けて丸く円を描くときに使います。
以上です」
「これを全部、自分で考えて作ったのかい?」
「はい。木の端材をもらって作りました」
「どうやって作ったんだい」
「魔法で」
「「ヘ」」
お父さんとお母さんが、驚いている。
「無属性魔法です。これはいろいろと可能性がありそうです」
「一度セリカとは魔法について話をした方が良いわね」
お母さんが、突っ込んで来た。
「エミーナ、それはまた今度で。
それでクオンはこの道具も作りたいと言う事かい」
「はいそうですね。仕事絡みでこの様な絵を描く人が多くいますので勧めてみたいです」
「セリカ、どうだい」
「わかりました。部屋から端材を持って来ます」
部屋に取りに行った。
「領主様、魔法ってすごいですね」
「これはセリカがすごいとしか言えないよ」
「あの子、イメージだけで魔法を使ってるのよね。
昨日の訓練場は全部そうね」
「戻りました」
テーブルの上においた端材に、魔法をかける。
「モデリング」
端材が一瞬で、定規とコンパスになる。
「ペン以外はできました。
これはクオンさんに。
えっ、どうしました」
三人が、口をポカンと開けている。
「セリカ、呪文は?」
お母さんが言ってきた。
「いらないよ。イメージだけで、十分」
「まぁ魔法のことは置いといて、クオンに定規一式渡すよ」
「はい、ありがとうございます」
「これもギルドに登録だな。
ちゃんとした話は登録後という事でいいかな」
「はい、お願いします」
「クオン、今日はありがとう。また頼むよ」
「こちらこそお願いします」
クオンさんは、帰って行った。
「セリカ、昼食の後、魔法のこととか話しをしようか」
「はい」
何か、やらかしたのかな?
普通に魔法を使っただけなのに。
なんか、午後が怖い。
御覧いただきありがとうございます。




