部活の見学
今日の授業が終わり時間があったので、部活の見学をします。
ジェミニさんと一緒に周る事になっています。
ジェミニさんは私と同じ文化系を志望しています。
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授業をする校舎棟から少し離れている部活棟が有り1棟は文化系に割り当てられているので、その棟に入ります。
廊下を歩いていると前から担任のフィット講師が来ました。
「あらホーデンさんとスイズじゃないですか?
部活の見学ですか?」
フィット講師が聞いてきた。
「はい」
「行く所は決めているのかしら?」
「まだですけど」
「では私が顧問をしている所に行きましょう」
「何処ですか?」
「行ってのお楽しみです」
フィット講師とやり取りをしてついて行く事にした。
廊下を歩き、部室の前に来ると{魔導具研究会}とドアに書いてある。
講師の後に続き部室に入ると、良くわからない物がごちゃごちゃと置いてあった。
「ようこそ魔導具研究会へ」
フィット講師が言ってきた。
「はぁ」
気の無い返事をしてしまった。
「ホーデンさんが色々と魔導具を作っている事は知っているわ。
今までに無かった物を、あれだけ短期間に発表する事は凄い事よ」
「私は、思いつきで作ったキックボードと鉄道模型しか作った事がないです。
他の全ては企画して仕様書を書いて、納品前のチェックをして合否を出すだけです」
「そうなの? てっきり自分で作っていると思ったわ」
領では企画書を書いて、リンダさんに作ってもらっていると言ったら、フィット講師とリンダさんは学園の同級生だったそうだ。
今ホーデン領に居ると聞いて驚いていました。
そしてキックボードを作った時の事を聞かれ、無属性の[モデリング]を使って作ったと言ったら、実際に見せて欲しいと言われ了承した。
作るのは製図道具の三角定規だった。
これも私が最初に作ってクオンさんに売った事を伝えると驚いていました。
木の端材をもらって、魔法で直ぐに作りました。
「はい出来ました」
「あのぉ呪文はどうしたの?」
「元々ありません。全てイメージでやっています」
「そう言えばフソウ国の皇女殿下や貴方のお姉さんもそう言っていたわ」
皇女様やお姉ちゃん達、ルバス姉妹にイメージを教えたのは私だと言った。
他にはフソウ国の生徒、寺子屋のメンバー、第1王女が使えると言っておいた。
その様な話しをしているとジェミニさんが無属性を持っていると言ったので、魔力の流れを確認しました。
確認すると引っかかりがあったので解消すればイメージの魔法が安定して使えると言っておいた。
フィット講師がやって欲しそうだったので、同じ事をしたらジェミニさんよりも酷かった。
その事を伝えたら落ち込んでいた。
ジェミニさんと2人で慰めていると「こんにちは」と元気良く入って来る女生徒がいた。
金髪をツインテールにして細身なのにナイスバディな人だった。
「フィットちゃん何落ち込んでいるの? それでこの2人は?」
「ちょっと自信を失くしたのよ。それと新入生の見学者」
入ってきた女生徒にジェミニさんと一緒に挨拶をした。
「私は此処の会長で4年生のルーチェ・ツダマよ。
よろしくね噂の3女様。
私も南でホーデン領から5つ北にある伯爵家よ。
ホーデン領には何回か行った事はあるわ」
「ありがとうございます。急成長中ですから」
先輩はホーデン領で魔導具を見るのが好きだそうだ。
今までに無い画期的な物と言っていた。
なので、自分や使用人が楽に出来る様にしていると言っておいた。
そして実際には作っていないと言って、先程フィット講師に言った事と同じ事を言った。
「これからどんな魔導具が作りたいの?」
「今はこれと言って無いのです。とりあえず自分が欲しいのは作ってもらいましたから」
「そうなの? 最近は何を作ってもらったの?」
「冷蔵庫、冷凍庫、鉄道の車輌ですね」
「あれも魔導具なの?」
「魔導の回転具を使用しています。旅客用は先頭車両と最後尾に、寝台用と貨物用は先頭車両に乗せています。
後は寝台車両のキッチン部や寝台部のベッド部分にも使っています」
「フィットちゃん、夏はホーデン領で合宿をしましょう。決まりです」
「良いわねそうしましょう」
フィット講師が賛成していた。
「貴方は此処に入るの?」
「後は錬金とか薬師とかを見てみたいです。他に面白そうなのが有れば良いなと言う感じですね」
「錬金は釜さえ有ればどうにかなるし、薬師は医療を極めるなら止めないわ」
「アドバイスありがとうございます。ではまた」
そう言って魔導具研究会を後にした。
◆
その後も錬金研究会や薬師部を見学させてもらったけどいまいちピンとこなかった。
薬師はパレットさんを見ていたせいなのか、レベルが低すぎた。
錬金も本当に役にたつのかわからない物をやっていた。
他にも見て回ったが興味が湧かなかった。
ジェミニさんも同じ様だ。
時間的には後1つ位だったので、最後に行ったのが{料理研究部}だった。
「すいません、見学しても宜しいですか?」
中には女子生徒が4名、男子生徒が1名いた。
「新入生?」
「そうです。見学してます」
「そうなのね。ようこそ料理研究部に。
貴方達は料理に興味が有るの?」
ジェミニさんは作った事は無いけど美味しい物は好きと言っていた。
「私は領に帰ればたまにやっています」
と答えた。
「私は部長のルーテシア・ノールよ、よろしくね」
「1年のジェミニ・スイズです」
「1年のセリカ・ホーデンです」
「えっ、レシピの神様なの?」
「何ですかそれ」
思わず言ってしまった。
「レシピは非公開を含めて100以上登録をしているでしょ。
だから私達はそう呼んでいるのよ。
いつか会ってみたいと思っていたの」
「そうですか、それは光栄です。
ところで今は何をされていたのですか?」
「スパゲッティのレシピが手に入ったので皆で確認をしてたのだけど、わからない調味料が有って困っていたの。
ホーデンさん教えてもらえないかしら?」
「良いですよ。何がわからないのですか?」
「ケチャップとウスターソース、香辛料、デミソースよ」
「ケチャップはトマトソースを濃くした物です。
ウスターソースは色々な野菜から作ったソースです。
香辛料はフソウ国からの輸入品で元々薬として使われていました。
デミソースはケチャップやウスターソースとか他にも色々と入れたソースです」
「他にもいいかしら? 醤油、ミソ、味醂、酒とかはフソウ国の物なの?」
「そうですよ。私はフソウ国の調味料を使った料理が好きなので」
「これは手に入ったりしないのかしら?」
「寮に行けば有りますよ。持って来てますから」
「味見させて下さい」
5人がジャンピング土下座してきた。
「はぁ次の休日の昼にでもやりましょうか?
男性がいるので寮と言うわけには行かないので、場所は此処にしますか?
此処でも調理出来そうなので」
次の休日に味見の会が決まった。
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